怒涛の2月
お久しぶりです。
2月は本当に怒涛のひと月でした。本当は2月の終わりにこのnoteを投稿するつもりだったのですが、気がつけば3月に……
25歳のこの1年間、ずっと目まぐるしく日常が過ぎていっていましたが、最後の月にこんな大変なことになるとは思わなかったほど怒涛でした。1月がかなりスローだった分、余計そう感じたのかもしれませんが。
1月は結構暇だったのです。そのため新しい練習メニューを試したり、フルートの練習に集中してみたり、仕事がないなりにできることをしていました。時間があるから、ということでインスタグラムの毎日投稿に取り組んでみたり(お陰様で3月には今年の目標だったフォロワー1万人に達することができそうです。)25歳最後だし、自主企画をしてみようと2月の最後にブックしたコンサートのための曲を書いてみようとしたり。
そんな中、1月の半ばにサックスのAlejandro Avilesから突然テキストが来ました。彼にはサックスはもちろんですが、フルートやクラのレッスンをお願いしたこともありました。それに、私がよく行くビッグバンドのライブでセクションを吹いていたり、お手伝いしたライブの出演者だったりしたのでよく会っていました。テキストの内容はPedro Giraudo Jazz Orchestraのリハトラのお願い。Alejandroが吹いているPedroのコンサートに行ったこともあったし、そもそも彼の音楽が好きでよく聴いていたから、トラとはいえリハに参加できるなんて滅多にない機会だと思い二つ返事でオッケーしました。(ソプラノも買ったし!)
それから3日くらい経って、彼からの突然電話。
「アルト2ndがリハも当日も来れなくなってしまった。リードのリハトラはこっちで探すから、2ndとしてリハも当日も演奏してくれないか?もちろんPedroに確認してからになるけど......」
ニューヨークでは、たびたびこういうことが起こるんですね。まさにLast Callです。まあ今回はリハまで1週間以上あったので近々ではないかもしれませんが、それでも結構ギリギリ。スケジュールを確認したら、空いている。というより、リハ出るし本番も観にいこうとしていたし、普通にスケジュール帳にPedro観に行くってメモしているし。一瞬、私に演奏できるのか?という不安がよぎりましたが、「空いてます、ぜひお願いします。」と言いました。電話切ってからもずっと心拍数上がりっぱなし、みたいな。それからしばらく経ってPedro本人から「楽譜は近日中に送るね〜」というメールが来た。あ、これほんとに本番乗るんだ……と思いました。自分でそう言ったのに。どの曲が来るかわからないけど、とにかくリハに乗ることが決まってからずっとPedroの曲しか聴きませんでした。結局一週間前を切ってから、バーっと15曲くらい楽譜が送られてきました。
正直「……できるのか、これ?」と怯みました。彼の音楽を知っている方はわかると思うのですが、めっちゃくちゃ難しいんです。アルゼンチンタンゴとジャズを融合させたジャズオーケストラで、拍子が8分の11とか8分の5とか。4分の4の曲なんて一曲くらいしかありませんでした。いや、わかっていたけど、わかっていたけど難易度マックスじゃんこれ、みたいな。てかソロもあるし、8分の11の上でソロしなきゃいけないし、なんかフューチャーされるバラードあるし。しかもメールの最後に「新曲は今書いているよ!間に合うようにがんばるね!」という本人からのメッセージ。まだあるんかい、曲。
そこからはもう譜読みの嵐です。朝も昼も夜もずっと彼の音楽だけを聴いていました。ディナーの時でさえずっと聴いていた私に付き合ってくれた夫、ありがとう。幸か不幸か、はたまたここまで神様の計画なのか、リハまでの間全然仕事がなかったので、ずっと練習ができる環境ではありました。絶対後悔したくなかったのでめちゃくちゃ練習しました、まじで夢の中でも8分の11拍子を刻んでしまうくらいに。文字通り血反吐吐きそうになりながら練習して思ったことは、「やればできる」という脳筋みたいな事実。何度も「こんなの吹けるかーーー!!!」と発狂しそうになったり「こんなのできっこないよ!」と弱音を吐きそうになったりしましたが、練習すれば吹けるんです。もうとにかく数をこなして、身体に叩き込んで、他のパートの目立つところも全部メモして、これ以上できない!というくらいに準備しました。
そしてリハ2日前。セットリストと業務連絡のメールが送られてきました。セットリスト通りに楽譜を並べていると違和感が。あれ、1stセットのこの曲、データもらってなくない……?
その曲というのが、またも8分の11拍子で息継ぎするところがないくらい8分音符の敷き詰められた曲でした。これあと2日で吹けるようにしなきゃならないわけ……?本人に聞いたら「ああ、これがこの曲のデータだよ、楽しんで!」という短いメッセージと共にファイルが送られてきました。まじか、普通に忘れていただけっぽい。まさに背水の陣でした。やるしかない。音源と一緒に演奏できるくらいのクオリティに持っていかなければならないけれど、楽譜をもらってからは演奏する曲だけ聴いて練習していたから(そりゃそうだ)他の曲よりも聴き込んでない。リハ前日の夜もずっと音を出さずに練習していました。ここまで追い込まれたことって、もしかしたら人生初だったかもしれません。しかも前日には「やっとできたよ〜!」というメッセージと共に新曲まで送られてきました。しかもフルートめっちゃ吹くやつ。すでにあんまり記憶にないくらい、ヒーヒー言いながら練習していました。
そしてリハ当日。リハでクビになったらどうしよう、という不安もあり(不安になり過ぎていた)震えながらリハに行きました。リハで口乾きっぱなしでしたが、とりあえず大丈夫でした。もちろん持ち帰って練習しなければいけないところはたくさんありましたが、激ムズ曲もできるようにしていったおかげで吹けました。人間やればできるんだという当たり前の事実をここにきて改めて感じました。やったらできるんだからやるしかないんです。メンバーにも「初めてこのバンド乗る時はめっちゃ練習しなきゃならないよね〜!」と言われたので、ニューヨークにいるミュージシャンでさえそう感じるのか……と思いました。ただ、ずっと好きだった音楽の一部分になって演奏できることは本当に純粋に嬉しかったです。大好きな曲「Visitas」を実際にバンドで演奏した時は、最高すぎて高揚感でいっぱいでした。ファンだったバンドの本物と演奏できるなんて機会、ニューヨークにいるからこそ与えられた機会だよなあと。しかし、もっと完成度を高めなければいけない。リハから本番までも6日ほどあったので、ずっと練習していました。必死すぎてどんな生活を送っていたかあんまり覚えていない……。
そして本番。これ以上できません!というくらい準備したはずだけど、やっぱりド緊張するもんですね。こんなに緊張したことないってくらい緊張したし、こんなに集中したことないってくらい集中しました。本番には友達もたくさん駆けつけてくれて、1stが終わってからみんなに会いに行ったら「なんか湯気出てるよ笑」と笑われるくらい汗だくでした。そもそもチケット売り切れだったし、会場も暑かったのですがそれ以上に高揚していたので湯気立っていたみたいです。会場には挾間美帆さんも来てくださっていて、ご挨拶することができました!デンマークでお会いした時ぶりだったので、とても嬉しかったです。
ライブが終わってから、メンバーの皆様に「よくやったよ〜!」と言っていただけてとても嬉しかったです。もちろん反省点もたくさんあるし、もうちょっと余裕を持って演奏できたら……と思う瞬間もありましたが、何よりバンドの一員となって演奏できたこと、ハーモニーを感じて曲自体を楽しめたこと、心から「やり切った!!」と言える演奏ができたことは本当に嬉しかったです。先ほども書きましたが、ニューヨークにいるからこそ与えられた機会だし得られた経験だなと。今年アーティストビザの申請なので、ニューヨークにいる意味を改めて実感を持って感じることができました。こういう経験のために、ここにいるんだなあと。
ちなみに、このライブの後すぐにインフルにかかり、治った頃には自分のコンサートまで1週間切ってました。流石に怒涛すぎたひと月でした。コンサートもこの間ハイライト動画を投稿しましたが、またそれについてのnoteも書けたらいいなーと思っております。
3月は今の所そこそこ忙しいです、レッスンやったりギグしたり。今週は何故か「今日の夜のギグいける?!」というLast Callが2回もあって、ちょっとバタバタしていましたが試される瞬間が多くてとても勉強になっています。あと、結構譜読み頑張らなきゃいけないタイプのリハトラとかもあって、すごく鍛えられています。ビッグバンドやアンサンブル系のお仕事もこれからたくさんやっていきたいな。日本でも是非誘ってください!
また、打ち合わせ中のインタビューやイベントなど色々進んでいるので、楽しみにしててください!頑張るぞ〜