半笑いのポッキーゲーム　#毎週ショートショートnote

ドンと大きな音が鳴り、夜空に美しい華が咲く。
今日は花火大会。私たちは学校帰りに集まって場所を取り、会場から少し離れた穴場の公園にいた。

「そこのコーラ取って」

「あ、俺ポテチ食いたい」

「ねぇなんかゲームしようよ！」

「誰か虫除け持ってる人〜」

みんな好き勝手に騒ぎながら花火そっちのけで盛り上がっている。
夏の夜のひとときにちょっと浸りながらポッキーに手を伸ばすと、彼が隣に来た。

「俺にもポッキーちょうだい」

「ん、ちょっと待って」

最後の1本を取ってしまったので、それを咥えながら新しい袋を開け始める。

その時、ひときわ大きな打ち上げ音が聞こえた。
思わず手を止め、空を見上げる。

ぱっと一瞬が明るくなったと同時に、私の視界は遮られた。逆光でその表情はよく見えない。
ポッキーを食べながら彼が言う。

「ありがと」

「い、今の大きかったのに、見れなかったじゃん！」

動揺しながら半笑いで答える私。
花火よりも鮮やかな光彩が、胸の奥でいくつも弾けた。

(409字)