【オーダーメイド物語】誕生日の物語#19
うちの商会で扱う宝石と見まがう硝子玉で飾り立てたランタンが、町の至る所で鮮やかに夜を照らし出し、露店の合間を楽しげな声が飛び交い、そこを青年騎士団が巡回していく。
今年は留学していた第三皇子の凱旋もあり、ひときわにぎやかだ。
そんな光景を商会の窓から眺めながら、思い出すのは、かつて私の隣で笑っていた幼馴染の少年のこと。
『いつか、きみに本物を贈るからね』
彼が差し出したおもちゃの指輪には、私が作った海色の硝子が嵌まっていた。
この街に根付く大商会の後継である私は、幼い頃から王宮の宝物庫にも父と出入りさせてもらえた。
そこで初めて、金の星を閉じ込めた夜の海の結晶石を目のあたりにして。
せめてソレに似せたものを作りたいと試行錯誤を繰り返した末の錬金術の上達には、父だけでなく一族中を驚かせたほどだ。
そんな中で、かの幼馴染は私の店で私の硝子を買い、指輪にしてくれたのだ。
「彼は今どうしてるのかな」
「そりゃあ、約束を果たすために、外国で頑張ってきたに決まっているだろう?」
「え?」
ひとりごとを拾われて驚く私の目の前に、きれいな瞳の幼馴染が小さな箱を差し出し、微笑んでいた。
「七年越しになったけど、僕のお嫁さんになってくれるかな?」
*誕生石・誕生日花*
ミーアシャム:調和のとれた心
ターコイズ:人生の成功と繁栄
ラピスラズリ: 成功の保証
ツバキ:控えめな優しさ・誇り
シャコバサボテン: 一時の美・美しい眺め
Copyright RIN
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あなたの誕生月&日の石と誕生日花をキーワードにつづる少し不思議な物語
正式なリリースの前にFacebookでモニター募集させていただいた34編を順次公開いたします