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陸軍旭川第七師団の怪談話

ゴールデンカムイは漫画よりアニメを観て知った。
ゴールデンカムイで第七師団は重要な役割として出て来る。
歩兵二十七聯隊の鶴見中尉の小隊がそうだが・・・。
旭川第七師団は長年地元と言うこともあって調べてきている。

私が子供の頃には軍隊経験者がそこら中にいたのが郷土部隊が第七師団で各兵科の部隊出身者からお話をよく聞いて周った。

特に多かったのが聯隊区が歩兵二十八聯隊出身の方だった。
ただ・・・歩兵二十八聯隊は一木支隊としてガダルカナル島へ投入され全滅している。
餓島と言われるくらい補給も無く餓死する者が多く生存者でも生き地獄を味わった部隊でもある。

その前に全滅した一木支隊主力は幽霊となって原隊の旭川の兵営へ軍旗を奉じて帰還した話は有名である。

一木清直大佐率いる大本営直轄の一木支隊(第7師団の歩兵第28連隊を基幹とする)約2,300名は、当初ミッドウェー島攻略部隊に充当されていた部隊であったが、1942年6月のミッドウェー海戦で日本軍が敗退したことで攻略作戦は中止となり、一時グアム島に休養を兼ねて留め置かれていた。

8月7日の連合軍ガダルカナル上陸が始まると内地転属が解除され、そのままトラック諸島へと輸送された。

8月18日にガダルカナル島タイボ岬に無血上陸した一木支隊は、ひたすら西を目指して前進した。

海岸沿いの砂浜を主に夜間行軍により進み、20日夕刻頃までにはテナル川を越えてイル川西岸地域まで到達している。

20日18:00にイル川を越えて先行していた将校斥候(渋谷大尉・館中尉ら)34名中31名が、アメリカ海兵隊の攻撃により戦死の憂き目に遭った。

2時間後に生還した兵士から報告を受けた一木大佐は激高し、不明将校の捜索を命じるに当たって「行動即索敵即攻撃」を各中隊に命じている。

翌21日午前5時頃、一木大佐はイル川左岸の海岸部に残兵を集め状況把握に努めたが、夜明けとともに敵機が上空を舞い始め、陸上からは海兵第1連隊がイル川を越えて一木支隊の退路を断つように迂回攻撃を仕掛けてきたため、包囲された一木支隊は苦戦に陥った。

同日午後から投入されたスチュアート軽戦車6輌により支隊本部は蹂躙され、一木支隊は壊滅した。海岸で波打ち際に追い詰められた兵士は、執拗な包囲射撃によりことごとく殲滅された。

海岸での海兵隊による掃討戦は、21日14時には概ね終了し、意識不明の負傷兵15名が捕虜となった。

支隊長一木大佐は21日の戦闘で戦死したと思われるが、その状況は不明である。


『英霊の帰還』

「ガダルカナル島へ早く行かなければ米軍が逃げてしまう」そう一木支隊の生き残りの方から話を聞いた。

精鋭である道北健児歩兵二十八聯隊はこうして南海の孤島で全滅した。

その日の夜、原隊のある旭川へ軍旗を奉じた一木支隊の英霊が隊伍を組んで帰還した。

昭和17年8月21日の夜、北海道の軍都旭川。

旭川第七師団北部第4部隊(歩兵28聯隊)の営門、旭川市電もとっくに終電で人影ももない深夜のことだった。兵営では兵舎も寝静まり、衛兵所の控歩哨の談笑する声が聞こえるくらいであった。

その時であった、歩哨が編上靴を踏みしめて行進してくるザクザクザクと部隊の行進する音を聞いた。

表門歩哨は聞き耳を立てた、分隊規模なんかじゃない中隊以上の規模だ。

しかし部隊の姿は暗闇で見えない、軍靴の足音だけが近づいて来る。

しかも足音は第4部隊へ向かって来ているようだ、しかし第4部隊は聯隊長一木大佐以下の主力が出征していて留守部隊が残るのみ、夜間演習に出ている報告はない。

歩哨はすぐ衛兵所に向かって「部隊接近!衛兵整列!」と怒鳴った。

衛兵達は驚いたが素早く整列をし、部隊を出迎えるため整列した。

歩哨は注意深く近づきつつある部隊の方向を注意深く見た。

するとなんということか、軍旗を先頭にやって来る「まさか」と思ったが間違いない聯隊旗だ。

軍旗は天皇陛下自ら下賜された神聖で、どんなにボロボロになっても交換されることのない天皇の分身のようなもので、ボロボロの軍旗ほど歴戦の部隊の証しで、軍旗の奉焼や紛失は部隊の全滅を意味した。

しかし28聯隊は5月に聯隊長一木大佐とともに出征したばかりで、軍旗が来るならば聯隊当直司令の将校も立ち会うし、衛兵の責任者である衛兵司令も何も知らされてなかった。

表門歩哨は叫んだ「軍旗入門!、軍旗入門!」戦争中である軍事秘密なのかも知れないと思ったという。

そして軍旗を先頭に部隊は営門をくぐった、歩兵28聯隊の帰還である。

表門歩哨は捧げ銃の敬礼をし、軍旗に続くであろう一木聯隊長へ「表門歩哨、立哨服務中異常なし!」と元気よく報告した。

しかし「御苦労」の一言もなく、部隊は4列縦隊で営門を通過して行く。

なんとなく影絵を見ているようであったという、行進する部隊は息を殺して黙々と営門をくぐるのであった。

その時歩哨は驚いた行進する兵隊達が皆小銃に着剣していたのだ。

しかも兵隊達は今戦場から戻ったような薄汚れた野戦服で、腰から下は川を渡って来たかのようにずぶ濡れで上衣と下衣の色がはっきりと区別できた。

帰還した部隊は兵舎へと消えて行く、聯隊本部前でパァと消えてゆくように見えた。

整列した衛兵達は皆狐に化かされたようにキョトンとしていた。

普通なら帰還した兵舎から賑わう声でも聞こえてきそうなものだが、シーンと静まり返っている。

不気味だ、衛兵司令が「よし、俺が巡察に行き様子を見てくる」と懐中電灯を持って帰還した部隊の様子を見に行った。

最後尾の帰還兵達は第2線兵舎付近に来ると我も我もと空兵舎へと入って行った。

衛兵司令は「御苦労様」の一言でもねぎらいの言葉をかけかいと思い兵舎の中へ入った。

しかし話し声一つ聞こえず闇の廊下があるだけだ、帰還した部隊も兵隊達も存在していなかったのである。


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戦車兵
チップありがとうございます!!無理なさらず御覧頂けたら幸いです。