そうだ、循環器に行こう
1.はじめに
もしあなたが恋をしたり、運動をした覚えがないのに胸がドキドキして苦しくなるとしたら。そして足に消えないむくみがでるようになったとしたら、それはひょっとしたら心臓が悪いのかもしれません。
今日はそんな方に循環器内科の受診をすすめるお話。少しでも心臓に不安がある方はぜひぜひ読んで参考にしてください。
2.生命の中『心』、心臓
そもそも心臓はどんなものだろう……というところですが、単純に言うと血液を全身に送る臓器です。それ故にここが障害されると、全身に血液(栄養や酸素)が送ることができずに体に悪影響がでます。体内にある臓器はどれも大事なものですが、心臓はその役割ゆえに最重要のひとつと言うことができます。
そんな大層な仕事をしている心臓ですが、その大きさは大体握りこぶしくらい。意外と小さいと感じるかもしれません。重さは300g程。そんな小さな心臓ですが一日に約1万回以上、一年にしたら370万回も拍動して全身に血液送っています。さらに心臓が送り出す血液の量は寝ている状態で1分間にも5リットル、一日で7200リットル(ユニットバスで36杯分)にも至ります。すごいですね心臓。
ここでみなさん、心臓をちょっと止めてみてください。10秒でも、いや5秒でもいいので。
……できないですよね? 少しの間なら息を止めることはできます。それでも心臓は止まりません。生まれてきてからずっと、生を終えるまでずっと心臓は働き続けるのです。あなたが働いている時も、遊んでいるときも、笑っている時も泣いている時も。あなたがもし死のうと思っていたとしても、心臓は愚直に働いています。心臓はあなたの中の一番の応援団かもしれません。
3.心臓がよわくなるとどうなる? と受診のススメ
そのあなたの応援団である心臓が、なんらかの障害で機能が低下すると様々なからだの変化が生じます。動悸、息切れ、下肢のむくみ、……。夜間の頻尿というのも症状のひとつ。他の臓器でも同様の症状がでる可能性もありますが、前述した症状が出たら循環器内科を受診することを検討してください。
特に重要な症状は「心臓をわしづかみになるような痛み」「胸から背中にかけての鋭い痛みが続く」「急におきる気持ち悪さ」「暑くもないのにじっとりとした汗を多量にかく」。こういった症状は心筋梗塞や大動脈解離、急性心不全のなどの致死的疾患の可能性があるので、救急車を迷わず要請してください。
心臓は老化によってもその能力を低下させます。そして心臓は一度障害されると元の健康な状態に戻ることは難しいもの。症状を我慢すればするほど(病気を放置するほど)、健康から遠ざかりますので注意したいところです。
4.心臓・血管の専門家 循環器内科
では心臓を診てくれる診療科、循環器内科とはなんのか……ですがざっくり言うと心臓と血管に関連する病気を扱う診療科です。「血液を体に循環させる臓器(心臓)を扱う内科」というイメージでしょうか。扱うのは心臓だけでなく、頭から下の血管を扱います。ちなみに頭の血管は脳神経内科や脳神経外科ですね。
循環器内科が扱う病気は狭心症、心不全、大動脈解離、不整脈、高血圧、脂質異常症、先天性の心疾患等々テレビでも見聞きするものが並びます。患者様の症状の問診や各種検査を行い、必要な治療を行います。
心臓の検査にはレントゲンや心電図、超音波などの検査があります。手首や足の付け根の動脈から心臓までカテーテル(細い管)を入れる検査もあります。カテーテル検査は上皇・上皇后両陛下様もうけたことがあるのではないでしょうか?
そして心臓に治療が必要となれば様々な方法で治療していきます。外科的治療が必要な場合は心臓外科に紹介されると思います。
循環器内科はほぼ全身の評価をしますので、心臓疾患以外にも糖尿病や腎臓病も発見しやすいと私は思います。なんらかの症状で循環器を受診したら、他の病気が色々見つかって大事になる前に治療ができた……というケースは珍しくはありません。
さて循環器内科に受診しようと思ったとき、どこがいいでしょう? 以前載せた良い医者の選び方を参考にしてみてください。
さらに言うとすると、クリニックや病院のホームページなどで医師の資格を調べて『日本循環器学会専門医』があることを確認しましょう。もしホームページの情報がない場合、個人クリニックは看板を見てみてください。看板に循環器内科、と書いてあっても、耳鼻科や外科の併記があると要注意です。このような「何でも屋」は病気を見落としてしまったり、誤診をしてしまう可能性があると私は考えます。餅は餅屋、ですね。
総合病院であれば循環器内科と書いてあればおそらく『日本循環器学会専門医』は在籍していると思いますが、念のため受け付けに確認してみましょう。
5.まとめと健康診断のススメ
今日の話しは心臓についてでした。まとめると以下の通り。
・心臓は大事な臓器。症状があれば早めの受診を。
・受診するとき『日本循環器学会専門医』がいるところに。
少し話がずれますが、健康診断をうけたことがない方はぜひとも健康診断を受けてみてください。大抵の地域の総合病院であれば検診は受けることができます。30代、40代になってくるとどんなに健康にみえてもなんらかの疾患にかかっている可能性は十二分にあるんです。早期発見、どんな病気であっても大事ですよ。そしてもし健康診断で要受診とでたら、すぐに受診をしてください。それが結果として病院にお世話になる時間が短くなる≒長く元気でいられるコツです。ただの長生きではありません。長く元気で、です。今の医療はポックリとはなかなか逝かせてくれません。病気を自己判断で放置していたら病気を発症、治療の末に命は助かったけど半身麻痺になって一生寝たきり。よくよくみるパターンです。
今日の黒い戯言は「病院嫌いな人ほど、結果として病院で辛い人生を送ることが多い気がする」というところで。
今日も読んで頂いてありがとうございます。