島で土葬が行われていた頃、遺体は集落から離れた土地に埋葬して「埋め墓」とし、集落に近い場所には石塔を建てて「詣り墓」とした、といいます。
両墓制の痕跡は、今も瀬戸内で見られます。狭い島では、墓地の確保も容易ではありません。それは、限られた土地を有効に活用する工夫なのかもしれません。
それと同時に、墓の特徴を如実に表す慣習のようにも見えます。一説に、ハカとは、放り投げる場所を表す「ホウリカ」から転じた言葉とされます。
死者を遠ざけながらも、しのぶ。埋め墓の前で、死者と生者の間の距離について考えていました。