プレゼンティーイズムの発生に影響を与える仕事関連要因―最近の研究動向と今後の方向性(Work-Related Factors Affecting the Occurrence of Presenteeism—Recent Research Trends and Future Directions)
プレゼンティーイズムの発生に影響を与える仕事関連要因―最近の研究動向と今後の方向性(Work-Related Factors Affecting the Occurrence of Presenteeism—Recent Research Trends and Future Directions)
Koji Mori* , Masako Nagata and Tomohisa Nagata
Department of Occupational Health Practice and Management, Institute of Industrial Ecological Sciences, University of Occupational and Environmental Health
<目的>
仕事に関連した生産性の損失として定義されるプレゼンティーズムの研究傾向を特定し、プレゼンティーズム研究の将来の方向性を検討すること。
<方法>
・検索キーワードを“presenteeism”として2020年6月8日にMEDLINE/PubMedを使用して過去の最近5年間分を検索
・包含基準
1)プレゼンティイズムと仕事関連の要因
2) オリジナルの記事であること
3) 英語で書かれていること
・除外基準
体調が悪いにもかかわらず仕事に行くことを扱う記事を除外(病気のプレゼンティーズム)
・手順
1)選択されたすべての論文の要約をレビュー
2)全文をレビュー
3)記事の抽出の両方のステップは、最初に森康治によって実行。決定に疑問がある場合は、永田雅子と永田智久と議論
<レビューした結果>
・30件の論文が選択(25件は横断研究、3件は縦断研究、2件は介入研究)
・(WHO-HPQ) が最も一般的に使用されたツールであった。
・健康的な組織文化に属する労働者はプレゼンティズムのリスクが低い。
・ERI(報酬の不均衡モデル)が高いほど相対的プレゼンティーズムと仕事の生産性が高いことと有意に関連。
・ERIとプレゼンティイズムは有意な関連はなく、組織の不正義が最も強い関連性を維持した、という報告もある。
・プレゼンティーイズムが、努力を除く調査されたすべてのストレス要因(仕事の要求、仕事の管理、努力、報酬、手続き上の正義、および相互作用の正義)と関連していたと報告もある。
・職場におけるストレス関連要因とプレゼンティズムとの間に重大な間接的な影響があることを発見し、ワークライフバランスがストレス関連要因に対して最も強い影響を及ぼしている。
・年齢、学歴、地域差別、性的差別、契約差別など、さまざまな種類の差別を経験している個人は、プレゼンティズムのリスクが増加している。
・差別とプレゼンティズムの間には直接的な正の関連性。
・心理的苦痛が、ストレス要因のプレゼンティーズムへの影響の11.5%~36.2%を媒介している。
・健康がストレスとプレゼンティズムの関係の主要な媒介因子であることを示唆。
・健康的なライフスタイルの職場文化がプレゼンティーイズムと関連しており、この関連性はうつ病や不安症などの精神的健康状態によって媒介される。
・支持的なリーダーシップ行動の増加がプレゼンティーズムの減少と関連している。
・直属の上司のリーダーシップの質がプレゼンティーイズムと有意に関連。
・職場ソーシャルキャピタル (WSC) は高い個人レベルの WSC および職場レベルの WSCが絶対的なプレゼンティーズムと負の関連性。
・上司のサポートと同僚のサポートがプレゼンティーイズムの予測因子。
・組織的コミットメントが上司のサポートとプレゼンティーイズムとの関係を完全に仲介し、同僚のサポートとプレゼンティーイズムとの関係を部分的に仲介している。
・ワーク・エンゲージメントは健康状態に強い影響を与えるものの、結局のところプレゼンティーイズムとは有意な関連性はなかった。
・ワークエンゲージメントはプレゼンティーイズムと正の関連があることが観察。
・仕事の満足度とプレゼンティズムの間に統計的に有意な関係がある。
・仕事への満足度が低い人は他の人よりも 2.04 倍頻繁にプレゼンティーイズムを示した。
<感想、学び>
・調査内容によって、関連があったりなかったりする。
・対象や対象環境によって結果が変わる可能性も考えられ、健康状態、ストレス、ワークエンゲージメントはプレゼンティーイズムと関連性がある可能性は高い。
・何か1つの論文だけを参考に対策するのは危険で、自身が所属する組織の調査結果を分析し、それをもとに、様々な論文を参考にした対策を立てることの重要性を感じた。
今日も最高の一日に。