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長島(2)

長島の愛生園には、今も150人程度の入居者がある、と聞きます。でも、いくら園内を歩いてみても人影がありません。

あちこちに据えられたスピーカーから、ラジオの音声が放たれていました。あれは娯楽のためなどではなく、視覚に障害のある者を誘導する目的といいます。

真夏の白昼、大音量で流れるラジオの音声がむしろこの島の静ひつを際立たせ、私たちは、島民が出払った町に迷い込んだ錯覚に陥りました。

でも、幾十と連なる生活棟の中からは、微かな人の気配を感じます。彼等の生活の場に土足で踏み込んでしまった気がして、私たちは、足を速めました。


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皮膜
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