百物語69話目「怪異を起こす本」(実話怪談)
隙があれば、読書会に参加する読書好きです。たぶん書くよりも、読む方が好きかもしれない。
今年はゴールデンカムイを三回も別々の読書会で紹介しました。
さて、実話怪談の本を読むと、私のまわりで被害が出ることは前に書きましたが、
フィクションで私が直接出逢った怪異は、ある本だけに起きました。
かの本はあまりにも面白くて、とても途中で読み止めることができずに、朝までかかって一気に読破したんですよ。
京極本なみに人を殺せる厚さの本で、朝までかかりました。
みんなが寝静まった後、台所の小さな電気の下に椅子を持っていって、夢中になって読んだ本です。
でも、深夜も2時を過ぎたころから不思議な音がし始めます。
誰かがゴミ袋を持って歩いているんです。缶とか瓶が入っているようなゴミ袋の音で、歩くたびに地面に置くのか、ガチャッガチャッと規則正しい音が響きます。
そうやって私のアパートのまわりをぐるぐる周っているのです。
燃えないゴミはゴミ収集の前に持っていく業者がいるので、それだろうと思っていましたが、それではなぜ私のアパートのまわりを周って歩くのかがわかりません。
「ああ、これは人でない」
と思ったものの、絶対に読み止めることはできません。あまりに面白すぎたから!
「負けるものか! 絶対に読み終わってやる!」
私は怪異と戦うことに決めて、ひたすら本にすがりついて読み進めました。ガチャッガチャッという音は結局、夜が明けるまで続きます。
でも、ふと気づくのです。
「あれ? これって燃えないゴミの音かな?」
一瞬だけ浮かんだのは、鎧兜の武者姿でした。
いやいやいやいや。
だって、本の内容にそんな人出てこないし!
実話怪談でもないのに、こんな体験をしたのは、後にも先にもこの一度きり。朝まで徹夜して読みきった本も、この本だけ。短いのなら読めるけど、この本は人が殺せる厚さだったからね。
その本のタイトルは高見広春先生の「バトル・ロワイアル」です。
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