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思いを伝える

人生で一番駆け抜けた一ヶ月だったかもしれない。全ての週末に何かするべきことがあり、作り上げたものたちを届けるための日々だった。思うように届かなかったもの、思っていた以上に届いたもの、思いもよらぬところに届いたもの。どんなに小さな石でも水に落ちれば波紋が少しずつ広がっていくように、世に向けて放たれたそれらは少なからず色々なところに影響を及ぼしたはずだ。

自分が作ったものを誇るのが苦手だ。作った自分自身が手を行き届かせられなかった部分を知っていること。そもそも自己評価の高くない人間が、自分の何かを曝け出してどうですかと問うこと。そういったことにいちいち羞恥心や劣等感を感じて、「一応やってみたんですけど…」とおずおず出すのが精一杯。しかも同じようなことをやってる人なんていっぱいいるし、それらの人たちは自分よりずっとうまくやる。そんなことで頭がいっぱいになって、とりあえずいいやと引っこめてしまう。そんなことがたくさんあった。
もちろん今もある。だけど、前に比べたらずいぶんマシな方だ。それは、自分で作ったZINEで、自分で作ったものの発想だけは自分でも褒めてあげられたこと。誰かと一緒に作るZINEで、その誰かがすごいからみてほしいと言えたこと。人のZINEの編集と製本で、メインではない部分で役に立てたこと。その三つをいっぺんに経験できた。

自分の得意なことが見えて、それが自信になる。まるで就活生みたいなことを言っている。でも、そんなことに就活時代から10年も経って今更気づいたっていいのだ。だって、それでこんな楽しい日々を過ごせているのだから。そしてもう少し、伝える努力を続けてみようと思えているのだから。

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