物語を書く中であるある

上記の補足も含んでいます。ぜひあわせてお読みくださると嬉しいです。

たまに物語をかいていると、なぜこのような事を書いたんだろう?って分からなくなることがあるんです。でも、書く筆は勝手に進むんですよ。この試行錯誤を積み重ねたら、こういう決断をするだろうという確信は確かにあって、この人はこうする人だと文を綴る中で新しい気付きを与えてくれます。

世界観をうまく構成できたら、勝手に人が出来上がっていきます。こういう葛藤を抱えた人がいて、この立場の人はどんな行動を積み重ねるのか、どんな憧れをいだいていて、どういう挫折を乗り越える筈だって具体的に人物像を固めて、その設定を納得させるだけ奥行きのある設定を付け足すんです。

勝手に人が出来上がるから、人物の紹介を後から見直してみて、設定上可能な人生なのかを考えると、大体何をしたいのか目標が出来上がるんです。この人の葛藤を物語にしたいって欲が出てくるんですよ。良い世界を作ると、勝手に人が出てくるから、世界観をよく設定しておくことが重要なモチベーションになるんです。

個人的に気をつけていることは、物語を動かす時に以下の六つの視点を作ることです。

・傍観者(一部しか知らないモブ、現実感の演出要員)
・観測者→第三者(読者目線)
[干渉/静観]物語を動かす提言or状況説明役
審判者ほどの影響力はなく、傍観者が観測者に格上げされる場合、新たな出来事や行動動機を描写する必要がある。
干渉の具体例は、進撃で言えばマルコ的なポジション。マルコの言葉でジャンは調査兵団入りを決意した。その後ジャンがエレンを審判して、護持者から支援者へ移ったと考えられる。

・審判者(主人公を認めたり、敵対したり)
[肯定/否定](葛藤を煽り対立目線を作る)
主人公を評価する中で、護持or支援に分類
できる。キャラ独自の正義感に従って判断する名目上、主人公や仲間と価値観や目的が対立する物語を作りやすい。

・改革者→開拓者(筆者&神の視点)
[世界観が矛盾なく進むか見張る視点]
(状況の変化を積極的に加える筆者の代弁役)

・護持者(変化に抗う人、政治で言えば保守派)
主に世界観を説明する文脈で、物語上は当たり前の視点を提供する。審判者と異なる点は、物語上の日常生活を維持する考えを教えてくれる。新規に事件を開拓したり、審判者や観測者の視点に移動することもある。目的次第で支援者にもなり得る。

・支援者(変化を積極的に応援する人)
主に主人公を取り巻く環境の中で、動機は一旦抜きに物語上の出来事に対して主人公側の視点を支援する視点。対立軸は審判者と護持者である。

余談ですが以上の視点は実社会でも応用しようと思えば可能です。会話の中のトピック次第では共感するだけでも観測者か支援者に格上げされます。悩みの種は護持者か審判者が持って来ます。それか自分の葛藤が循環論法として悩みに深化しているかですね。

テーマに沿ってどう考えるキャラを配置するかはいつも悩みます。何故ならば、護持者と審判者と支援者が重なれば、ドラマや葛藤が産まれないからです。だから動機を作って対立煽りをするわけです。そのためにその世界での事件を考えて、どうすればご都合主婦的な帰結を回避できるかが悩みの種です。

そういえば、物語って最低何人居れば成立しやすいかご存知ですか。最低三人です。一人か二人なら、それだけ葛藤が深かったり、読者の感情を巻き込めるだけの世界設計が必要です。平たく言えば文章力がないと厳しいです。

一人なら私小説、二人ならゆっくり解説のような特定のテーマについて語りつつ私小説の流れを汲んだものにすることが多い印象がある。

でも、登場人物を増やしすぎると結構大変なんですよね。だって、終わりを作れないくらい風呂敷が大きくなるからです。両価性を兼ね備える物語を書く時に、片方の気持ちを蔑ろにしない終わり方を作るのは至難の技です。

私にはできませんが、こういう能力は普段の日常会話で学べる視点ですね。ムードや空気作りなどの応用力がないと結構難しいイメージです。ある種作家性が求められて、多少のユーモアを交えて架空の出来事に昇華するのが物語です。

現実は小説より奇なりと言うように、、現実超えは至難の技です。こんな話が実際にありそうだと思わせるまでに、どれだけの想像力が必要かを考えるんです。すると、突飛に見える視点に現実感を与えるのは才能だと分かる筈です。SFとは以下の理由で才能の試験会場でもあるわけです。

余談ですが、普段から葛藤や悩みが多い方は、小説を書くことも向いています。繊細な悩みや葛藤に共感できれば、多くの人を巻き込んだ物語が書けます。ブラックユーモアを考えたり、趣味に凝ってる人であれば知識を基に別の物語に落とし込むことが可能です。文字書きとしては、ぜひそういう方に筆をとっていただきたいです。

そして、皆さんの創作論なども知りたいです。いつか世界観や創作論を語り合えることを楽しみにしています。ではまた!


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