I島(2)
I島に最近戻った、という息子さんは、会話を過度に湿っぽくしない調子で「骨粗しょう症もあるようなので、復帰は難しいでしょうね」といいました。
「あそこに行けば、また温かく迎えてもらえる」と信じて疑わなかった私は、つい、「残念です」と口走り、すぐにその軽率な返答に恥じ入りました。
それは、お気楽な観光客の身勝手な感想に過ぎません。でも、息子さんはそのことをとがめず、「楽しみにしてくれてたのに、すみません」と取り成します。
「日常生活だけでもできるようになるといいんですが」。息子さんの言葉に、私は、「全ての日常には終わりがある」と思い知らされていました。
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