なぜか殴られる?妄想が教えてくれる心のこと(8)
一時期、とても苦しんだ過去があります。
それは妄想癖でした。
明るく楽しい妄想なら良いのですが、
私の頭に浮かぶのは、
なぜか悪い方ばかり……。
街を歩いていると、
通りすがりの人に突然殴られる、
そんな妄想が浮かんでくるのです。
どうしてこんなことを思ってしまうのか、
自分でも不思議でしたが、
もしかすると心の中に
『何かが起きるかもしれない』
という不安があり、
それが妄想となって
表れていたのかもしれません。
その背景には、自分を守ろうとする
心の反応があったのだと思います。
無意識に、危険を予測して
備えるための反応なのかもしれません。
『どうしてこんな発想が出てきたのだろう?』
と考えたとき、
ふと思い当たることがありました。
普段から、予測不能な出来事に備えて、
無意識のうちに周囲の安全を
確認する思考の癖があったのです。
”予測不能な出来事に備えて、
無意識のうちに周囲の安全を確認する”
というのは、例えば自分が
傷つくようなことが起きないか、
常に周りを注意深く見ているということ。
例えば、具体的にはこういうことが
起こりやすいようです。
実際にはそんなことは
起こらないと分かっているのに、
心のどこかで「もしものこと」を
考えてしまい、そうすることで
安心していたのかもしれません。
こうした妄想を通じて、
自分がどれだけ緊張感を
抱えていたかに気づくことができました。
妄想は奇妙なものですが、
私にとっては心の内側を知る
鏡だったのかもしれません。
今では、こうして妄想を
自分の内面を知るきっかけとして
捉えることで、少しずつ心の声に
耳を傾けられるようになった気がします。