『ザ・ファブル』『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』(ネタバレなし)
原作を最近読んで、予想以上に面白かったので勢いで実写映画版二作を一気に鑑賞。
凄腕すぎて都市伝説化しているプロの殺し屋「ファブル」(岡田准一)は、組織のボス(佐藤浩市)から休暇を命じられる。休暇中は「ふつうの人」として生活し、人を殺してはならない。「ふつう」になろうと頑張るファブル=佐藤アキラ(偽名)だが、身の回りではいろんな事件が勃発。果たしてアキラは誰も殺さず事件を解決できるのか……みたいなあらすじ。
漫画の実写化っていろいろ言われがちよね。映画と漫画はまったく違う媒体なので、完全再現を目指さないほうがいいと個人的には思っている。原作そのままでつまらん映画よりも、原作とは別物でも見どころの多い映画になっててほしい。
『ザ・ファブル』を実写映画にするとなると、これは何よりもアクションが大事な映画になる。その点、岡田准一を主演に据えたのは大正解で、並外れたスキルをいかんなく発揮している。ぶっちゃけド素人なのでアクションの何がどう良いのか言語化できないんだけど、すごいのは一目瞭然。
ファブルというキャラは、殺しの才能に特化している(サヴァンらしい)せいで一般常識はまったくないし感情表現も下手くそで、真面目な顔でズレた言動をするおかしさが魅力のひとつだが、岡田くんのなんかいつもキリッとしてる顔がキャラによく似合ってた。真顔のままで演技するのって大変だろうなと思う。プロやな――。
キャラクター再現度でいえば、ファブル=アキラの妹のフリをするヨウコ(木村文乃)が一番だった。鑑賞前は顔似てないと思ってたけど、開幕早々男を酔わせて遊ぶシーンで本人そのままじゃん!とぶったまげた。
あとはキャラクターひとりひとりについて語るのめんどくさいので印象に残ったところでいうと、柳楽優弥はあまりにもヤベー奴オーラ出すぎてて、ヒャッハー系の悪役が嫌いな俺でも一周回って好きになれた。
あと二作目の平手友梨奈はキャラの背景を考えればイメージに合う配役なんだけど、平手ちゃんって良くも悪くも一般人感がなくて、パッと見で闇が深そうに感じてしまう。もうちょい自然体な感じがよかったかなーと。
そう、原作の良さは激しい殺し合いをしていてもどこか日常の延長のような雰囲気があるところだと思ってて、映画では全体的にメリハリありすぎて原作の雰囲気はちょっと損なわれてるかな?とは思った。
ただアクション映画としてちゃんと面白いし、何より原作知らない人が見ても問題なく楽しめるんじゃないかと思う。漫画の実写化でそれができてればもう満点よ。
その他で思ったことは、一作目冒頭の戦闘するうえでのデータみたいなのが文字で浮かんでくる演出が個人的には好きだったからもっと活用してほしかったとか、二作目のマンション大立ち回りでそこらじゅうから殺し屋がワラワラ湧いてくるのケレン味あっていいよねとか。そんな感じです。