あなたならきっとできる――孤独を越えた私の言葉――
「その気持ち、とっても分かるよ」
誰かに寄り添うときによく使われる、優しさが込められた言葉。
だけど、それに違和感を覚えることがある。
人はそもそも孤独な存在。
自分の気持ちすら理解が難しいのに、どうして他人の気持ちを「分かる」と言い切れるのだろう。
そんなふうに考え始めると、胸の奥に怒りや葛藤が湧き起こってくる。
「本当は理解できていないのに、どうして口に出せるのか」
自分が嫌になり、周囲と自分との間に大きな溝を感じる。
私が最も孤独感を感じたのは中学時代だった。
親友だと思っていた友人からのいじめ。
中2病をこじらせた同級生からの部活内での無視。
両親や担任に打ち明ける勇気も持てず、
仮病を使って休みながらやり過ごす日々が、1年以上続いた。
暗い部屋に一人きり。
夜になると、まるで自分だけ世界から取り残されたように感じる。
「私に味方なんていないんだ」と強く思いこみ、孤独を抱え込んでいた。
そんな自分がそれでも少しずつ救われていったのは、やはり「人」の存在だった。
同じクラスのちょっとお調子者の友達が投げかけてくれた何気ない言葉。
大学院で研究に行き詰まった時に、そっとアドバイスをくれた教授のやさしさ。
彼らは「君の気持ちはよく分かるよ」なんて言わなかったかもしれない。
でも、私を気遣う視線や声のトーン。
さりげなく差し伸べてくれた手が、何よりも心の支えになったことを、今でもはっきり覚えている。
・・・
だからこそ、こう思う。
「孤独感を生み出すのも人だけど、孤独から救い出してくれるのも人なんだ」
今こうして過去の経験を振り返ると、嫌で仕方がなかった「孤独」という存在が、“ちょっとした友達”のように感じられてくる。
「孤独は人とのつながりを思い出させてくれる」
「大切な人が身近にいると気づかせてくれる」
孤独で苦しんだ分、気付けた瞬間の感謝が大きかった。
もしかすると、昔の私と同じようにこう思う人もいるかもしれない。
「私を救ってくれる人なんて、どこにもいない」って。
そんなとき、少しだけ勇気を出して、心の中に問いを投げかけてみてほしい。
「本当に、救ってくれる人はどこにもいない？」
誰かに迷惑をかけるのは、もちろん怖い。
拒絶されたり嫌われてしまうかもしれない。
でも、1億2千万以上が暮らす日本という社会の中で、
一人も寄り添ってくれる人がいないとは、どうしても思えない。
方法は何だっていいと思う。
友人や家族、カウンセリング、オンラインのコミュニティ。
きっと、今の世の中だからこそ見つかる、あたたかい出会いがある。
私も「気持ちが分かるよ」とは言い切れない。
でも、あなたを心から信じ、応援している。
だから、もう一言だけ言わせてほしい。
「あなたなら、きっとできる」
その言葉は私自身が孤独を乗り越えてきた証でもあるから。
