【じーじは見た!】後編:再植林への動機付け、頑張ったな林野庁⁉
心はZ世代! 身体は還暦過ぎた昭和人! Z世代応援団のじーじです⁉
2022年8月10日に林野庁の頑張りでJクレジットにおいて森林のCO2吸収効果計測のルールに日本発、世界初のルールが適用されました。
本編は、後編です。前編から読んでいただくと話が繋がります。
✅何が課題だったのか?
J-クレジットのJはJapanのことですから日本の省エネ法や温対法で活用されることを前提に設計されたクレジット制度です。
CO2の排出権を買いたい方と売りたい方を相互に結び付けながらCO2の排出を減らす社会を作っていこうというものです。
課題を整理すると次の2点が大きいです。
1)国際的には森林のCO2吸収効果のJクレジットを使える相互流通の制度設計が進んでいない。流通するクレジットは再エネ電力。再エネの中にバイオマス発電が入るが、樹木のカスケード利用を前提とするならバイオマス発電の「熱」利用は絶対に評価すべきだが、発電だけのもったいない(環境に悪い)使い方だけが海外の認証にも活用可能な歪な体系である。
2)植林した木を伐採した時点でせっかく固定したCO2を全て放出したとするIPCCルールが、木を燃やす事業者を動機付けし、再植林をしようとする事業者の動機を奪ってきた。
✅議論はどんな方法論に向かっていったのか?
前編で表示した図とは随分異なっています。モニタリングで把握した材積に基づいてクレジットを検討しています。A材、B材がクレジット計算の対象になっていて、紙は焼却までの固定化期間が短いことから対象外です。
立木材積450㎥から原木出荷量315㎥が生産されます。
131㎥がA材となり、45㎥がB材、139㎥がC材となって利用され、450㎥-315㎥=135㎥が林地残材となります。
この林地残材の内30%程度の40㎥がバイオマス燃料として利用され、残りの95㎥は林地に山の肥料として残したり、土砂崩れを防ぐための予防効果として残すというのが先人から受け継いできた日本人の知恵(暗黙知)です。
再植林を事業として回して、この良き循環を持続するために抜粋②のようにCO2の固定化効果を計測してクレジットを発行する方法論を明記することになりました。
✅最終的にできた制度は?
字が小さくて読めないでしょうから、主な制度変更点を整理して下記しますね。こんな感じです。
①追加性要件の変更
何が追加性かというと、クレジット対象にするためには、再植林をするお金がない赤字であることを証明するための書類をあれこれ出しなさいということだったのです。
でも林業経営そのものが赤字構造なので、山主さんが儲かっている訳がないから7割も再植林されずに放置されている訳です。
林業は儲からないないので赤字証明は不要になりました。
山主さんにとっては手間の大幅削減です。
②主伐後のCO2排出計上の変更
主伐時にそれまで樹木に固定されてきたCO2を全て排出したと計算するIPCCルールに従わず、日本では再植林をする場合、標準伐期までに吸収するであろうCO2分を排出から控除するルールに変更されました。
※下記図が分かり易いと思います。
③伐採木材の炭素固定量を配慮
伐採された木材製品が焼却処分されるまでの間は炭素を固定化している点をCO2固定量として配慮されるようになりました。
④保安林等に指定された天然林においてもしっかりと手入れ(病虫害対策や火災予防等)をしていることが記録されていれば、CO2吸収のクレジット対象になりました。
上記①~④は画期的な判断だとじーじは思っています。
IPCCによる国際ルールが、森林伐採を助長して木材を燃やした方が得であり、再植林するよりもしない方が得であるという状況を作りだしてきたことを反省して、日本だけは、制度を変更して再植林に行動が向かうように変更したのです。
つまり、これからは、再植林をすることで上記の図で700t-CO2と書いてある分のクレジットが原木販売とは別に山主さんに付与され、林業関係者の収入になる道が開かれたということです。
どのようなビジネススキームができるのか、本当に楽しみです。
じーじが嘆いてきたことが、こうやって法令を変えることで、嘆きから希望に変わろうとしています。
本当に法律を変えるということは大変なことですが、力のない省庁であっても情熱をもって良い方向になることをエビデンスをもって訴えれば、法律は変わるという、とても良い事例を示してくれたと思っています。
頑張ったな林野庁!
頑張れZ世代!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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