【感覚を学ぼう!1】前庭覚の機能について
深部感覚という言葉を聞いたことがありますか?
深部感覚とは 皮膚や粘膜の表面でなく、内臓までの内部の領域において存在する受容器を刺激して起こる感覚のこと を指します。
深部感覚には
・位置覚
・運動覚
・振動覚
・重量覚
・抵抗覚 …
専門的に学ぶとこんな感じで分けられるほど感覚というものはあります↓
この感覚を複合的に情報処理して、運動機能に生かしているのが「前庭覚」というものです。
今回はその前庭覚について簡単に解説します!
前庭覚はどんなときに使われている?
目をつぶって、片足立ちしてみてください。その際にぐらぐらしながらでも立つことが出来る人が多いと思います。
この時、前庭覚は耳の奥にある耳石器と三半規管を通して姿勢が傾いたことに気付き、筋肉へ信号を送りまっすぐの姿勢を保とうとします。
他にも、ぐるぐる回った際にも体の回転に合わせて、視線がブレない様に眼球を一定の位置に保つ力が働きます。※前庭動眼反射
まだ他にもあります!
重力を感じて姿勢を保つ働きも行います。重力を感じるということはスピードも感じるということです。跳んだり落ちたりする際にも重力を感じて着地を上手にしようと、筋肉へ指示を送る機能も前庭感覚の役割です。
まだまだあります!
前庭覚は情緒や心拍数等のコントロールをする自律神経と大きなつながりがあります。そのため脳の覚醒とも深い関係です。
赤ちゃんはゆっくり揺すると気持ちよくなって眠ることがありますね。
これは前庭覚が弱~く刺激されて、心拍数を下げ、気持ちを落ち着かせる
作用があるのです。
こんなにたくさんの機能を持つ前庭感覚!
実は発達障がいの子たちにはこの感覚がうまく機能していないことで
困り感を抱いている子がいます。
・ブランコや滑り台を怖がる(前庭覚の過敏)
・いつもそわそわ、落ち着きがない(前庭覚の鈍麻)
・車酔いしやすい(前庭覚の過敏)
・目が回らない(前庭覚の鈍麻)
・でこぼこ道や階段の上り下りが苦手(前庭覚の鈍麻)
・高いところを怖がる(前庭覚の過敏)
・イスなどで姿勢が崩れやすい(前庭覚の鈍麻)
こんな様子が目立ってあるようであればバランス感覚を養う遊びを設定すると改善するケースがあります。
しかし、この感覚も10歳前後で発達が止まるという人もいます。
小さいうちから取り組むことが大切です。
ここで忘れていけないのは子どもに対して「前庭覚を鍛えよう!」という目的で遊ばせないことです。この目的で遊び始めると”指導”が入ってしまい、遊びにならなくなります。遊びの延長で鍛えられるのです。なので…
必ず、楽しんで行うことが大前提です!
無理ないところから始めることが大切です。
具体的にバランス感覚を養う遊びを紹介します。小さな施設でも使えるものもあるので、参考にしてみてください。
・いちりとらん
・ブランコ
・平均台
・トランポリン
・ツイスター
・下駄ぽっくり
なんとなくバランス感覚を養う遊びがわかりましたでしょうか?トレーニング器具では多く種類があるのでそれも十分使えると思います。子どもが夢中に遊ぶものは上記のものが代表的かなと思います。
これらの遊びを十分に行うことで、多動傾向が軽減される子もいました。情緒の安定にもつながる前庭覚を刺激する遊び。ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?
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お掃除係の実習を体験した保育士さん、きちんとした指導・教育を受けられずも頑張る支援者さん…など現場に困り感を持っている方へサポートすることで、子どもたちに還元されるものがあるのではと信じています。よろしくお願いします。