見出し画像

40数年の時を経て、生きる力を与えてくれた教師の色紙

#忘れられない先生

少し前に生きるのが辛かった時に、生きる勇気を与えてくれた色紙がある。
正直なところ、これまで存在自体あまり気にかけていなかったが、ふとしたきっかけで目にすることになった。私にとって人生の薄暗いトンネルの真ん中にいた時になにげなく引き出しを整理していたら、それは忽然と私の目の前に現れた。
涙が溢れた。
40年以上の時を経て自分の存在を肯定する一助となった。これまでの私の人生には必要がなかったかもしれないけれど、「そのとき」には必要だったから姿を現したのかもしれない。

中学時代にある英語の非常勤の先生と出会った。英語を担当していた先生が長期で休みになり、その先生は私達のいた教室に爽やかな風をまとってやってきた。住んでいた辺りにはいない洗練された雰囲気の漂う女性の先生で目鼻立ちのとてもはっきりした色白の美人の先生だった。長い髪を後ろできっちりまとめておられ、美形がひときわ際立った。ただ美人というだけでなく内面の美しさも雰囲気に表れていた。本当の美人というのはこんな人のことをいうのだろう。一緒に写した写真もまだ持っている。私達は授業が終わってからも先生に質問攻めにした。

その先生の授業はユニークで通常の教科書の授業に加え、時折英語の歌を聴いて、歌詞を読み解く授業があった。サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」の詩の素晴らしさはここで学んだ。先生はこの詩を通して友情とはなにか?についても教えてくれた。既に海外アーティストに興味を持っていた私は先生の事が益々好きになった。今では考えられないが、先生のファンになった数名の生徒をご自宅に招いて下さり、個人的なことも伺った記憶がある。出身は首都圏であるが、何故今ここに住んでいるのか等々。

非常勤のお仕事が終わった時に先生のファン?の私達に手書きの色紙を下さった。40年が経った今でも品の漂う色紙だ。ピンクの花の絵と手書きでEmily Dickinsonの詩とその詩で先生が伝えたい事が日本語で書かれている。


My dear friend ○○○、

The brain is wider than the sky.
For, put them side by side,
The one the other will include.

-One of the poems of Emily Dickinson-

心(思い)というものは空よりももっと広い
心と空をならべてみたら、ほら
心の方が空をその中に入れてしまえるから。

あなたの眼が地面ばかりみつめるような辛く
打ちひしがれた時、ふとこの詩を
思い起こしてもらえたら…そしたら小さく
ちぢかんでいた心があの広ーい空を思い出して
ふたたび涯しない空の広さを
心のうちにとりこむことが出来る。
だから
Don’t give up!
負けてはいけない!
あなたの心はあなたの存在は地球より重いのだから!
December 1973  署名

画像1

あの時ただ若く無知ないち中学生に「My Dear Friend」と綴っておられ、 先生の懐の深さが伺える。

非常勤の勤務が終わられてから連絡を取らなかった事が、今となっては悔やまれる。


今先生はどうされているのだろうか。先生は将来私に辛い出来事が訪れるのを知っていたのだろうか。

先生ありがとうございます。今はなんとか日々過ごしています。     その後どうされていますか?     


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?