人事責任者からCOOに。事業責任を負って気が付いた、両者の共通点
2024年11月1日、私はセルソースのCOOに就任しました。
2022年3月に入社し、PRやIR・M&Aなど多様な領域の管掌をしてきましたが、この2.5年間、一貫して「HR」が私の業務の幹であり続けてきました。
そんな私が、6月に営業本部長に就任し、11月からは「事業」以外の全ての管掌を外れ、10の既存事業の責任を負うCOOという立場になる、というのは青天の霹靂以外の何物でもありません。
しかし、実質的にCOO業務を行ってきたこの5か月を通じて、「人事責任者と事業責任者の意外な共通点」を見出すことが出来たので、それを綴りつつ、今後に向けた意思表明を世にお届けしたいと思います。
「事業責任者⇒CHRO」が自然なアサインメントである理由
既に「当たり前」のアサインメント
「CHRO」という肩書自体はここ数年で主流になったものですが、HR
を「攻め」と位置付ける会社で人事責任者を務めておられる方には、結構「元事業責任者」や「元COO」の方が多いです。
有名な方で言えばサイバーエージェントの曽山 哲人氏がおられ、また私もお会いしたことがあるSHIFTの菅原 要介氏やCUCの松浦 俊雄氏といった素晴らしいCHROの方々も、元々は事業を担っておられました。
他にも、ある程度大きくなったスタートアップでは結構当たり前のアサインメントでもあり、先日お会いしたShippioの伊達 雄介氏もエン・ジャパンでの事業責任者を務めた経験をお持ちでした。
ではなぜ、「当たり前」のアサインメントなのでしょうか。
「事業」のことを考え尽くしたら、「ヒト」に行きつく
「事業責任者」としてたった5か月の経験ですが、必死に考えてきた結果として強烈に感じている「CHROとCOOの共通項」があります。それは、
でした。ここで一つ大切なポイントとして、「従業員満足度」と「エンゲージメント」の大きな違いを表現します。
事業を伸ばすには、優れた戦略やプロダクトと共に、全員の生産性の高い活躍や、思いもよらぬアイデアの発出などが不可欠です。
それは、全員が「ねばならない(必要)」の状態では達成し得ません。そうではなく、「したい(欲)」で働いている状態こそ、事業も自身も成長し続け、それこそがまさに"Engaged"している状態と言えます。
そのため、「事業をサステイナブルに、爆速で伸ばしたい」と真剣に考えるCOOの方の多くは、必然的にHR領域への造詣も深くなり、「経営目線での人事戦略」に昇華出来るポテンシャルを持つ方が多いのではないでしょうか。
「人事責任者⇒COO」だからこその特異性は無いか
「組織」「ヒト」に対する理解・知識は間違いなく生きる
私は住友商事在籍時から「ヒトの幸せとは」「ヒトが集まるとはどういうことか」「集団と組織の違いとは」「最も生産性の高い組織の作り方」といったことについて、考え続けてきました。
その結論とアクションプランを90ページのレポートに纏め、住商社長に提出したのが私のHRキャリアの実質的なスタートだったと思います。
その後セルソースで2.5年間、実務者として多様な問題や課題に立ち向かってきましたが、常に「社会貢献」「企業成長」というマクロの話と、「個の幸せ」「組織の幸せ」というミクロの話を考えながら対応してきました。
まさに、この「組織とは」「ホモサピエンスとは」について考え、勉強し、実地で判断を繰り返してきた経験は、「社員を幸せにしつつ、社会に最大貢献する」というCOOのミッション実現に資するものだと確信しています。
イメージ図としては以下のようになるでしょうか。
僕は真ん中のパートに対する知見をレバレッジに、右側に行こうとしています。そして真ん中ばかりが強い私は、CHROどころか人事責任者として大変に中途半端な人間だったのでは・・・と反省しています💦
「HR」にいると「愛」を失いがち。愛を失った人事責任者はCxOにはなれない。
意外に思われるかもしれませんが、人事や労務に携われば携わるほど、「ヒトへの愛」を失っていきやすいと思います。
というのも、人事の所に来る話は、基本的に「ヒトのポジティブではない話」が多いです。勿論、HRBPであれば事業部と共に成果を喜んだり、ヒトの良い所を見るでしょうが、どうしても喜ばしくない話が多かったりします。
それが繰り返されると、自衛のためにもどうしても「心をヒトから切り離そう」とするインセンティブが働きます。
しかし、「切り離す」=「諦め」でもあり、その接し方では会社・事業・メンバーが非連続的に成長することはありません。
ですので、出自は関係なく、「ヒトへの愛」を忘れた人はそもそもCxOにはなれないと信じています。「愛」については以下のnoteに詳しく綴っていますので、こちらをご査収ください。
私がCOOとして実施する「3つの施策」
最後に、私が「事業」を推進するにあたって自本部にて実施する「3つの施策」をお話しします。詳細は書ききれないので、もしご興味ある方はご連絡ください。
①CellSource HR Balanceの徹底活用
セルソースの人的資本に対する根源思想を表した概念として、以下の「CellSource HR Balance」が存在します。
これは「セルソースの過ごす一分一秒が、セルソースとメンバーのPurposeに資する時間になる」ことを表現しており、まさにこの状態こそが「最高のエンゲージメント」の最重要必要条件であることに気が付きました。
そのため、まずは原点に立ち返り、このシートを活用した1 on 1(社内用語でワンステ)を徹底的に実施していきます。
②爆発までの4STEP
「予想を超える結果の実現」を私は「爆発」と読んでいますが、その爆発を起こすための4STEPを以下のように考えています。
ここで最も重要なのは「①自信」です。②や③は外部から働きかけることが出来ますが、①だけは各人の内面が100%の話です。
ここを疎かにして、メンバーを強制的に「熱中」させたとしても、それが長続きすることはありません。そのため、私は以下の考え方で、メンバー全員に「自信」を持って貰うためのプログラムを組みました。
詳細はまたどこかで綴りたいと思いますが、以下の本をかなり参考にしているので、是非読んでみてください。
③「スキル&コンピテンシー」の徹底的言語化
殆どの会社で「能力評価」なるものがあると思いますが、スキルもコンピテンシーも、どうしても抽象的なものになり、最終判断は主観に委ねられてしまわないでしょうか。
最終的には人が人を評価するので、サイエンスとアートが融合するのは仕方が無いですが、「納得出来る人事評価」はエンゲージメントにおいて極めて重要であり、「出来る限りサイエンスにする」努力を怠ってはいけないと感じました。
そのため、事業本部内に「アカデミー」を創り、そこのメンバーと共にスキルとコンピテンシーを徹底的に言語化をしました。
今後、この言語化に沿った試験(筆記・実地等)を設定し、自らの立ち位置を確認出来るようにすることで、より明確に階段を昇って行ってもらおうと思います。
おわりに:「Who not how」
元々私は「自分は事業に向いてない」という自己理解もあって、裏方であるHRの道を志したという経緯もありました。
ですが、事業責任者を5か月間やってみて、「あれ、意外と適性あるかも?」と思い始めています。
勿論、まだまだ目覚ましい結果が出ている訳ではありませんが、「この5か月間、日々自分に驚いてきた」というのが正直なところです。
この「本人すら気付いていない可能性に賭けて、ドラスティックな人事を行える」ことこそが、社長である澤田の凄い所だなと心から思います。
先の「10倍成長」の著者の言葉を借りれば「Who not how」を地で行く人であり、私自身に最も足りない能力でもあり、それを身に着けて、更なる事業成長に繋げたいと心から思っています。
私はCOOとして今後もIRには登壇します。社員含めたステークホルダーの皆様に、「お、細田やるじゃん」と思っていただけるような成果を出したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。