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【じーじは見た!】前編:COP27、日本では盛り上がらず⁉
心はZ世代! 身体は還暦過ぎた昭和人! Z世代応援団のじーじです⁉
気候変動枠組み条約締約国の第27回会合がエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されました。
当初予定の11月6日~18日の会期を延長して11月20日に閉幕しました。
COP27が盛り上がらなかった要因がいくつかあって、この間に米国中間選挙があり、カンボジアのASEAN首脳会議に岸田さんが出席してバイデン大統領、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との日米韓首脳会談が実現したり、G20では日中の首脳が笑顔で挨拶を交わすなど、地球温暖化以上に地政学的リスクに注目が集まる国際会議があったのでCOP27が霞んでしまいました。
世界の首脳もマスコミも地球温暖化対策以上に大切だと思っていることがあることを露呈した形になりました。
あまり報道もされなかったので、分かりづらかったCOP27の論点と今後の動向をじーじなりに簡単に整理してみますね。
1️⃣CO2排出量削減ペースの厳しい現実⁉
COP27開催期間に合わせて世界のNGO、NPOが集結して情報発信をしてくれました。
その中の一つ、Global Carbon ProjectというFuture Earth とWorld Climate Research Programmeの共同プロジェクトが発表した「Global Carbon Budget 2022」(以下GCB2022)の中から図やグラフをお借りして現実を見てみましょう。
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Global Fossil CO2 Emissionは、化石燃料を燃やして排出されるCO2量です。
グラフを見てのとおり何度か経済活動が世界的に停滞した時期には下降する局面があったものの戦後一貫して増え続けています。
1973年の第一次オイルショック、1979年の第二次オイルショック、1991年ソ連崩壊(1989年ベルリンの壁崩壊)、2008年リーマンショック、2020年コロナショックに伴う世界的な経済停滞によって一瞬排出が減るものの一貫して増え続けていることがグラフから読み取れます。
2022年は過去最高の排出ペースだそうですからピークアウトは未だに見えていません。
それは、先進国を追いかけて新興国の経済が伸びているからです。
2000年以降は中国の経済発展がCO2排出量の伸びに大きく影響しましたし、これからもインド、インドネシアなどアジアの新興国の排出増が予想されています。
日本は、2030年までに2013年比46%排出削減することをコミットしていますし、世界中の先進国は協力して早く排出量の伸びを止めようとしています。
早くCO2の排出をピークアウトして減少方向のトレンドにもっていかないことには、2050年までにCO2排出を実質ゼロにすることは厳しくなります。
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どこの国にも属さない海上輸送で燃焼されるバンカー(C重油)も統計に加えていますね。
2️⃣今の燃料転換速度で間に合うのか?
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世界全体では2010年以降、風力発電(Wind)、太陽光発電(Solar)が伸びてきていますね。
ただ、石炭や重油よりもCO2排出量が少ない天然ガスの伸びは凄いですし、ウクライナ問題でEUが石炭使用を一時的に増やしたことから重油・石炭への依存度は依然として高い状態のままです。
主要国でも事情によってこの比率が変わってきています。燃料別の消費量を米国・EU・中国で比べてみましょう。
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まずは米国です。何だかんだ言っても一貫して石炭使用量を減らして天然ガスへ置き換えてCO2排出量を減らしてきていますね。
パリ協定から脱退したトランプ大統領の4年間も基本的に石炭使用は減っていますので、シェールガス革命が米国の良識ある環境と調和した燃料転換を後押ししてきたようです。
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EUは、再生可能エネルギー(風力・太陽光)への転換が一番進んでいるので、全体的に化石燃料からのCO2排出量が右肩下がりで減っています。
口だけでなくて1990年以降、再エネに力を入れてきたことがよく分かります。
3️⃣中国も見方によっては優等生⁉
EUや米国との違いは、下記グラフで歴然ですよね。
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2000年以降のCO2排出量の伸びの角度は凄いでしょ。
中国は自国で石炭が採れるので自国産燃料を使えるのです。これは経済成長に非常にありがたい資源だったと思います。ただ、あのCO2排出量の急激な伸びはそれだけが原因じゃないんですよ。
鉄鉱石から鉄を製造する時に大量のCO2を排出するので鉄の製造に力を入れてきた中国はCO2の排出が多いのです。何せ世界の鉄の半分以上のシェアを握ってしまいましたからね。
何故鉄の製造にCO2排出が多いのかは下記記事を読んでみてください。👇
(あと3つのスキで二桁スキ。スキ応援をよろしくお願いします😊)
中国側から見れば、先進国が先に経済発展する過程で使用してきた化石燃料を自分たちも使ってきただけと言えなくはありません。
遅れて経済発展を始めた中国が急速度で先進国の真似をしてきた訳で、今後、インドネシアやインドを始めとする新興国も中国のようになってもおかしくないのです。
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上記のグラフはGDPを稼ぎ出すのにCO2の排出を効率よく抑制しながらできているのか?を見るグラフです。
あれだけ石炭に依存しているので中国の効率が悪いのですが、それでも右肩下がりのグラフになっています。
また、インドは中国とは違って、何とかUSA並みの効率を維持して経済発展をしています。
中国の再エネ普及速度は日本を凌ぐ凄い勢いですので、おそらく中国も米国並みの効率に2025年くらいにはもっていくでしょう。
今後はエネルギー源としての再エネ(太陽光・風力)や原発をどんどん稼働させてくるので中国のCO2排出原単位(CO2kg/GDP1ドル)はどんどん下がっていきます。
再生可能エネルギー比率は日本の2030年目標を2025年にはクリアしそうな勢いなので徐々に変わらない国「日本」が浮き彫りになっていきます。中国を批判している場合でなく批判される側になるかもしれません。
ここに来て岸田政権も大慌てで第6次エネルギー基本計画に沿ったエネルギー転換が進まないとまずいことを「GX実行会議」で国民に訴えています。
しかし、選挙が3年間ない時に核燃料サイクルの放棄や核のゴミ問題に触れずに「原発政策の大転換」を行うことへの批判も起こっています。
中国は、産業構造(鉄や物作りの世界工場となっている)の特徴からCO2排出総量は多いものの、人口で割り算をして一人当りCO2排出量で比較をすると今時点でも日本よりも優等生なのです。
そのことは下記で確認してみてください。👇
この問題は新興国もいずれは先進国並みのCO2排出原単位になってくる訳で、問題はその「速度」なんですね。
リープフロッグ(蛙飛び)と呼ばれるように最新技術を新興国の方が日本よりも早くに導入して成果を出してくるかもしれませんよ。
変わらない国が置いていかれる日が実は近いのかもしれません。
岸田さんの焦りもよく分かります。
さあ、後編では、結局CO27で何が決まったのかを確認してみましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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