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恋を見極めるためにチチゲを育てるみーちゃん


「結局あの人と付き合うことにしたの?」
「いや〜、悩んでる。なんかな〜って。」
「え?なんでダメなん?なんかいい感じやったやん。」


私はカフェにいた。
そして隣には20代くらいの女性4〜5人のグループ。女子会だ。
横の席の彼女たちは、そのうちの1人の恋愛話で盛り上がっていた。


盗み聞きをするつもりはなかったのだが、久しぶりの再会と思わしき彼女たちは、これから進展するかもしれない恋の話にヒートアップしていて、段々と盛り上がり賑やかになる。

どうやら、1人の女性がマッチングアプリで出会った男性と何度か会い、そしてこれからの方向性について悩んでいるようだった。


「何がダメってことはないんだけどさ、ん〜なんだろう。もともと友達とかじゃない分、話が合うのも合わせてくれてるのかな〜って思って。」

「あーそれはわかるかも。」

「や、でもだとしてもそれって、盛り上げたいとか仲良くなりたいってことじゃないの?」

「ね〜そうだよね、向こうはいいなと思ってるんじゃない?」

「いや〜、私もいいなとは思ってるんだけどさぁ...。なんかこう、イマイチ決定打に欠けるというか、これでほんとにいいのかなぁ、好きってこんな感じだったっけ〜って思って。」

「はい、出ましたこじらせ〜」


女子校の教室のように彼女たちはあはははと笑う。
楽しそうに1人の女の子の恋の行方を話す彼女たちの声を聞いて、私もつられて久しぶりに高校生に戻ったような気分になる。
私も彼女たちも別に高校生ではないのだが。
でも、悩んでいる彼女の気持ちも、なんとなくわからなくもない。


大人になってからの、しかもマッチングアプリという恋人を探すということが前提のような場で出会ったことにより、その気持ちが本当に「好き」なのかというのが彼女は自信が持てないようだった。
私も同じ立場だったらそう思ってしまうかもしれない。


「っていうかそんな別に焦らないでよくない?普通にもう何回か会ってみて付き合いたいか決めればいいんじゃないの?」

「それがさ〜、話の流れで今度温泉行こうって言われて。いいね〜とか言っちゃったんだよね。」

「うわー、それ絶対アレなやつやん。お泊りってこと?」

「それはアレですね。」


昼間のカフェでなかなかアグレッシブな会話をする彼女たち。
相談者の彼女はちょっと優柔不断っぽい感じ(失礼)。そしてそれに盛り上がる数人、1人は関西弁だ。
彼女が一番この話に興味津々で相槌を打っている。
そして、話を聞きつつも凛とした表情であまり口を挟まずコーヒーを飲む女性がもう1人。

彼女はあまり恋愛話には興味はないのだろうか。
そんなことを勝手に想像していると、温泉に行くか行かないかで盛り上がっていたところを、その凛とした彼女がさらりと答えた。


「私なら、チチゲで決めるね。」

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