
【映画】忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師〜作り込まれた最強作品
30年続く子供向けアニメの13年ぶりの劇場版は、ふだんのギャグコメディとは一線を画すシリアスモード。
忍たま乱太郎は、乱きりしんの3人と土井先生、山田先生くらいしか知識がない状態で見に行ったわけですが。
ものの見事に引き込まれました。
登場キャラがめっちゃ多いんですけど、知らないなりに彼らのことがわかる描写なのですよ、うまい。
小説をベースにしながら、子供が見ることを前提としたアニメならではの演出が映える構成!
冒頭から画面に咲き乱れる彼岸花とカカシが、血(と死)のメタファーとなっていて。
過剰な残酷描写を避けつつも、過酷な世界観をがっつりと叩き込んでくる手腕がすごいです。
細やかな演出は、室町時代という彼らの生きる舞台の背景を映像で知らしめてきます。
わかる人にはわかるように、気づける人には気づくように。
子供が見れるようにレーティングをあげない工夫とふだんの忍たまらしいコミカルさも大切にしながら、リアリティラインも上げてくるんですよ!
ここも本当にすごい!
プロの仕事に痺れます!
今回の物語のキーになるのは、土井先生。
土井先生ときり丸の絆も主軸に置きつつ、一年は組のよい子たち、山田先生一家、忍術学園、ドクタケやタソガレの忍者隊など、多数の人物と感性性も入り組んで魅せてきます。
小説版にはなかったエピソードの追加や変更により、広がった奥行きは圧巻!
画面の端、一瞬の映り込み、目線の動きや表情、仕草、ひとつひとつに細やかな芝居もつけられている。
もちろん、表情だけでなく、背景による時間の変遷までこまやか。
誰の視点でものを見るか、でこんなにも世界が変わるんだなとも。
まさしく忍者映画なのですけど、その実力差までもが丁寧に描写されていく。
忍術学園の5年性、6年性、卒業生、プロ忍者、土井先生、山田先生、タソガレドキの雑渡さん、他勢力の忍者など……
実力や経験値も含めてアクションシーンが細かく描き分けされてることに驚きます。
あえてセリフにはされてないけど、相手がどれくらい手加減してるか、手加減がないどどれほどの実力差なのか、この辺に気づけるともう!!
言葉として明確に伝えられてはいないけど確かにそこにある優しさや期待や思い入れとかまで垣間見えるようです。
アニメ映画は意図して作画しないと形にならないわけで、たまたま映り込むとか、役者さんがいい表情を作ったとか、天候含めた自然現象の妙とか、そういう『偶然』は起こり得ないということで。
タイミングの重なり合いから起きた奇跡の一瞬、などという産物は見込めない、ひたすらに練り上げこだわり作り込まれた作画であるという点がまた、たまらなくさせるのです。
いいもの観たなと思うし、表情も声も演出も美術も音楽も何もかもに意図を感じさせるのがたまんないです。
二度三度と繰り返し見ることで、新たな発見があると確信してまして。
多分あと2回くらいは足を運びそうです。