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宮浦ギャラリー六区 瀬戸内「   」資料館

先日の直島で訪れた『宮浦ギャラリー六区 瀬戸内「   」資料館』

2019年から家族で直島に移り住んだ下道基行さんが、瀬戸内海地域の景観、風土、民俗、歴史などについて、そこに住む人々、関わりを持つ人々とともに、各分野の専門家を交え、調査、収集、展示し、語り合うプロジェクトとして構想されたものです。

「   」の中には毎回の調査・展示のテーマが入ります。


毎週欠かさず聞いている、山下陽光さんと下道基行さんの音声配信、「山下道ラジオ」は先日の配信が149回目。

https://www.youtube.com/user/MrMotomichi

これまで、このラジオ中でも下道さんは資料館のことをたくさん語っていらっしゃって、この配信を一度も聞き逃したことのない自分は、資料館のこともなんとなく知っているつもりでしたが、実際に観ると印象が全然違いました。

最初に思ったのは、下道さん本当に、ほんとうにすごい!!の一言。

今回の展示は、直島出身の写真家中村由信さんと、中村さんと共に活動をしていた「直島どんぐりクラブ」をテーマにしています。

この中村由信さんという方は、戦後の直島で、記録しなければ忘れられていく日常の一コマを撮り続けていました。

昭和30年代に島に暮らす人たちの生活は、大変ではあるけれどそれでも活き活きとしていて、じっくり見入ってしまうような写真ばかり。

なんの予備知識もなく写真+資料展として観ても、とても見応えのある非常にクオリティの高い展示であり、そのうえでこの方は直島出身であり、この方が残した記録を集め、島内外の人に伝えられるということがすばらしい。

全国各地で、その地域の知られざる有名な人というような趣旨の展示はたくさんあると思うのです。

私もたくさん観たことがあるけれど、そこへ、地元の人だけでなく全国各地の誰が訪れても、いい写真だなとか、この人についてもっと知りたいとか、この場所にこんな時代があったんだおもしろいなとか、この人のことを知られてよかったとか、また見たいなとか、なかなかそこまで印象に残ることって少なくないですか?

中村由信さんは1990年に65歳で亡くなっているのですが、私は今ここでこの写真を観ることができて、とてもよかったなあと思いました。

そして展示とはべつに、下道さんが収集した瀬戸内に関するとてもたくさんの資料もあり、閲覧することができます。昔のるるぶから、この地域でしか手に入らない資料から、過去の瀬戸芸の公式記録集まで。小さな図書館のよう。

たった今瀬戸芸の仕事のために女木島に住んで3週間の私には、興味のあるものばかり!!!椅子もあってゆっくりいろいろな本や雑誌を読むことができます。

下道さんは直島に移り住んで3年間、地域の方に資料館に興味を持ってもらい、気軽に立ち寄れる場所にするための取り組みとして、ギャラリーに併設されたスペースでは、地域の大人も子どもも気軽に立ち入れるように様々な取り組みもされています。そちらのスペースも観ることができ、その時は陶芸をされている方がいました。

その地域に住み、地元の人と交流しながら、地元の人も知らないような、よく知っている地元の人にとってはそこにスポットを当ててくれることがとても嬉しく思えるような、そして地域内外関係なく多くの人がその展示や空間を楽しめるような、こんな場所を作っていくことはとても大変でとても価値があり、本当にすばらしいことだと思います。

とくに、今回自分が裏側で瀬戸芸に関わっているからこそ、想像できる部分もあり、この場所を訪れて本当によかったなと思いました。

SHITAMICHI Motoyuki
http://m-shitamichi.com/
[ 瀬戸内「 」資料館 /Setouchi " " Archive ]
http://m-shitamichi.com/setouchi

いろいろな方にインタビューをして、それをフリーマガジンにまとめて自費で発行しています。サポートをいただけたら、次回の取材とマガジン作成の費用に使わせていただきます。