#7.本格的な制作スタート【地域ボードゲームをつくろう!】
8月8日に行われた第7回目の「地域ボードゲームをつくろう!」ガイダンスです。このプロジェクトは、愛知県の名古屋大学博物館でボランティアをする大学生たちが地元に根差した「地域ボードゲーム」の開発に挑戦していきます。
学生チーム1:TTB(東海トラベルバス)チーム
学生チーム2:め〜いっぱいチーム
この夏は仕事が数年ぶりの忙しさで、8-9月の情報アップが遅れてしましました。すみません。
各回の内容はこちらのマガジンにまとめています。
主催:愛知建築士会 名古屋名南支部
協力:MusaForum(名古屋大学博物館 学生スタッフ団体)
協力:いたばしの地域ボードゲーム会
およそ2カ月間の試験休みが明けての第7回になります。全体の計画から見れば、ちょうど半分、後半の始まりです。
以下にスライドの一部を抜粋しつつ、実施したガイダンス内容をまとめていきます。
1. 今後の進め方は?
実制作が本格化していくので、講義的に何か教えるというよりは、みなさんからの報告や相談をベースに進めていくことになります。
学生の方たちに動いてほしいポイントをまとめてみました。
この日の時点で、学生らがどのようなゲームにしようと計画しているか、その内容をヒアリングさせてもらいました。いずれのチームもゲームのテーマはほぼ決定、ゲームルールはまだ「なんとなく」という段階です。テストプレイの日にちを具体的に決めて、まずはその「なんとなく」を試して話し合うことをお勧めしました。
そうしたやりとりの後、ガイダンスの時間では左端の「PR計画」についてくわしく説明しました。
2. PR活動ってどんなこと?
ゲームの中身や見た目はできていなくても、PR活動自体は動かしていくことができます。今後、長期的にPRを進めてもらうために、PRとは何か、何を意識したらいいのか、まとめてみました。
PR活動をしていくなかで結構大切なのは「PR」と「プロモーション」の違いを理解し、やるべきことを適切に切り替えていくこと、だと思います。
PR(パブリックリレーションズ)は、ターゲットと自分たちの関係性構築のこと。一方のプロモーションは文字通り「動機づけ」であり、ターゲットの心理に働きかけるアプローチです。
行政であれば市民と信頼関係を構築することが重要で、その上でサービスを利用してもらうために適切な動機づけが必要になりますから、PRという概念の中にプロモーションという手段があります。良好な関係性を築くという目的は包括的に維持されつつ「ターゲットにこれこれしてほしい」という段階でプロモーションによる誘導技術が必要になるわけです。
ところが、PRについてググると「PRはプロモーションの一部」と書いているブログもけっこう出てきますね。営利目的の企業にとっては、商品を買ってもらうことが最大目的に固定されているので「買ってもらうために仲良くなる」という逆転が起こるようです。
正直、現時点でその違いは直接関係しませんが、地域ボードゲームそのものの目的を考えると「何のために」という意識は持っていていいと思います。
それじゃあ「関係性を構築」ってどうするのって話です。
地域ボードゲームにおいてもっとも良い方法は、地域のイベントや活動に顔を出して「自分たちはこんなゲームもつくってるよ」と伝えにいくことでしょう。興味を持たない人もいますが、ただ待っているよりはずっと効果的です。
足で稼ぐのが第一としつつ、時間的に負担が大きければSNSを積極的に使いましょう。ここで注意したいのはSNSの使い方。PRでは「魅力的な情報を発信しなくちゃ」と構える必要はありません。それよりも、SNS空間に存在し、他者と関わりを持つことが大切です。
つまり、ここまでのPR活動の説明を通じて、言いたいのは、PR活動は地道だけど自主的に積み重ねていけるってこと。プロモーションという手段もどこかでは必要になりますが、何でもかんでも「ターゲットの心に刺さらなくちゃ!」みたいな気負いはしないほうがいいよってことです。
もちろん、いいね!やリツイートの数を求めて戦略を立てることは重要で有意義ですが、まずは確実なことから着手しましょう。
3.プロモーションのタネ集めとは?
プロモーションは不要だって話ではありません。プロモーションは重要です。でも、まずは地道にPRを続けましょう。そのPR課程で、プロモーションに役立つ「ターゲットの心理」を知ることにもつながります。
PR活動を通じてターゲットのインサイトを探っていこうという話を補足し、「今月からPRに取り組んでね」って話を締めくくりたいと思います。
プロモーションを考えるために重要なキー概念は「インサイト」です。インサイトは、その当事者からしか見えない世界に隠れていたニーズです。ターゲットが欲しい商品やサービスであっても、インサイトを上手に突いたものは「刺さる」みたいな表現をされます。
自分たちのお客さんとなるターゲットに、どのような心理や考え方があって、自分たちの制作物(地域ボードゲーム)のどんな側面が「刺さる」のか。それが分かれば、訴求する力はかなり強くなります。
自分たちの作るゲームは、どんな魅力を訴求していけばいいか。
TTBチームなら「大学生が、東海三県を旅するってテーマに興味を持つにはどんなことを提示すればいいのか」、め〜いっぱいチームは「地域の人たちと、名古屋産ってカオスなのが楽しいっと笑いあうにはどんな情報を出していけばいいか」といった問いを立て、ターゲットとゲームを結ぶ情報やアイデアをパッと伝わりやすく工夫することが今後、重要になってきます。
そこまで考えるのは、ゲーム完成直近の話ですけど、そのためのヒントやタネを集めるためにPR活動が生きるわけです。
4. 課題になるタスク内容は?
PRとプロモーションのことを話した上で、最後に残り期間で学生にやってもらいたいこと、その意図と具体的なタスクを共有しました。
相変わらず、いろんなゲームを経験するはゲームデザインに役立つので、その点も改めて強調。とりあえずボードゲームを楽しみましょう。
6.今日の話題で大切なことは?
ここからは学生チームの分担作業が大切です。チームの目的整理にじっくり時間をかけてきたことは、この分担をスムーズにする上でも役立つはず。
残り期間は長くありません。同じ目的をもちつつ、能力の違いを生かして相互補完的に活動しましょう!
(参考)使用したスライドなど
ガイダンス当日に使用したスライド全体です。
▼全編スライド
▼音声リハーサル
ガイダンスを実施する前に、スライド未完成の状態で、仲間内での音声リハーサルを実施&収録しています。ガイダンス当日とは話した内容がちょいちょい変わっていたりしますが、ご興味があれば、こちらも合わせてどうぞ。