ヒノトリ旅日記7 〜モスク巡りと街歩き〜
朝起きるといい天気。
今回の旅行、とても天気に恵まれている。今のところ雨なし。ずっと晴れマークだ。
ぐっすり寝すぎて急いで朝食へ。洞窟ホテルよりも豪華なビュッフェ。わーい。
並んでいるものは概ね同じようなラインナップで基本はパンとチーズ、ハム、ゆで卵、野菜という感じだ。これがトルコの朝食なのね。でもドリンクもパンも副菜もいろんな種類が増えて嬉しい。
プーさんもびっくりのこのハチミツ。集合体恐怖症気味の私はビビって取れなかったのだが、トリちゃんが持ってきたのを一口もらったらすんごく美味しかった。
めちゃくちゃ甘いけど嫌な甘さじゃない。濃厚なのにすっきり。とっても美味なハチミツだった。コムハニーという巣ごと食べるハチミツでトルコでは有名らしくスーパーやお土産屋さんなどでも売っているそう。
今日は街歩き&モスク巡りをする予定。
朝食を食べ終えゆっくり準備。昨日までバタバタだったけど今日からは自分たちで好きな時間に出歩ける。イスタンブールは丸2日、ドバイへの移動日も含めると3日もあるし、現地ツアーも一切入れず完全フリーだ。
そんなわけで観光客にしてはだいぶゆっくりな時間にホテルを出て街歩きスタート。
【ブルーモスク】
まずは「といえば系」から行こう!とブルーモスクに向かう。ブルーモスクの正式名称はスルタンアフメトモスク。オスマン建築の傑作といわれるイスタンブール歴史地域の目玉とも言える世界遺産だ。
さすがブルーモスク、かなりの人で入口付近は大混雑。でも中に入ると人は多いもののじっくり眺めることができた。天井には誰もいないもんね。
最初に見たというのもあって、かなり感動。
ドームの細かな柄や色彩、ステンドグラスから入る自然光もものすごく綺麗だった。
ブルーモスクを出て一度広場に戻る。広場では至る所に可愛いカートの屋台が出ていて焼きとうもろこしや焼き栗などが売られている。
小腹満たしにホットドックを購入して半分こ。写真とは全然違うホットドックに2人で爆笑。
こっちのハム、ソーセージ系は基本やんわりとしていてあのパリッとしたソーセージを期待して食べると「うむ...もむもむ...」という感じになる。
さて次はアヤソフィア、と思ったのだが長蛇の列。
おぉ〜結構並ぶのかぁなんて思って、すぐ近くのトプカプ宮殿の方に行ってみるもこちらも同じくディズニーランド状態。
そしてこの2つの前まで来て、私たちは驚愕した。人がたくさんいるのは承知の上だったのだが、驚いたのは入場料である。
私たちが地球の歩き方(2019-2020年が最新版だった)で見ていた値段からどこの施設も2,3倍、すごいところだと10倍以上値段が跳ね上がっていたのだ。
トルコリラ?ユーロ?見間違い?なんて思って調べたところ、物価変動とオーバーツーリズムの影響で外国人観光客向けの価格が爆上がりしたんだとか。
特に目星もつけず「全部近いから行けるだけ行ってみよー!」くらいにしか思っていた我々。一旦作戦会議をする。
せっかく来たのだから見れるものは見たいし旅先でケチケチしてもしょうがないとわかってはいるのだが、とはいえ時間もお金も限りがある。
とりあえず「絶対見たい!」を1つずつ挙げて、残りをどうするか考えることに。偶然2人ともマストで見たいと思ったのは地下宮殿だった。趣味が似ている。
そして、これを言っては根も葉もないのだが、直近の入場料はおろかそれぞれの観光スポットの予備知識すらぼやっとしている私たちが、それらを見て果たして「これは見る価値があった」と十分味わえるだろうかという話になる。
そもそも私たちはとにかく数年ぶりに旅行に行きたい!海外の街を歩きたい!という思いと、トリちゃんは地下が好き(地下都市とか地下宮殿とか)、私はタイルや布の柄が好きというなんともざっくりとしたイメージだけでトルコ行きを決めたため、かなり準備不足の状態で来ていたのだ。
「なんか...せっかく行っても"ふーん(よくわかんないけど)"みたいな感じになるならもはやだよね...」
「そうね...。ブルーモスクみたいに普通に入れるモスクもいっぱいあるし、とりあえず今日はその辺を巡って、バザールとか見に行こうか。
で、夜ちょっと調べてやっぱり見ときたい!って興味が湧くところがあったら、明日地下宮殿とそこに行くっていうのはどう?」
「そうしよう!あたしは地下宮殿が見れればあとは街歩きでも全然満足!」
「私も現地の美味しいごはん食べて、可愛いトルコランプとチャイグラス見つけられたら満足」
もったいないなぁと思われるかもしれないが、旅の仕方は人それぞれだ。
とりあえず2人の意見が一致したところでなかなかいい時間になったのでスレマニエモスクを目指しながらお昼を食べることに。
アヤソフィアのことはよくわからないが、安くて美味しいと評判のロカンタ(大衆食堂)のことなら調べてきたぞ。
カラフルな建物や外壁、タイル、街を眺めて歩いているだけで楽しい。
ロカンタに向かっていると文房具屋さんがあちこちに点在するようなエリアに来た。私もトリちゃんも文房具好き。特にトリちゃんは画材が大好きだ。
「え〜帰りにこれ買っちゃおうかなぁ」なんて言いながら何軒かあった文房具店を見て回る。私たちはこういうのが楽しいのだ。
私がリサーチしていたロカンタはもう少し先。まずいぞ。お腹が減ったトリちゃんが空腹でちょっとしょんぼりしてきた。
私は謎のギャル男の先輩みたいなキャラ設定で「俺のいきつけ」に女の子を誘うような口調で話し始める。トリちゃんもそれに乗っかって「悪い男に騙されちゃうちょっと世間知らずな女の子」みたいなキャラで応戦。
「俺のよく行くとこ、ちょっと歩くんだけどさ。味とか値段とか、マジクオリティたけぇから、もうちょっと我慢してよ」
「え〜ほんとですかぁ〜?」
「ほんとほんと。この辺とか超庭だし。なんでも聞いて」
「えーめっちゃたのもしーい♡」
行ったこともないロカンタに我が物顔でいざなうギャル男先輩の私。そんなくだらないやりとりをして空腹を紛らわす。なんとなく2人がご機嫌でいられるコツみたいなものを掴んできたかもしれない。
ロカンタに到着。すごーい!
ガラス窓から見えるずらっと並んだ料理。なんだか給食や大学の食堂を思わせるような感じだ。
1つずつに料理名の名札?が書いているわけでもないので(書いていても多分読めない)なんとなく見た目と直感で美味しそうだと思ったものをそれぞれチョイス。
私は焼きうどんを細かく切って炒めたみたいな料理(全然美味しそうに聞こえない表現)と野菜のトマト煮的な料理を注文。
トリちゃんのチョイスもなかなかすごい。なんだこれ...
パンがひとつと黒っぽいドーム型の料理。
「これなに?」
「わかんない。指差したんだけどなんか違うの盛られちゃった」
そもそも食べたかったものですらないんかい!
でもスピーディに対応する店員さんに「それじゃなくて...」とは言えなかったらしい。
しかし食べてみてびっくり。めっちゃくちゃ美味しい。トリちゃんの黒いドームもお肉の中に煮込んだ野菜とチーズが入っていて「え!これ、大正解なんだけど!美味しすぎる!」と喜んでいる。
「だから言ったろ?俺のお墨付きだからココ。来てる奴らもみんな知り合いだし」
調子に乗った私がギャル男先輩に戻る。
俺の知り合い(他のお客さん)のみなさんは、実に様々な人がいる。作業着でランチ休憩かなというおじさんや学生っぽい4人組、親子連れもいるしおじいちゃんもいる。観光客がトルコ料理を楽しむお店というよりはほんとに地元の人たちが来てる感のあるまさに大衆食堂という感じだ。
トリちゃんに「あたし、残り2日ともランチここでいいかも」とお褒めいただき、なんだか嬉しい。活気があっていいお店だった。
【スレマニエモスク】
元気になってスレマニエモスクに向かう。
ここは高校時代の世界史教師におすすめされたモスクだ。
私がSNSでカッパドキアの写真を上げていたらアヤソフィアと共にぜひ行くべきだとメッセージが来た。
今は SNSで高校の時の先生とも繋がれる時代だから面白い。ちなみにその先生は卒業した生徒にはアカウントも教えるしフォローもするというスタンスらしい。先生も色々気を配らないといけないこともあるだろうし、大変だよね。
でもこの先生、かなり変わっていて大学受験に一度失敗し、センター試験を2回受けているのだが、世界史だけは2回とも満点だったという完全なる世界史オタクなのだ。「スレマニエモスクはミマールシナンの傑作」というコメントと共に建築士シナンについて書かれた本のスクショまで送られてきた。オタクが推す場所は信頼できる。行こう。
スレマニエモスクの方がブルーモスクよりも人が少なかったからか、それともモスクの周りの緑地のようなところが広々としていたからか開放感があってすごく居心地がよかった。
ベビーカーの横にシートを敷いてくつろいでいるファミリーがいたりしてポカポカ陽気で絶好のピクニック日和。海が見えて眺めもいい。
【イェニモスク】
そのままガラタ橋の方に歩いて行くと橋のたもとにもう1つモスクが。イェニモスクというらしい。
入れるかな?行ってみようかなんて軽いノリで覗いてみたが、タイルやドームの色使いが個人的にはここが一番好みだったかもしれない。
だいぶ歩いてきたなぁ。まだまだ日は高いけど時刻は18時過ぎ。そろそろごはんのことを考えなきゃトリちゃんのしょんぼりモードが発動してしまうかもしれない。
「夕ごはん、どうしよっかぁ」
ちょうど同じことを思っていたようでトリちゃんが言う。
「ホテルの方戻ってどっか探す?」
「そうだね〜。でも海見たらなんか海鮮系食べたくなっちゃった。ケバブ美味しいけどずっとお肉ばっかり食べてるし。そういえばサバサンドないかなぁ」
「トリちゃんが元気なら、ガラタ橋の向こうに魚介系のレストランをチェックしてたけど...向こう側行ってみる?」
「...!!え〜!せんぱぁい、あっちまで庭なんですか〜?あたしお魚たべたいです〜♡」
「お、おぅ当然だよ。ちょっと歩くけど、めちゃウマイからじゃあそこ行こうぜ!」
再び始まる茶番。こっちの方まで来るかわからなかったが、私も絶対魚を欲するターンが来ると思って調べていたのだ。ギャル男先輩のいきつけは大体ちょっと歩くことになる。
では、お魚夕ごはんを食べるためにガラタ橋を渡って新市街カラキョイ地区の方へ。
ガラタ橋は上層と下層の2層式になっていて上層は車道と歩道、そして下層にはレストランやカフェなどがずらっと並んでいる。
「はーいこんにちは!お食事いかがですか?」的な言葉を日本語、英語、中国語でたくさん話しかけられつつ橋を抜けて行く。
ここは旧市街と同じくらい客引きの人が多く、海を眺めながらシーシャを吸えるレストランなどもあって観光客にすごく受けそう。でもギャル男先輩が目をつけていたのは昼のロカンタのような土着系のお店である。
橋を渡り終えて脇道に入るとすぐにお店は見つかった。
中に入ると特大の鉄鍋っぽいものでフリットを揚げている店員さん。近くには魚や貝がでんでーんと置いてある。厨房がとってもワイルドだったので写真を撮りたかったが、店員さんたちもワイルドでなんとなく怒られそうな気がして撮れず。海の男はどこの国でもてやんでい系っぽい。
各国の言葉で略されているがほぼわからない。かろうじて読めた英語を見て焼きサバとエビのキャセロールを注文。
ロカンタもそうだったけど残念ながらここにもお酒はない。でもこの地元感というかローカルな雰囲気のお店、たまらん...!
きたー!
大衆食堂と同じく、映えるかどうかと言われたらなんともだがだからこそ期待。いただきます。
2人でサバを一口食べて悶絶。
「ぎゃー!!!うまー!」
「あぁ...魚...(言葉にならない)」
久しぶりに食べた海鮮の味、最高すぎる。焼きサバなので味付けは至ってシンプルだがそのシンプルな塩気と脂の乗ったサバの味だけでうまい。
エビとチーズが大好物なトリちゃんはキャセロールも大絶賛。野菜もたっぷり入っていてあっさりとパワフルのちょうどいい塩梅。海沿いで涼しくなってきたのもあってあったかい料理が沁みる。
「いや〜やっぱり魚だよねぇ。ね、明日もごはんこの辺来ようよ。他にもお店いっぱいあったし」
「そうだね。どうせバザール行ったらガラタ橋の方まで来るし、そうしよっか」
「そういえばバザール行けなかったね!」
「まぁでもモスクも3つ回ったし、結構満足した」
「うんうん!満足!」
久しぶりの海鮮料理に大満足した私たち。
季節的になかったけど、生牡蠣もあるみたいです。
「ところで、もうちょっと元気ある?帰りにミディエドルマをゲットしたいんだけど...」
「なにそれ〜?」
「なんか屋台料理みたいなの。どこにあるかわかんないけど、ムール貝にピラフが詰まっててレモン絞って食べるやつ。1個単位で買えるんだって。本日のホテル飲みのアテにどうですか?」
「最高すぎます!白ワイン買って帰ろう!」
歩き疲れながらもお酒のアテとなれば頑張れる私たち。そしてそうと決まればリサーチが早いトリちゃん。無事橋の近くで屋台を発見してミディエドルマをゲット。
お店の写真を撮り忘れてしまったが、ここで買いました。
るんるんで歩いて帰り、昨日のなんちゃってコンビニで白ワインを購入。ホテルの近くにお酒が買えるお店があったのは本当に助かった。
これがミディエドルマ。レモンも半分に切ったのを2つもつけてくれて嬉しい。つまりまるまる一個。
さっそくレモンをたっぷり絞っていただきます。
あーーー!これはビール党の私でもわかる、白ワインにめちゃくちゃ合うやつ。結構しっかりめの味付けでまさにちょうどいいアテ。
「うわぁ〜ウマーーー!もっと買えばよかったね!」
「ね、ご飯も入ってるからそんなにいらないかなと思ったけどパクパク食べれちゃう」
トルコのEテレみたいなテレビをつけながらワインを楽しむ。携帯を見ると今日の歩いた歩数なんと28,000歩。いやぁ、歩いたなぁ。ゆっくりめのスタートだったけど、かなり遠くまで行ったらだいぶ疲れた。
「あ、そうだ。明日もう1個観光スポット行くかちょっと調べよ!」
そう言って携帯を開き、アヤソフィアを調べ始めたトリちゃん、5分後に寝る。
「まだワイン余ってるよ?もういいの?」
「ん〜...飲む....でも一旦、はみがきする...」
そう言ってのそのそとベッドから立ち上がるトリちゃん。どういう順番?絶対寝ますやん。
まぁでも今日も今日とて疲れたもんね、無理はよくない。
私も残りのワインを飲みながらアヤソフィアについてちょっと調べてみる。先生も推してたしやっぱり行くならアヤソフィアかなぁ...
ふとトリちゃんを見ると、歯磨き中に志なかばでそのまままた沈没。歯ブラシを咥えたまま寝ている。あ、もうだめですねこれは。
さすがに歯までは磨いてやれないのでとりあえず歯ブラシを没収し、恒例となったベッドサイドのお片付けをして私も寝る準備。
昨日のはフラグだったか...。