#23 孤独とランデブー
いつだって世界は素晴らしい。いつだって人間は支え合っている。人々は同じ空を見上げて、同じ空の下で生きている。
快晴の空の下、ボールを追いかけて元気に走り回る子供たち。
揺れる足音。乾く前髪。君の目の輝きを人々は喜ぶだろう。
少年が蹴ったボールは、ネットに突き刺さった。しかし少年は笑顔を見せない。スコアは1-3、1点を返しただけだからだ。
少年たちは同じ空の下で、ひとつのボールを追いかけて走る。この上ない喜びとワクワクを抱えながら、風を切って全力で走る。
観客の僕も気持ちが良かった。素晴らしい時間が流れている。
試合はそのまま終了。カップ戦ということで、笑顔のなかった少年のチームは、敗退が決まった。
しかし、チームのみんなは顔が綻んでいる。試合には負けたが、全力で楽しめたようだ。
心の中で喜び、表には出さない。心の中で悲しみ、表には出さない。
それでも、少年は前を向く。今を生きる。練習に励み、努力する。少年の確固たる意志に脱帽だ。
家に帰り、部屋でひとりパソコンに向かう。大量の依頼メールを読み、それに答えていく。
ふと窓の外を見上げると、オリオン座が綺麗にダンスを踊っていた。
人々がそれぞれ違う空を見上げていると感じた時は、孤独だ。
いつだって世界は残酷で、いつだって人間は独りぼっちだ。 人々は違う空を見上げて、違う空の下で生きている。
孤独とランデブーしようじゃないか。
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