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狙いや言葉などのアプローチを考える

いたばしの地域ボードゲーム会の松本です。
虐待サバイバーBANKのイノケンさんと一緒に、虐待防止をテーマとしたボードゲーム開発に、ゆっくり取り組んでおります。
前回はこちら。

イノケンさんの虐待サバイバーバンクと、体験を綴るnote記事もぜひ。
今回もノン・ビジュアルなのでぱくたそのAI画像を貼ってまとめます!


前回に続いて、内容の方向性を見極める

前回の話し合いで、基本姿勢、つまりゲーム体験と講演を合わせて何をどう表現するかを考え、ターゲットとメッセージを決めました。

ターゲット=企業での研修を主要なターゲットとして狙うこと。
メッセージ=目指す体験は「すべての人が虐待をしてしまう可能性がある」と気付いてもらうこと。

これを踏まえて、今回は、どうやって企業にアプローチしていくかの基礎案、そしてメッセージを伝えるためにゲームに設ける仕掛けや表現について話し合いました。


研修向けのフックを考える

音声では【00:16】付近から。
企業研修として売り込むためには、どのようなフックをつくるか。たとえば、「アンガーマネジメント」を組み込んではどうか、など。怒りの制御をテーマとすることで、ビジネス現場でも生きる内容になるという期待から検討に挙げてみました。

体験を共有するしかけをつくろう

音声は【13:00】の付近から。
ゲーム中で、各自が虐待やハラスメントに近づいてしまった実体験(ヒヤリ体験)を話してもらうのはどうか。この自己開示が一定の効果をもたらすと考えた場合、職場でパワハラの話を開示するのは難しく、子育てや介護関連の体験の方が話しやすいといった効果も望めるかもしれません。

じつは「虐待」の言葉が強すぎる?

音声は【37:20】付近から。
言葉として「虐待」の持つイメージが強すぎて忌避されてしまうかもしれない。虐殺、殺害など、生命を奪うイメージを重ねてしまうことで、自分事から離れてしまいやすいのかもしれない。どう表現するか。虐待の直前の部分、しつけと虐待のはざまにフォーカスして考えてみてもいいかも。

どんなタイトルでパッケージする?

音声は【46:54】付近から。
研修タイトルの方向性について検討。実際に「オレンジリボン」ふくむ、団体名や大きな活動名には「虐待」の文字を避ける傾向があるように感じられる(イノケンさんの体感として)。ほどよいタイトルがないかをいったん考えてみる。「イラッと防止ワーク」のような感じで、虐待はサブタイなどに入れるとか。

ゲームシステムについてのブレスト

音声は【53:22】付近から。
考えてみたアイデアの断片で検討。フラストレーションの蓄積と発散をモチーフにしてみると……怒りがたまったときの報復と八つ当たり。報復を「正しい」としてハードルが下がり、虐待がエスカレートするって仮説は当てはまるか? 当てはまらない例もありそうなので、今回はよりシンプルな構成に。


これまでの議論のまとめ

音声を全部聞くのは大変なので、前回と今回の話をふまえた、議論のポイントをまとめてみます。

ゲームの表現テーマ

人は、「誰しもが虐待の加害者になりえる」という気づきを表現テーマにします。
そのとき、虐待を世界から無くせる唯一の(かもしれない)方法は、皆が自分もやってしまうかもと想像すること、誰かにすぐ相談できること。

主要な表現アプローチ

  • 企業研修に向けて設計することで、児童虐待にもともと関心を持っていない人にふれてもらえる機会をつくれる仕様。関心を持っていない状態から楽しめる仕様。

  • その考え方の下で「アンガーマネジメント」を学べる要素を導入してみるのはどうか。

  • 児童虐待の4分類(身体的、心理的、ネグレクト、性的)の中で、アンガーマネジメントが明確に対応できるのは身体的、心理的の2件であり部分的なアプローチになる。しかし、そのことは前提として明示して届ける。

  • アンガーマネジメントの学びについて、企業内で仕事の話をベースとした話題を扱うよりも、児童虐待・高齢者虐待など誰にでも起こりえるが会社とは別側面の話題ゆえに、むしろ正直に自分の実体験・ヒヤリ体験(虐待しそうになった体験)などを話しやすく、互いに弱みをふくめた自己開示を実施しやすい

研修実施にはKPIを立てる

  • ゲームは虐待防止の一面を切り取った表現になるほか、研修全体としても「虐待をポップに伝えたい」というイノケンさんの意向にそって、これまでの虐待防止運動とは異なるトーンになる可能性がある。

  • それによる批判が巻き起こった時、自分たちが何を目指してやっているのかを数値でもクリアに。たとえば、終了後のアンケートに学びや気づき項目があって、「自分も虐待する可能性があることに気づいた」的な回答の数などを記録していくなど。

  • アンケートは、できれば学問的な意味のある設問を設置する(意味のある=学問的な価値の有無ではなく、質問者の操作疑惑を払拭しやすいとか、客観性を担保しやすいとか、何かの際に有意な数字として出せる意味での学問的な文脈にそった聞き方に気をつける)

ゲームの表現や構成

  • できればポップで楽しそうに。少し馬鹿馬鹿しくてもいいくらい。

  • 「虐待」というワードの強さへの配慮。虐殺や殺害のニュアンスを重ねてしまう人が多い。「本当に深刻な問題だ」という観点ではその重みが有効だろうけれど、市民が、身近な自分事と受け止めるには阻害作用があるかも。「自分は子を叩くことはあっても、殺したりは絶対しない」と考える人から見ると、殺害のニュアンスを感じる重い言葉(虐待)は、自分とは無関係な事象として位置付けされてしまいやすいだろう。

  • たとえば欲求阻害(フラストレーション)を表すFP(フラストレーションポイント)と怒りの発散の関係性などもゲーム要素に入れてみる。


✳︎

今、アンガーマネジメントに関する書籍を読みながら、ゲームとの表現などを考えているので、次回は、ちょっと具体的なゲームの仕組み(コアとなるルール)の設計と議論になると思います!

板橋区内に、レーザーカッターや3Dプリンターを使って何かを作ったり届けたりしています。また、そうした道具を使える人を増やしたいという思いで、講座などもちょいちょい開催しています。サポートいただけた場合は、こうした機材費や会場費などに利用させていただきます。