あなたはターゲットではない
世の中に溢れている商品やサービスは、必ずターゲットが想定されて作られています。中高生女子とか、中年男性とか、ネコ好きとか、オタクとか、仏像マニアとか、横向き寝とか、胃もたれしやすいとか、たくさん物を運びたいとか、などなど。
ある程度そういうターゲットを想定して作られているのです。
いやしかし!
悲劇は自分がターゲットに入ってない時に起こるのです。「Netflixで見たドラマ、相変わらず不倫ばっかりやってやがって、全然面白くねえ!」などと言ってしまう人がいますが、それは「あなたはターゲットではない」のです。そのドラマは不倫ドラマが好きな人をターゲットに作られているのです。だからドラマの制作者は文句を言われても痛くも痒くもないのです。
例えば、NHKの紅白歌合戦にK-POPのグループが出てくると、「全員顔が同じじゃねえか!そして全部同じ曲じゃねえか!これだからK-POPは!」などと言ってしまう人がいますが、それは「あなたはターゲットではない」のです。ターゲットの人々はK-POPのメンバーの顔の違いは明確にわかりますし、グループごとに曲調が違うこともハッキリ分かります。
例えば、女子中高生は「おぱんちゅうさぎ」が大好きです。うちの中2の娘はおぱんちゅうさぎグッズを大量に持ってますし、韓国に行ったらおぱんちゅうさぎグッズを買ってくるように言われます。おぱんちゅうさぎは日本発のキャラクターなんですが、なぜか韓国の方がグッズをたくさん売ってます。
たぶん、おじさんやおばさんがおぱんちゅうさぎのデザインや映像を見たら、「こんなクオリティの低いキャラクターが流行ってるなんて、今の若者は見る目がないしセンスがない!」などと言ってしまいますが、それは「あなたはターゲットではない」からなのです。
Amazonで本を酷評してる人もそうでしょう。「もっと具体的に書いてあると思ったら抽象的な事しか書いてなかった!バカにしてる!私は具体的な方法を知りたかったのに!」いやいや、その本は「あなたはターゲットではない」のです。
私が作った長編映画『SHELL and JOINT』も、その当時見た人から、「ストーリーは無いし、何を言いたいのか分からないし、あんなの映画じゃない!酷い!」と書かれたことがありますが、それは「あなたはターゲットではない」のです。「踊る大捜査線みたいなワクワク感が無くて酷い!」じゃないんですよ。
これって政治でも言えるんですよね。私たちは政治こそ万人に開かれてると思いがちですが、日本保守党とかれいわ新選組とか、完全にターゲットを絞った活動をしています。ターゲットに入ってない人たちは「あんなのはカルトだ」と言いますが、それは「あなたはターゲットではない」からそう思ってしまうのです。
世の中に溢れているかなりの割合の「文句」が、ターゲットから外れていることによる悲劇だと思います。
そして、最近はどんどんそのターゲットの範囲が狭くなっています。今まで120度の範囲で開いていたものが、90度になり60度になり、最近では15度ぐらいしか開いてなかったりします。だから、自分がターゲットの外にいることに気が付かないんです。気が付かずに思わず文句を言ってしまうのです。
おじさんに文句が多いのは、世の中にはおじさんをターゲットに作られている商品やサービスが少ないからだと思います。
最近は居酒屋に行くと、メニューがQRコードになっている事が多いんですが、おじさんはそれに対して文句を言います。でもその店は「あなたはターゲットではない」んです。いかにもおじさんも受け入れてくれそうな店構えをしてるから思わず入ってしまうんですが、15度の角度しか開いてない店なんです。
韓国に行くと、液晶端末でメニューを選んで、その端末でカード決済をして、食べ終わったらそのまま出ていく店が多いんですが、日本人のおじさんが行ったら発狂してしまうかも知れません。「こんなの客商売じゃねえだろ!」と。いやいや、「あなたはターゲットではない」のです。
そうやって今はターゲットの範囲がどんどん狭くなって細分化されていく傾向にありますから、こういうnoteの有料マガジンみたいなものが、世の中から強く求められているのが理解できます。間違えて文句を言うぐらいなら、有料でもいいから確実なものが欲しいんです。
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