気軽にトレッキング気分!夏の北海道で花咲く湿原を歩く。 − 2023年 写真月記 7月 −
2024年のいま、2023年をひと月ごとに振り返る月記の7月のお話です。
今回は夏旅におすすめでもある場所のご紹介も兼ねて。
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7月。
北海道の「短い夏」が、始まります。
7月上旬に訪れたのはその名前からしてもう神秘的な場所というイメージの「神仙沼」。
神仙沼はチセヌプリという標高1134mの活火山の登山口でもある高層湿原。ニセコ山系の湖沼の中でも最も美しい沼といわれています。北海道は岩内郡共和町にあるのですが、ニセコという地名で示した方が分かりやすいかと思います。
「ヌプリ」とはアイヌ語で「山」のこと。「チセ」はアイヌ語で伝統的な家屋のこと。ニセコはニセコアンヌプリ(アイヌ語で絶壁にある山)やイワオヌプリ(アイヌ語で硫黄の山)。
北海道にはこんな風にアイヌ語の名前のついた地名や川名がたくさんあって、これもアイヌ語だったの!?なんて未だに思うこともあってとても興味深いのです。
ニセコといえば蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山もあり、美しい山や田畑の風景を眺めながらドライブするのが楽しみでもあります。
神仙沼に初めて訪れたのは一昨年の秋で、この日が2度目。
「今の時期はワタスゲがかわいいですよ」と聞いてワタスゲなんて名前からしてかわいいし、そのほかの高山植物が咲いている景色も見てみたくて神仙沼へドライブが決定。
秋は霧がかかっていてそれはそれはとっても神秘的でしたが、夏は清々しい景色が待っていることを期待です。
前回はニセコ方面から向かったのでニセコパノラマラインを通って行きましたが、今回は函館方面から長万部〜黒松内〜蘭越までの5号線。そこから岩内蘭越線へ入り神仙沼に向かうコース。
神仙沼レストハウスの横にある駐車場に止めてここから歩きます。
神仙沼までは木々と葉っぱに覆われた茂みのような感じですが、板が敷かれているのでスニーカーでじゅうぶん。
応援してくれる道案内。がんばります!
木々が途切れたところで見上げるとこんな感じ。クマ笹がわさわさです。
どちらを選ぶか迷わせる道案内。
どちらを選んでも険しい感じはなく歩くことができるので、行きと帰りで階段ありとなしを歩いてみると良いですね。
途中、壺のような形をした蕾?が連なっていてかわいいらしい植物を見つけました。調べてもなかなか分からなかったこの植物、おそらくハナヒリノキかな。ツツジ科イワナンテン属。ハナヒリはくしゃみのことで、葉っぱの粉が鼻に入るとくしゃみが出ることからこの名前が付いたそう。
神仙沼へ向かうまでの道のりも、こんなふうにひっそりと草花が咲いているので観察しながら歩くもの楽しみの1つです。
あともう少しのところまできましたが、まだ茂みの中。
そしてスタート地点から15分くらい。茂みがパッと開けて目の前に空と緑が広がって、「到着〜!!」と言いたいところですが、神仙沼はもう少し先。草花が咲く神仙沼高層湿原の遊歩道を歩きます。もはや神仙沼へ辿り着くまでのこの湿原の景色が楽しみと言っても過言ではありません。
早速エゾカンゾウがお出迎え。ワスレグサ属で湿原に群生して咲きます。北海道に移住して、海岸沿いを走るとたくさん見かけるオレンジ色の姿にニッコウキスゲが咲いてると思っていましたが…
エゾカンゾウ・ニッコウキスゲ・エゾゼンテイカは同種だそうです。「別名」とも記されていたりしますが、北海道に咲いているものは花柄が短いそう。
何科なのか調べてみたところススキノキ科、ユリ科、ツルボラン科などが出てきまして、ちょっとこんがらかってきて難しい。。いま深く追求するのはやめておきました。笑
第一ワタスゲさん発見! ちょっとふわふわは見頃過ぎかな〜。
カヤツリグサ科ワタスゲ属の多年草。日本では本州中部地方より北や北海道の湿地に群生。5・6月ごろが開花時期で黄色い花を咲かせるそうで、その後にこのわたわたの姿になる…と今知りました。いつか開花した姿を見てみたいな。
ヒオウギアヤメ。アヤメ科アヤメ属の多年草。こちらも北海道、本州の中部以北の湿地に自生する植物。葉っぱが檜扇に似ていることからこの名前になったそうですが、そこまで写せていなくて確認できず…。
水面からひょこっと顔を出してゆら〜りゆら〜りとしているのはコウホネ。スイレン科コウホネ属、水生植物の一種です。時々ドライブに出かける大沼にも咲いています。なんとも特徴的な姿で揺れて咲いていて印象的なコウホネは日本固有種。大切にしたい植物です。
小さくて華奢なトキソウ。花名は朱鷺の羽の色に似ていることからだそうです。ラン科トキソウ属の多年草。環境省に準絶滅危惧種とされています。
神仙沼のある共和町の町花、ミツガシワ。ミツガシワ科(リンドウ科から近年独立したとのこと)ミツガシワ属、湿地や水中に自生する多年草です。白い花が咲くのですが、こちらも花期は過ぎてしまったのかな。苦味胃腸薬とされていて胃もたれや腹痛に用いられるそうです。
トンボがたくさん飛んでいました(いや、とまってるよね。笑)。青いトンボはルリイトトンボ。赤いトンボは普通に赤トンボでいいのかな。
神仙沼に着きました。
が、神仙沼はスマホの写真のみたった2枚。はて?と思いましたが広々とした景色を写すとき、広角でありのままに写せるのって結局スマホだなって思ってしまうんですよね。「スマホしか勝たん」とはこのこと。カメラのファインダーは覗いていたと思います。
よーく見てみたら、少し離れた場所から撮影したデジタルカメラの写真がありました。
木板が敷かれた遊歩道が緑の湿原の中に延びる風景もとっても綺麗です。
風に揺れるワタスゲ。「揺れる想い」という花言葉がぴったり。
夏色したリフレクションたち。カラッと暑くて風は穏やかで良い日でした。
さて、駐車場へ戻ります。
帰り道もちょこちょこっと撮影をしながら。
ノリウツギかな。
ヒョロヒョロっとお髭のような姿はシダの仲間かな。
奥の壁に飾られている神仙沼の星景写真、見えますでしょうか。
SNSなどでも目にするので気になっているのですが…。
あの湿原で星空を眺めるなんて憧れます。。周囲に灯りがない真っ暗な中、肉眼で星空を観たらさぞかし感動するんだろうな…なんて思うのですが、きっと真っ暗闇であろうあの茂みを歩いて、真っ暗な湿原で星空を眺める心の余裕はありません。笑
レストハウスでは神仙沼に咲く草花の名前のついた自家焙煎珈琲のドリップバッグを調達して帰りました。
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さて、この日の私たちが要した時間をまとめると…
正午ごろから歩き始め、途中写真を撮りながら歩いて湿原まで30分。
湿原の滞在時間は1時間ちょっと。
帰りは行きよりサクッと歩いて20分。
写真や動画を撮影しながら、のんびりと散策をしたので合計約2時間ほどかかりましたが、夏は日が長いので黒松内の道の駅などで途中休憩をしながら余裕をもって帰ることができました。
神仙沼を知ったばかりの頃はどんな場所なのかと調べたり行ったことのある人に聞いたりして想像するだけでした。「神仙沼に着くまで雑木林のような場所を結構歩く」という情報に、未踏の私にとっては北海道の山の中の雑木林ってかなりハードなのでは… 熊は大丈夫なのか… と不安な要素ばかりが頭をぐるぐる。
トレッキング=山歩きですが、神仙沼は急な斜面などはなく、スタート地点から片道15分〜20分ほどをゆるりと歩くことができます。どちらかというとハイキングかな。
ニセコというと海外の方からも人気のエリアで賑わっているイメージかもしれませんが、神仙沼は北海道ならではの広大な自然を味わえる穴場エリアのような気がします。
コンパクトにトレッキング気分を楽しむことができるので、この夏、北海道へいらした際にお出かけしてみてはいかがでしょう。8月も他の植物たちがお出迎えしてくれますし、早くも少し秋めいてきたりしているかも。
もちろん、冬の閉鎖期間以外の季節にもぜひ!
最後に、この日フィルムカメラ CONTAX Aria で撮影した写真を載せますね。
今回も読んでくださり、ありがとうございました。
よく寝て美味しく食べて、夏を健やかに過ごせますように…。