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awai saijiki

「awai saijiki」という、ちょっとした記録を綴ってみようと思います。
我が家だけの、「歳時記」を作るような気持ちで。

歳時記との出会い

もともと、こどもの頃から「文字」に興味がある子でした。
小学生の頃は学級新聞みたいなのを作るのが大好きで、自分でファッション誌を作ってみたり(カッコよく言えばあれもZINE!笑)、好きなこども番組の脚本?のようなものを書いてみたりしていたのが
中学生・高校生になると分厚い教科書を手にするとニヤニヤが止まらない変人に成長。
そんな一面を見抜いたのか、クセ強な孫たちのなかから選ぶならわたしが1番有効活用しそうに祖父の目には映ったのか(笑)
俳句が趣味だった祖父が、当時高校生だったわたしに歳時記をプレゼントしてくれました。

当時は、俳句に使う季語の辞典みたいなものか〜と、あくまでも「俳句を作る際に使うもの」と理解して、その文字量・情報量にニヤニヤしたくらいで、特別気に入って読んだり使ったりという機会はありませんでした。
それをくれた祖父はというと、四六時中とにかく俳句を書く、書く。
思いついたらどこにでも書く。
外食した先の箸袋の裏、ちり紙、おっと鞄にはカレンダーを小さく切ったメモ用紙まで用意されていた、なんてこともあった。
そんな祖父が亡くなる直前、「俳句は、日記なんだよ」とわたしに教えてくれました。
その日あったことを記録するために、俳句にして残すのだと。

もう一度歳時記と出会う

祖父が亡くなってすぐに、わたしはこどもを授かりました。
祖父の命日から十月十日を数えると、出産予定日と数日違いくらいだったので、祖父は数日間の魂の散歩を楽しんだ後、またこの世界にやってきたんじゃないかと思っています(笑)
せっかちな祖父なので散歩は数日で気が済んだのだと思う、多分親戚もみんなすごい勢いで頷いてくれるはず。とても早い転生です。(笑)

こどもが生まれると、目まぐるしい毎日の中で、あぁこのことを一生忘れたくない!どうか走馬灯にこの瞬間も入れといてくれ!みたいな場面がいくつもいくつもあって、
寝不足だろうと何だろうと、今日あったことを、発見したこの子の成長を書き漏らすまいと夜な夜な日記を記していました。

そんな時に、ふと祖父の「俳句は日記」という言葉が思い出されて、自然と祖父からもらった歳時記に手が伸びました。
久しぶりに開いてみると、今までには気づけなかった四季を表す言葉の美しさを改めて知ることになりました。

空の色や肌に触れる風の温度の一つをとっても、それを表す言葉が季節ごとに何種類も掲載されていて、
日常の中で微妙に移り変わっていく季節のすべてを
春とも夏とも言えないその間までもを網羅して
これだけ色々な言葉で表現していた先祖の人々に羨ましささえ感じるほどでした。

こどもは四季をよく知っている

こどもは、わたしたち大人よりもずっと四季を知っていると感じます。
教えなくても、土に葉に、虫に目が向き、手が伸び。
反対に旬を過ぎた野菜・果物には手が伸びない(笑)
誰より早く雨の匂いを察し、変わった雲を発見して教えてくれる。

通っている園でも季節ごとのイベントを楽しんでくるので、こどもたちの遊びをきっかけに「そうか、もうそんな時期か」なんてこちらが気づいたりもします。

そんなこどもたちと生活していると、「歳時記」に記された言葉は驚くほど、その時の景色をそのまま思い出させてくれる、そこまで連れて行ってくれると気づきました。

我が家だけの、歳時記をつくろう

歳時記は、「季語」の傍に簡単なその解説が入ります。
例えば、こんな風に。

「夏の宵」
夏、日が落ちてまだ夜になりきらない時間帯。町に灯が増えはじめ、ようやく暑さから解放された人々がほっとくつろぐひと時である。心地好い風に吹かれながらビールを飲んだり、浴衣に着替えて祭りや花火に出かけたりして時を過ごすのも、夏の宵ならではの楽しみであろう。

引用:新版 角川俳句大歳時記 夏

この季語に、わたしはこどもたちと近所の夏祭りに出掛けた日のことを思い出すのです。
行きはまだ明るくて、祭りの音がする方に向かって駆け出すこどもたちを追いかけながら、去年は太鼓の音を怖がっていたのになと成長にしみじみする。
そして大汗かきながら屋台を楽しんだら、帰る頃にはすっかり暗くなっていて、屋台でゲットした光るヨーヨーをブンブン光らせながら家に向かう。

祖父の言った通り、季語はその日の日記の最小文字数の要約、あらすじみたいにその日の記憶を呼び出してくれる。
だからわたしも、その時々の景色を言い表すのにぴったりだ、と思う「季語」を取り上げては、その傍に家族の様子を記すことにしました。
俳句とも、日記とも少し違う、「我が家だけの歳時記」を作るつもりで。

季節のあわいを、掴めたような掴めないような
この「awai saijiki」を
一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。

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