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アナウンス

アナウンスは、繰り返し場内に注意します。「客席での会話は、必要最低限とし、大声での会話や声援は、お控えください」。

3密といえるホールの客席で、けれど、観客は、おとなしくはしていません。「集中集中!」、「足使って!」。選手に向かって声を荒らげます。

ここにいない常識人なら、たぶん、眉をひそめる風景です。けれど、叫ばずにいられない距離と空気が、このホールにはあります。

放つ言葉によって「無力な自分も選手とつながっている」と勘違いする。「とてつもない相手と拳を交えている」と勘違いできる。それは、甘美な勘違いです。


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皮膜
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