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最高を目指さなくて結構

今回は、マイケル・ポーター氏の『競争の戦略』をまとめた、
『マイケル・ポーターの競争戦略』(ジョアン・マグレッタ著/櫻井祐子訳)についてお伝えします。

『競争の戦略』は1995年に出版された本ですが、25年前の本なれど、現代の企業が生き抜いていくためにも必要な事が書かれています。

本書で特に重要と捉えた点について解説していきます。

目次

①最高を目指さない
②トレードオフを意識する
③一貫した「らしさ」を追求する
ではどうすればいいのか?

①最高を目指さない

企業が向かう先は何かと考えた時、「市場でトップになる」「業界ナンバーワンになる」などと、いわゆる広範囲においての「最高」を目指すことが往々にしてあげられます。
しかし、会社の最終目的は「利益の追求」であり、結果として業界一位であろうが何であろうが利益が追求出来れば良いのです。
所謂、「最高」が良いとは限りません。
最高を目指してしまうと、どうなるのか?
あれもやろう、これもやろう、顧客のためならこれもあった方が良い、と次々と手を伸ばして拡大するが故に、1つ1つの事業に対する密度が薄くなってしまいます。こうした先に見えてくるものは、同じ発想を持った他者とのぶつかり合い、故の熾烈な価格競争。結果として本来の利益追求が出来なくなってしまい本末転倒です。

目指すべきことは、最高ではなく「最適」であり、何をやるかではなく「何をやらないか」です。
的を絞り、他社が真似できない独自性による壁を作ることが、勝ち抜いていくために必要な戦略です。

②トレードオフを意識する

トレードオフとは、一方を立てるともう一方が立たなくなることです。マクドナルドが手軽さを重視すると、高級志向の顧客は取り込めなくなります。しかし、高級志向を取り込めなくてもあれだけの繁栄です。
もし、ラインナップに高級なものを追加しても、これまでの手軽なイメージにより結局ターゲットの顧客は来ず、無駄な在庫コストやオペレーションコストがかさみ利益を圧迫してしまいます。この関係性の事です。

より多くのターゲットを確保しようとすると、あれもこれも広く狙ってしまいます。表面的な欲深さを捨て、特定のニーズに応えることで、自分が活き活きと活躍するフィールドを作り上げることが出来ます。

「あらゆる顧客のあらゆるニーズに対応しないことを意図的に選択しない限り、どんな顧客のどんなニーズにも上手く対応することは出来ないのだ」
と本書にはあります。

③一貫した「らしさ」を追求する

独自のターゲットに向け、独自路線で進むと、「イメージ」が出来上がっていきます。マクドナルドの例のように、安い・早い・手軽というイメージが出来上がると、そうした形のないものは容易に他社が真似できない参入障壁となります。
さらに、本書で紹介されている「バリューチェーン」(…顧客に価値を届けるまでの事業プロセス|調達・在庫・店内・オペレーション…など)において、独自のコンセプトを追求することにより、容易に他社が真似できなくなります。
アマゾンは、注文画面だけでなく、ロジスティクス(受注~在庫管理~配送まで)のプロセスも、長期間かけてじっくりとコンセプトに沿い作り上げることにより、他社が簡単に真似することのできない、参入障壁が非常に高い事業へと成長させました。

戦略とする独自路線やコンセプトに対して一貫した事業(社内外どちらも)を追求することで、よりそのオリジナリティを強めて勝ち続けることに繋がります。

ではどうすればいいのか…?

起業側ではなく、大企業のいちサラリーマンである私の立場からです。
10年前に比べて、ベンチャー企業や起業家も増えてきて、ニッチなニーズに対する事業が増えてきました。狭い所にもすでに入り込んでいることが多いです。
大企業は「なんでも」やってしまいがちで、パッとしない印象が強いものの、やはりブランドによる信頼という意味ではまだ強いです。
そうした自社の強みをまず見出すことで、それが響く顧客を探すことが勝ち抜くために必要な事ではないかと考えます。
既に顧客が付いている場合は、互いの強みが重なるところを見つけ、そこを起点に(強み・独自性)をブラさずに広げていく。
こうした一貫性が必要なのではないかと考えます。


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