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自分のすることの範囲を決めること

おいしそうなパテ。

つい数か月前までは、ああ、テリーヌが作りたい!テリーヌとパテの違いは?と考えていた。

自分で作ったテリーヌでおいしかったのは、鶏肉のイタリアンロール。これは、鶏むね肉を薄く開いた中に、バジルを引き、ドライトマトやオリーブを散らした中に、鶏ひき肉ペースト状に塗って、それを巻いて、グルグルにし、それをオーブンで焼き、ハムのように厚切りに切ったもの。彩が良くて、本当にお弁当に入れても最高だった。ちゃんとイタリアの国旗のカラーになっているところが心憎いレシピ。

それから牡蠣と卵で作った、これは型に入れて焼いたもの。シンプルなのに、非常においしかった。

作ってみたいのは、サーモンのマリネ。

兄がフランス料理のシェフで、私たち三人兄妹の共通点と言えば、料理が好きなことくらいなので、一度、兄に教わりたいなどと思いながら、今まで来てしまった。ひどいときには、パリにいる兄に、私の教え子が帰省の折に会って(彼女は当時、実家がパリにあった。)、あまりのイケメン度に、「本当に先生のお兄さん?」と訊いたらしく(ちょっとひどいやんか!?)、兄は兄で、「僕は、勉強はできないけど、シュークリームはうまいよ!」とかなんとかジゴロチックにシュークリームの作り方を教えていたらしい・・・。生徒に教えるのではなく、妹に教えてよ!いや、教えろよ!

兄に、ミルフィーユの作り方を教えてくれ、と詰め寄ったことがあったが、あんまり真剣に取り合ってくれなかった。どうも私の直観では、割と手を抜けるところは抜いていたのではないかと思われる・・・。私が料理に几帳面な面があるのと対照的に。

かつて、フランス料理の本を買った。かつては、ほぼほぼ専業主婦だった私は、エイヤッと、当時の私にとっては高価な本を、本屋さんで何か月も眺めて、欲しいなあ、欲しいなあ、と思いながら、やっとのことで手に入れたことがあった。確か、本屋さんの中では一番分厚くて、一番高価な本だった。

大学時代に、伯母から料理全集をもらった。従姉と伯母で、一揃えずつ買った料理全集は、従姉と伯母が同居するにあたり、一揃え余ってしまったので、まだ嫁入り前の私のところに来たというわけだった。

高校時代の家庭科の課題、ホーム・プロジェクトで、私は、時間が取れなかったので、暮れのお節料理を作ることにした。浴衣を縫ったり、洗剤の研究を本格的にする人もいたのに、私は、一番簡単そうなものを選んだ。正直楽しかった。まだ下手な、私の身欠きにしんを使った昆布巻きを一番喜んで食べてくれたのは父だった。たぶん、夜遅くまで勉強している姿より、娘が料理いている姿が嬉しかったのだろうなあ。

それから、男の子しかいない叔母に、毎年母は羨ましがられていたようだ。私がお節料理に目覚めてしまったから。レンコンの意外なお料理を作ってみたり、今風にアレンジしたものが好きだ。

伯母にもらった料理全集が好きなのは、富山の郷土料理であるべっ甲の作り方が載っていたので、私にとって、優秀な全集というレッテルを張られてしまったからだ。基本的なお料理は、大抵掲載されている。別にこれさえあれば、買う必要もないと思いながら、ついついて手を出してしまうお料理の本。

夫が食べるものにうるさくて、私は思わず、料理が上達してしまった。子どもたちのおいしそうにご飯を食べる様子が愛おしくて、ついつい研究してしまった。

お料理って、人が仲良くなるのに、とっても素敵な役割を担ってくれる。

高校時代の家庭科の先生は、いずれ社会に出ていき、結婚しても勤め続ける人が多い学校の女子生徒に、「疲れて帰ってきたときに、家の中に、お菓子のバニラの香りがどれだけ神経を和らげるか、考えてごらんなさい。」と教えてくださった。変に真面目なところのある私は、本当に真面目に従っていた。バニラエッセンス、バニラオイル、バニラ・ビーンズをどれだけ使って来ただろうか・・・?

で、この話のオチは・・・?

最近は、ある種世話する人の数も減ったので、仕事を本格的にしている。

あのレシピを試したい。お洋服が縫いたい・・・、と夢見る夢子をしているのであるけれど、長年、ああ、仕事がしたい、と夢見る夢子をしていて、今、仕事を楽しんでいるんだから、そっちの夢見る夢子の方は、ちょっと空想だけにして、しばらくは、やめときな、と自分に言い聞かせようと思ったのである。

それは、先日の、秘書との、ドクダミについての会話で気づいたのである。

「先生、ドクダミは、来年にしましょう!ほかのことができません!」

ということで、できたら私のお弁当も作ってくれないかしらん?と、ずいぶん長い間、「嫁がほしいー!」と叫んできた私の嫁役(今頃嫁、なんて言葉使ったら、何か抵抗あったり、怒られたりしそうな・・・。)をしてもらえるのではないか?などと虫のいいことを考えていたりするのである・・・。

欲張り人生は、きっとまだまだつづく・・・。


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