最後のマスカラ　#毎週ショートショートnote

マスカラが考案されてから約100年。
長きに渡りまつ毛が多く、長いことは美しいとされてきた。
マスカラ。つけまつげ。まつげエクステ。
様々な商品が売り出され、体中の毛はできるだけなくそうという昨今の流れの中でも、まつ毛だけは不動の地を築いてきたはずなのだが。

それは、あるインフルエンサーの投稿から始まった。
世の中に「まつ毛なしブーム」が巻き起こったのだ。

つるつるの目元が最新のトレンド！
まつ毛もいまやムダ毛の時代！

にわかには信じがたいと思われていたこの流行は瞬く間に広まり、皆まつ毛をなくすことに必死になった。

Youtubeではまつ毛の抜き方動画がバズり、脱毛サロン各社はこぞってまつ毛プランを出す。とある化粧品メーカーが売り出したマスカラも飛ぶように売れた。
その名も「最後のマスカラ」。
謳い文句は"痛くない！これ1本でまつ毛とサヨナラ"。

ちなみにそのメーカーでは、何年か後に向けて次の商品開発が進んでいる。
仮決定している商品名は「復活のマスカラ」だという。

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