ひかたかりん

ミステリと少しの不思議をこよなく愛するモノ書き あなただけの物語をオーダーメイドで綴らせていただく"物語ライター"りんと申します

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ミステリと少しの不思議をこよなく愛するモノ書き あなただけの物語をオーダーメイドで綴らせていただく"物語ライター"りんと申します

マガジン

  • 物語ライターモニター企画

    物語ライターのモニター企画として綴らせていただいた物語たち

  • オーダーメイド物語【納品作品】

    ご依頼によりオーダーメイドで綴らせていただいた『この世ならざる物語』

  • 創作短編

    ファンタジーとミステリと好きなもので綴る創作短編、あるいは創作の断片

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【企画】鉱石の囁きを月のカードにつづる物語【受付中】

クリスマス時期に鉱石の囁きをお手紙方式でお届けします運命のダイスによって引き当てた鉱石ーー そこで得たインスピレーションをもとに、『鉱石の囁き』を月のポストカードにガラスペンで綴り、お手紙方式でお届けします。 ・石が好きな方、鉱石アクセサリー好きの方 ・ファンタジーや物語が好きな方 ・背中を押してもらいたい方 ・ちょっと変わった贈り物を探している方 ・手紙や手書きの文字が好きな方 ・心に栄養や癒しがほしい方 完全ランダムなのでどんな石になるのかは神のみぞ知る 【内容】

    • 小説を書いたり読んだりする人が答える20の質問に回答!

      noteで面白い記事とシェアを拝見して、青豆ノノさんの企画に私もソワソワしつつ回答してみました。 Q1、あなたは、目的なく大きな書店へ立ち寄った時、まずはどのコーナーへ行きますか? 小説、特に文庫本新刊コーナーからスタートします。 その後に建築とか鉱石とかの図録集や写真集のコーナーへじりじりと。 Q2、好きな本の装丁を見せてください。もしくはその本のタイトルを教えてください。 COSMOS 植田明志造形作品集/植田明志 緋色の囁き/綾辻行人(祥伝社と講談社どちらも好き

      • 【オーダーメイド物語】誕生日の物語#19

        うちの商会で扱う宝石と見まがう硝子玉で飾り立てたランタンが、町の至る所で鮮やかに夜を照らし出し、露店の合間を楽しげな声が飛び交い、そこを青年騎士団が巡回していく。 今年は留学していた第三皇子の凱旋もあり、ひときわにぎやかだ。 そんな光景を商会の窓から眺めながら、思い出すのは、かつて私の隣で笑っていた幼馴染の少年のこと。 『いつか、きみに本物を贈るからね』 彼が差し出したおもちゃの指輪には、私が作った海色の硝子が嵌まっていた。 この街に根付く大商会の後継である私は、幼い頃か

        • 【創作語り】キャラクターのヘイト管理に想いを馳せる

          キャラ描写におけるヘイト管理考・読み手の感情を揺さぶるのは大事 ・主人公を引き立てる悪役も必要 ・倒されることで読み手がカタルシスを得られる存在は重要 でも、登場するだけで不快なキャラにしてしまうと、作品として大きなつまずきになってしまう。 実際、いろんな作品に触れる中で、何度かそのキャラの言動がストレスになって読むのを途中でやめたという経験が。 で、ふと思ったのです。 糾弾されるシーンや、そんな行動をとらざるをえないと読み手が納得感できる描写、キャラなりの信念や美学が

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        【企画】鉱石の囁きを月のカードにつづる物語【受付中】

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          21本
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          8本
        • 創作短編
          10本

        記事

          【オーダーメイド物語】誕生日の物語#18

          街を囲む結界壁から一歩でも外へ出てしまえば、そこには死の気配が満ち満ちている。 月が雲の向こうに隠れてしまえば、夜の森に息づく魔性の影はその存在を一層強めるだろう。 けれど、私の警戒はほんの一瞬で終わる。 なぜなら、頭上に舞い降りた存在が、月よりもなお清浄なる光で一帯を薙いでしまったから。 おびただしい数の黒きモノが、悲鳴ひとつあげる間も無く蒸発する。 「……まあ、そうなるわけね」 溺愛ゆえに生まれる過剰な加護の発動だった。 破魔師としての力を試すため、あえて危険な夜の時間

          【オーダーメイド物語】誕生日の物語#18

          【オーダーメイド物語】誕生日の物語#17

          最前線で指揮に立つ自分の鼻先を不可思議な香りが掠め、耳朶が神の息吹たる鐘の音を捉えた瞬間。 地底湖を抱く断崖一帯を覆い尽くし、昼となく夜となく君臨し続けた白い闇がゆるりと溶けだし、地表の亀裂に身を潜めた幻獣“玄武”の姿をあらわにして見せた。 絶滅危惧種とされたヒト族の存亡をかけた無謀ともとれる悪足掻きは、よほど、天上に座す神の心をつかんだのだろう。こちらへの肩入れを決め、最強種たる幻獣は降板を命じられたのだ。 「幻獣の結界は破られた! いまだ!」 魔導師たちによる遠距離か

          【オーダーメイド物語】誕生日の物語#17

          【オーダーメイド物語】誕生日の物語#16

          光、光、光……ただひたすらに清浄な光が、永続を約束された硝子の温室に降り注ぐ。 祈りが天に届いたことを確認し、安楽椅子に身を預けていた私は、夢の淵に降りていた自身の意識を引き戻し、ここまで騎士団によって運び込まれた人々へ視線を落とした。 夢魔の呪いを受けた彼らが、どろりと濁った悪夢に沈められるその苦しみから解放されていく。 己の深いところにある後悔や罪悪感、恐怖心を糧に、ある者は生きながら魔物に食まれ、ある者は大切な存在を引き裂かれ、あげくその陰惨な体験のすべてが無限にループ

          【オーダーメイド物語】誕生日の物語#16

          【オーダーメイド物語】異能の探偵がつむぐ物語#3

          玄関ホールで私を迎えるステンドグラスからは、まるで祝福のように光が差し込んでいた。 ここがかつて悲劇の舞台になったという現実を忘れてしまうほどに美しい。 思わず感嘆のため息がもれて、それから、そんな場合ではなかったと気を引き締める。 白い手袋を脱ぎ、素手で植物の意匠を凝らした階段の手すりへ。 刹那。 目の前で、世界が青く瞬いた。 続いて起こるのは、“あの日の事件”につながる一連の映像群だ。 まるで映画フィルムのように、青いフィルターのかかった視界で切り取られた場面たちが次々と

          【オーダーメイド物語】異能の探偵がつむぐ物語#3

          【オーダーメイド物語】異能の探偵がつむぐ物語#2

          納品のためにと式場へ足を踏み入れた瞬間、悲鳴が私の耳に突き刺さってきた。 「花嫁が!」 大きく開かれた扉の向こう、白百合を模したシャンデリアが見下ろす大ホールの中心では、薔薇のドレスを纏う花嫁がその胸をナイフに貫かれ横たわっていた。 どこかオブジェめいて、けれど、鼻先に届く匂いが凄惨な死を告げてくる。 「け、警察を」「動くな!」「誰か、誰か彼女を!」 飛び交う声と駆けつけてくる警備員を遮るように、世界が私の前でだけ明滅して。 刹那、純白の光、青の雫、緑の風、黒の炎――それぞれ

          【オーダーメイド物語】異能の探偵がつむぐ物語#2

          【オーダーメイド物語】異能の探偵がつむぐ物語#1

          当主夫婦の葬儀を終えて以降、意図的に荒れるよう細工された庭園から私は館をのぞむ。 ここには積み上げられたいくつもの石の塔が、庭の至る所で時折チカリと光を反射させた。 一見不規則なソレが殺害計画の一端を担うことを、私はすでに知っている。 事件は、いまはまだ起きていない。 けれど、このままでは幼い令嬢は両親の後を追うことになるのは火を見るよりも明らかだ。 「さて、この推理に抜けはないかな?」 愛すべき仲間、灰色のハシビロコウのぬいぐるみ達に笑いかければ、彼らもまた私の思考に問いを

          【オーダーメイド物語】異能の探偵がつむぐ物語#1

          【読書】本の背骨が最後に残る〜美しく悍ましい物語たち

          ■本の背骨が最後に残る ■斜線堂有紀 悍ましく、痛々しく、それでいてどうしようもなく美しい7つの異界の物語。 一言で表すなら、それは『異形の美』, 唯一無二の感性で描き構築される世界観に、文字通り囚われしまう。 世界に当たり前にあるものや現象に、幻想を重ねて解釈されていく過程がいっそ心地よいとすら思えて。 これまでの常識から位相を違えた場所へ踏み込んでしまったことへの後悔と不安を覚えながらも魅了される。 短編小説でありつつ、そこに構築された世界は深く広い。 物語がまだ

          【読書】本の背骨が最後に残る〜美しく悍ましい物語たち

          【創作語り】探偵助手の役割について想いを馳せる

          ミステリを書く時、ふと、 探偵の隣に立つ「助手」の存在に思いを馳せるのです そも、ミステリにおける"探偵"の役割とは? 謎解きをして、事件を終結させるのが役割 どんな形であっても物語を終わらせる 多くは、物語の始まりをも担う じゃあ、"助手"は? 助手に与えられた役割とは? ひとつには、読者目線の語り手であり 時に、読者の自己投影先としての物語的役割 では、物語の外ではなく、中においての位置付けは? 探偵の何かを『補う』ことは大前提として ・推理材料となる情報を

          【創作語り】探偵助手の役割について想いを馳せる

          【オーダーメイド物語】誕生日の物語#15

          私を乗せた水晶の馬車が、来訪の鐘をひとつ鳴らす。 たったそれだけで、壮麗たる門は音もなく開かれ、緑柱石と月光石から生まれた鈴蘭たちが、風に揺られながら、りりんしゃらりんと愛らしい音を響かせながら迎えてくれた。 懐かしくも愛おしい、ここは秘密の楽園にして、エメラルドの箱庭。 遠い昔に私があの子のために作り上げた、思い出の地。 主として地上を取り仕切らねばならない《華月祭》を前に、久しく訪れることのなかったこの場所へ再びやってきたのは、ある約束のため。 かつて自分が出会い、己の庇

          【オーダーメイド物語】誕生日の物語#15

          【オーダーメイド物語】三原色の迷宮、蒼穹の響音

           なにがあろうとも、《惑いの森》に近づいてはならない。  その最奥には、赤に青に黄に緑にと、網膜を焼き、魂を灼く程に強烈な色彩を伴う《言葉》が、《願い》が、《想い》が、ありとあらゆる《感情》が集うのだ。  それらは集い、寄り合い、絡み合い、闇を呼び込み、呪を放ち、混ざりゆく。  そうして極彩色の光を放つ諸々は、黒橡の混沌となって周囲を覆い、鬱蒼とした樹々と沼地を生み、入り組んだ《狭間の迷宮》と成って踏み込むモノを喰らい尽くす。  ひとたび立ち入れば、ヒトなどたやすく取り

          【オーダーメイド物語】三原色の迷宮、蒼穹の響音

          【指南書】実用度と実践度高し!プロだけが知っている小説の書き方

          森沢明夫氏の小説の書き方指南本。 これまで読んできた中でも、かなりの簡潔かつ実践的な一冊です。 しかも、一問一答に近い形式なので、知りたいことがピンポイントで提示され、ふと詰まった時の読み直しもしやすい仕様。 ・キャラの作り込み方 ・物語のプロットの立て方 ・キャラ描写の仕方 ・物語描写の仕方 ・文章への語感の取り入れ方 創作中につまづくあらゆる問題(リアル)に対し、問題と解決法を比較文章も提示しながら答えてくれてます。 これがまた、わかりやすい。 そして、取り入れやすい

          【指南書】実用度と実践度高し!プロだけが知っている小説の書き方

          ◆ 天使に捧ぐ猛毒

          ……あるいは天使が捧げる献身  窓の向こう側は、白々しいほどに青々とした空が広がっている。 『いかないでそばにいてぼくをみてぼくだけをみてはなしかけてずっとずっとずぅっと』  ぐるぐると混ざり合った願いの声は、聴こえる人には聴こえるし、聴こえない人にはまったく聴こえない。  それでも特有の重さと澱みと呪詛めいた息苦しさは感じるものだ。  病院はどうあっても、聖域にはなり得ない。  でも、その声が、その空気が、すっと変わる。 「あ、チビちゃんだ」  院内の廊下を、クマの

          ◆ 天使に捧ぐ猛毒