円滑なコミュニケーション〜具体思考と抽象思考〜
どーも皆さんこんにちは。文豪です。
そろそろこの呼び名を自分で言うのも恥ずかしくなってきましたが、なんだかんだ言い続けるんだろうなと思っている今日このごろ。ある本を読んだことで自分自身がアップデートされた感覚がありまして、親指フリックスタイルでブログを書こうと思った次第です。
「具体⇔抽象トレーニング思考力が飛躍的にアップする29問」著:細谷 功という本を読んだことで、自分の思考の広がりと、物事の捉え方、人の話への理解度が格段にアップデートされました。
具体と抽象という”言葉”は知っていたが、今自分は具体のレベルで考えているな、抽象レベルで考えているなということを意識してはいなかった。これを読んで、これまで人に何かを伝える時に上手くいかなかったことや苦手だったこと、コミュニケーションにおいて何故か上手くいっていたことの言語化やイメージができたので書き残しておこうと思った次第です。
今回はこの本を読んで学んだことと自分の経験を混ぜながら、具体と抽象の思考法とその効果について書いていこうと思います。
下記の方は読んでいただけると、現状を打破するきっかけになるんじゃないかなと思います。
会議で上手く発言できない人
話がうまく伝わらない人
上司または部下とのコミュニケーションに悩んでいる人
深い思考が苦手な人
ではでは本題に入っていきます。
※お前の話より、原典を読みますという懸命な判断をする方は目次の「最後に」をクリックして、hirokiの血と汗と涙の結晶である本文をスルーして本をご購入ください。w
具体と抽象とは?
抽象:
一言で森羅万象を表現する事ができる汎用性のあることで、抽象化するとは同じ属性を持った者同士をまとめる「分類」のこと。抽象は物事に優先順位をつける。
具体:
それぞれ固有の特別事例なので優先順位はなく、それぞれ同等である。
例えば哺乳類>犬>柴犬、パグのように右に行くほど具体になっていく。一番左の哺乳類が犬より大きな分類で、柴犬とパグは同等の分類である。
本当はこの辺りの定義の理解が大事なのだがそれは書籍に任せ、すぐに思考やコミュニケーションに活かせるような整理をしていこうと思う。
コミュニケーションに活きる具体と抽象
服屋さんでの具体と抽象
具体と抽象が意識できるとコミュニケーションに活きてくる。
それがなぜなのか服屋さんにおいて、上司が部下に指示をするというシュチュエーションで説明をしたい。
例えば上司から「売上を上げろ」という指示は具体か抽象かで言うとどちらだろう?
これは抽象的な指示だ。
では、「服を売って売上を上げろ」これはどうだろうか?
少し具体的指示になったがまだざっくり。
次に、「Tシャツを売って売上を上げろ」はどうだろうか?
おぉ具体的になってきた。
最後に「赤いTシャツを売って売上を上げろ」はどうだろうか?
とても具体的な指示だ。売上を何を売って作るかはこれ以外の選択肢がない。もっというと品番の指定まであるが。
上司の立場と部下の立場からの整理
売上を上げろという指示は「抽象的な指示」。赤いTシャツを売って売上を上げろは「具体的な指示」だ。
では、この抽象的指示と具体的な指示はそれぞれ、現場コミュニケーションにおいて、上司部下の立場ではどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。
抽象的な指示の場合
上司の立場「売上を上げて!」
メリット:
指示がこれで終わり。常に時間のない上司としてはなんとも楽な指示の仕方だ。それで売上が上がるのだから。
デメリット:
指示された部下がどのように売上を上げるのかがわからない。いつまでにどれくらい上げる気なのかも(1万円?100万円?)。つまりどのように伝わり解釈されているかわからない。
部下の立場「上司に売り上げあげてと言われた」
メリット:
売上が上がれば何でも良い。いつまでにという期限もないし、売上が上がれば良いのだから、100円でもいい。もちろんやり方もなんでも良い。売上をあげる方法、期限、何の売上を上げるかまで自分で設計し決められる。自由の極みだ。
デメリット:
売上の上げ方がわからなければ、動けない。動けたとしても上司に聞かない限りどれくらいの期待値を持たれているかは想像でしか無い。
具体的な指示の場合
上司の立場「赤いTシャツを売って◯日までに○円売上を上げろ」
メリット:
部下の行動が予想できる。部下は赤いTシャツを売ることはほぼ間違いない。◯日までに○円売るための施策を考えるため、基本的に部下が思った通りの行動をする。
デメリット:
自分が思い描いた以上のものは出てきにくい。赤いTシャツを売ることを考えているので、Tシャツ全体やその他の商品を絡めてを上げる施策を考えない可能性が高い。例えばTシャツとパンツをセットで買うと10%OFFなどの施策アイディアは出てきにくい。
部下の立場「赤いTシャツを◯日までに○円売れと言われた」
メリット:
指示が明確でわかりやすく行動に移りやすい。赤いTシャツを売るためにはどうすれば良いんだろう?と売るためにすぐに行動に移れる。スケジュールも引きやすい、予算もある。売り方がわからなかったとしても周囲に質問しやすい。「赤いTシャツを売るためにはどうしたら良いですかね?」など。
デメリット:
売るための自由度がなくなる。赤いTシャツって1番売れないんだよな。1番売れる黒のTシャツをからめた施策のほうがいいのにな。1ヶ月後。。上司「なんで赤いTシャツ売れてないんだ!」部下「すみません。(赤のTシャツがそんなに簡単に売れるわけ無いじゃん)」
具体的な説明をしたので、長くなってしまった。。
そう。具体的に説明するには時間がかかるのだ。しかし上記の事例を理解できない人は少ないのではないだろうか?
上司と部下のコミュニケーションの例を抽象的に説明すると
「抽象的指示は自由度が高いので気をつけよう」「抽象的指示は良くも悪くもサプライズが起きる」のような感じだ。
これだけ伝えられて理解できる人はどれだけいるだろう。
これが理解できる人は頭の中で服屋さんの事例の”ようなもの”を想像できているのだ。つまり抽象的な言葉から具体的なものに落とし込める。
逆に具体しかわからない人は抽象の世界が見えない。服屋さんの話は服屋さんの話という特別事例だ。
服屋さんの事例から「抽象的指示は自由度が高いので気をつけよう」という考えには行けない。
ここまでを図解で整理
ここまでで、コミュニケーションが上手くいかないと感じている方にはある程度答えが見えてきたのではないかと思う。ここまでの話を整理しつつ、僕自身は部下のアウトプットと期待値が乖離したことがほぼないのですが、それがなぜなのか、これまでの指示の出し方を振り返ろうと思う。
具体と抽象はマジックミラーの関係
図1のように、抽象世界と具体世界は抽象的思考ができる人からは具体的世界が見えるが、具体的思考しかできない人から抽象的世界は見えないという、まるでマジックミラーの関係がある。
コミュニケーションが上手くいかない原因の一つはお互いに話している次元(抽象的な話なのか具体的な話なのか)が異なることに起因する。
上司の方はなぜ自分が上司であるか、なぜ部下が部下であるのかを考えることが、お互いのストレスを減らす方法として良いと思う。これは上司が偉い偉くないの話ではなくて、例えば企業のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を考えるなど上流の考えは抽象的思考が必要になり、それをやるのは組織で言うと、"上の人(役員など)"が行うことが多いと思う。企業にとって重要であるからということとは別に、一般社員より役員レベルの人のほうが抽象的思考ができる人が多いからとも言える。
図2のように抽象的な議論になればなるほど”理解出来る人”は減ってくるということは頭の片隅に入れておくとよいだろう。
※とはいえこれを書きながら、抽象的な話しばかりの上司も困りものであるし、そうだとしても抽象概念を理解してさえいれば、具体的行動(手段を知っている、実行できる人)が出来る部下がいれば問題なかったりもする。抽象的なことしか言わない人って逃げだよなとも思ったり、具体思考しかで出来ない人って成長や理解のスピード(1を知って10を知る的な)が遅いしなとか結局一長一短よねなど、周囲の環境によってずいぶん変わるよねとかもちゃもちゃ考えている。。
自分が行っていた部下への指示出し
これまで、hirokiは部下に指示を出してきて、期待値を下回るアウトプットが出てきたことは少ないと感じている。ほぼ想定通りという表現のほうが正しいかもしれない。それがなぜなのか振り返ろうと思う。
その理由は大きく下記の2つだと思っている
部下の得意なこと苦手なことを観察し(最低限自分なりには)理解していた
期待値を大きく下回らないように具体的な指示の出し方をしていた
メインは2つ目の話だ。
そもそも期待値を下回るということはどういうことだろうか?
アウトプットが自分にとってなんらかのネガティブな状態で出てくるということだ。
期待値を下回る原因は「期待値が高すぎる(部下の能力的なものも含め)」、「期待値が伝わっていない」が主な要因ではあるが、それを防ぐにはどうしたら良いのだろう?
現場の実態として1から100までの具体的な指示を出すことなんてないことを考えると、具体的な指示であれ抽象的な指示であれ、図3の赤部分のように、常に期待値を下回る可能性をはらんでいる。
具体的に指示すればするほど自分の時間が取られるし、部下の自由度がなくなるから、期待値を大きく上回って出てくることもない。
逆に抽象的にすればするほど指示も楽だが、部下の自由度が高いため、想定通り出てこない可能性が出てくる。
つまり、抽象的な指示であればあるほど、良くも悪くもサプライズが起こる。
ではポジティブなサプライズの可能性を残しつつ、ネガティブなサプライズの可能性を消すためにはどうすれば良いのか?
僕の答えは、「禁止事項、ルールを”具体的”に伝えること」だ。
やっちゃいけないこと、自分の想定していないことなど、手段としてやって欲しくないことを伝える。非常に単純化して記載しているが、それさえ伝えれば図4のように具体的な指示であれ抽象的な指示であれ、アウトプットは想定通りか上振れかしかなくなる。(言われたことはちゃんとやる部下という前提だが)
また、具体がわからない人はいないので、コミュニケーションミスは無いに等しい。
例えば、6月にTシャツを売って10万円の売上作って欲しい。販促費は10万円までなら自由に使って良い。ただし、値下げという手段は取らないこと、進捗がどんな状態であれ、絶対に○日には中間報告をすること。そして○日には施策を開始すること。
のように「ただし」以降が禁止事項とルールだ。
こうすることで、ポジティブなサプライズは残しつつ(部下に思考、選択肢の余白を残しつつ)、期待値を下回ることは限りなく減らせる。
売上いかなかったら期待値下回るじゃねぇか!という声が聞こえてきそうだが、もちろんその通り。下回ります。w
具体と抽象とは関係ないのですが、そこで部下をどれだけ理解できているか(期待値の見極め)が重要になります。部下のアウトプットは平均パフォーマンス〜低めのパフォーマンスだと想定しておく。Aさんなら10万の売上に対して少なくとも6万くらいは作ってくるだろう(通常パフォなら8万は作るだろう)。なので俺は別の施策で4万円の施策を実施しよう。こうすることでAさんが良くないパフォーマンスでもバックアップ施策がある状態となり、通常のパフォーマンス以上を出してくれたとするならば全体ではバックアップ施策分が上振れとなる。
まぁこんなに単純にはいかないのも真実だが、この考えでやっていたら、単純に期待値ハズレでストレスを抱えたり上手くいかなかったことは少なかったよと。
意図がうまく伝わらない、コミュニケーションにズレを感じるという人は、相手がどの抽象レベル、具体レベルで話しているのか、そもそも抽象的な話を理解できる人なのかという視点を持つだけで、格段にコミュニケーションが円滑になるとお思いますので、是非試してみてください。
深い思考をするためには
長くなってきたので、さくっとですが深い思考についても。
深い思考をするために必要なことは何なのか。
それは「具体と抽象の行き来」と「なぜ?を繰り返すこと」です。
例えば上記ができれば売上上げろという指示について下記のように考えられます。
①1番売れている黒いTシャツをもっと売ることにしよう。
②とはいえ売上って何で構成されてるんだっけ?客数×客点数×客単価だよな。
③具体的に客数ってどうやったら増やせるんだっけ?
チラシの配布?メディアに出ること?
これまでこのTシャツは割引のチラシに載せたことがないな。チラシを配ることにしよう。配るエリアはどうする?前はA地区に配布したけど、チラシ効果が最近高かったB地区に配布してみよう。
④客点数を上げる施策もチラシに盛り込もう。
⑤2枚で10%OFFにしたら点数上がりそうだな、、、
⑥なぜ店舗の施策だけ考えているだっけ?オンラインでの販売はだめなんだっけ?
①→②は具体から抽象、②→③は抽象から具体へ行き、具体の深堀り、③→④は具体から抽象へ、④→⑤は抽象から具体へ。⑥は新たな問い。
このように深い思考には「具体と抽象の行き来」と「なぜ?」を繰り返すことが重要。
※上記の例の思考が深くないですがイメージなんでご勘弁をw
自分が今思考していることの抽象度レベルはどの程度なのかということを意識すると、ちょっと具体で考えすぎているなとか、抽象的すぎるからアクションを起こしづらいなとかが見えてきます。
そうすると抽象に上がるべきか、具体に掘り下げるべきかを判断出来るようになり、深い思考が可能になります。
最後に
いかがでしたでしょうか。
冒頭でも話しましたが、「具体⇔抽象トレーニング思考力が飛躍的にアップする29問」を読んで、自分の思考の広がりと、物事の捉え方、人の話への理解度が格段に上がったことを実感しています。
具体と抽象の定義や概念を理解することが非常に重要なのですが、その部分の説明はかなり長くなってしまうので、すぐに役立ちそうな具体的な事例で説明してきました。
こちらの本は読んでいただくと、このブログの100倍深くわかりやすく、体系的に具体と抽象が理解していただけます。
じゃあ最初からこの本おすすめで終わらせておけや!という声はしっかりとスルーしながら本の購入リンクをそっと置いておきますので是非。
それではまたの機会に!
皆さんごきげんよう
hiroki