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アメリカ製保健室 #毎週ショートショートnote

「やぁよく来たね」

白黒の床にネオンサイン、ベッド代わりの革張りソファ。ジュークボックスからポップなメロディが流れるここは保健室。

「休ませて下さい」

「もちろんいいとも!」

先生がにこやかに答えた。
アメリカから転校して来たからここが落ち着くわけじゃない。クラスの奴らからの宇宙人扱いにうんざりするとここに来る。帰国子女も外国人も今時珍しくもないのに。

「今日は?」

「別に。僕なんていなくていいからここに来ただけ」

「いなくていい人間なんていないさ」

「いるよここに」

そうかなぁと歌うように答える先生に呆れていると扉が開いた。

「おや、お次は?」

入ってきた女の子が絆創膏が欲しいと言うと、先生は無言になって固まった。

「...どうしたの?絆創膏だって。聞いてる?」

その直後、先生は僕にハグをした。

「やはり君はいなくていい人間なんかじゃない。少なくとも今この瞬間、僕には誰より必要だった」

「は?何言ってるの?」

先生が絆創膏を取り出しながら言う。

「私は英語がさっぱりでね」


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