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「ピンクとグレー」を読んだ中二女子の感想
今回読んだのは、私の学校で今はやっているこの本。
加藤シゲアキさん「ピンクとグレー」です。
や、もうすごいなって思いました。
アイドルもやってて小説も書けるって何なん・・・。とかいう嫉妬もできないほど圧倒されました。
この本を読んでまず思ったのが、構成が面白いな、ということです。
特に最後の方なんですけど、「ごっち」が語り手やと思ってしまうけど実は語り手は「りばちゃん」の方で、それを思い出させるセリフが絶妙に入ってくる。
終わり方もすごくて、よくわからないところもあったんですが、そっかぁ、そうやって持っていくのかぁ。
って。
自分で物語を書くようになって、最近特にそう感じるんですが、単なるハッピーエンドはおとぎ話なんかでもう書き尽くされてしまっている気がしているんですよ。
だから本当に、この本は私の理想です。
不思議な表現を使っているのに真に迫ってくる。
こんな小説を書けるようになりたい。
そう思いました。
「表現」について、もう一つ感じたことがあって、「ごっち」のミステリアスな雰囲気、不思議な魅力を「リズム感」で表しているんですよね。
自分の物語のキャラクターに不思議な魅力を持たせたいと思うことが結構あるんですが、「不思議な~」とか使っちゃうと野暮ったくなるかなと思って結局諦めるってこともあるんです。
でも「リズム感」。
とても新鮮な表現で、よくこんなの出てくるなぁ。
そう思いました。
この小説の中で、もし「ごっち」と「りばちゃん」が幼馴染じゃなかったら、こんな悲劇はなかったと思うんですよ。
「ごっち」はずっと芸能界にいたいと思っていて、「りばちゃん」は大学時代の特異な体験として芸能活動を捉えていた。
そこについて話し合わなかったのは、二人が幼馴染だったからかな、と。
勝手に相手は自分と同じ考えだとそれぞれ思っていたんですよね。
幼馴染だから、一緒に住んでいるから、相手のことは全て知っていると思っていた。
でも例え幼馴染でも、それぞれの家族のこととか、知らないことはたくさんある。
同じ体験をしていても、それぞれ感じたことは違うかもしれない。
相手の好きな食べ物から将来の夢、思考回路まで全部知っているつもりでも、人って自分の大切な部分は心の奥の方に隠していたりするものなんですよね。
以心伝心って言葉もあるけど、やっぱり会話って大事。
人を理解する難しさを感じた作品でした。
同じく加藤シゲアキさんの「閃光スクランブル」も借りてきたので近いうちに感想書きます。