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復曲能『泰山木』のダイジェスト動画、配信中!異流共演の舞台で、歴史的名品も「共演」!

昨年から能・狂言の映像配信が増えました。

もちろん、生の舞台の鑑賞に勝るものはありませんが、動画ならではの楽しみ方もありますね!

貴重な面・装束を映像で鑑賞することができる機会ですので、ご紹介します!

2021年4月22日、国立能楽堂企画公演の復曲能『泰山木』は、観世宗家と金剛宗家の異流共演で演じられました。『泰山木』の「同音」の地謡については以前こちらでもご紹介しましたが、今回は、もう一つの「共演」も話題になりました。観世宗家と金剛宗家に伝わる能面の「共演」です。

『泰山木』の公演のダイジェスト動画が公開(今月より1年間無料配信)されています!

URLはこちら!
https://youtu.be/9b5NLnKxTBE


泰山木02

泰山府君役の金剛永謹宗家が着けている面(おもて)は、観世宗家に伝わる赤鶴(しゃくづる)作の「小癋見(こべしみ)」です。赤鶴は、世阿弥時代に活躍した面打(めんうち)師(役者でもありました)で、『申楽談儀(さるがくだんぎ)』にも出てきます。

近江には、赤鶴、鬼の面の上手也(略)天神の面、大癋見、小癋見、皆赤鶴也(略)小癋見は世子着出されし面也

「小癋見」は世阿弥が着用したと記されています
赤鶴作と伝わる面は、この「小癋見」以外にも、たくさん残されています。

また、金剛宗家が着用している狩衣(かりぎぬ)は、9世観世黒雪(雪号を最初に名乗った観世大夫。詳しくはこちらが2代将軍徳川秀忠公より拝領した「花色地青海波亀袷狩衣」です。この狩衣は、「花色地亀甲鶴袷狩衣」と対になるものです。

そして、天女役の観世清和宗家が着けている面は、金剛宗家に伝わる龍右衛門(たつえもん)作の「雪の小面(こおもて)」と呼ばれる面で、龍右衛門も世阿弥時代に活躍しました。

泰山木(R3.4.22)DSC_0794国立


能が大変好きだったことで有名な豊臣秀吉が、お気に入りの龍右衛門作の小面3面に「雪」「月」「花」とそれぞれ銘を付けたことに由来します。
秀吉が一番気に入っていた「雪」を金春大夫に(秀吉は金春流を贔屓にしていました)、「月」を徳川家康に、「花」を金剛大夫に下賜されたのですが、近代になって、「雪」は金剛宗家に、「月」は江戸城本丸炎上の際に焼失し、「花」は現在三井記念美術館に所蔵されています。

観世宗家と金剛宗家が名品をそれぞれ着用した舞台は、歴史的にも貴重な映像ですね!

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