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【日本国記】 第二章   土方水月


【日本国記】 第二章 2・日本とは世界で最も特殊な国である ―古くて新しい― 土方水月  


 つづき


 「日本」は701年にできたが、不思議なことにそのことを知らない日本人がほとんどである。


 その原因は戦後のアメリカナイズされた歴史教育によるものであり、戦前のような歴史教育はタブーとされていた。それはアメリカの占領下ではない今もなぜか続いている。


 戦後のアメリカの占領下では、「戦前の“日本帝国”の侵略の歴史」の外にはできるだけ日本の歴史を教えないようにした。その理由は、「日本の正しい歴史」を教えることは、当時の日本を占領しているアメリカにとって都合が悪く、また同時に戦後大きな政治的勢力となっていた社会主義者にとっても都合の良いものではなかったからであった。


 戦後のアメリカの占領が終わり、“新しい日本”として独立した後もなぜか現在でもそれが続いている。当時の占領下でアメリカが作成した「日本国憲法」が今もなぜか使用され、その改訂は今でもタブー視されている。そんなに良い憲法なら改定の必要はないが、同時期にできた戦後のドイツやイタリアの憲法はすでに何度も改訂されているという。


 「日本」ができた年くらい知っておいてほしい。それは第42代天皇である文武天皇の御代であった。つまり「日本の歴史」よりも「天皇の歴史」のほうが古いのである。戦前の言い方でいえば、日本の「政體」よりも日本の「国體」の方が古い歴史を持つのである。


 また「日本」は「にほん」なのか「にっぽん」なのかもみんな知らない。正式には「NIPPON」である。しかしこれも日本的で「にほん」でもよいことになっているという。現在、元首の席次で最も上座に座るのが日本の天皇である。次がローマ法王(今はそう呼ばないことになっているが)、その次が王国連合UKの国王エリザベス女王であったがその席はチャールズ国王に替わった。日本みたいにそんなに歴史が古くて、そんなにいい加減な国はないのではないだろうか?


 日本はもとはその名の通り「二本」であった。そのことも学校では教えない。地学(地球科学)の話ではあるが。


 日本は地殻変動によりユーラシア大陸の東岸から切り離されたものが二つに分かれ、さらにその後のプレート移動により平らだった地面は高い山となった。その土石流やそれに伴ってできた火山の一つである富士山の噴火などで関東平野ができたのである。そしてそれは江戸期にはまだ人の住めるところではなかったが、住めるようにしたのは家康であった。


 そうして今の日本列島はでき、今の日本ができた。日本の歴史が8世紀からしか定かでないのは当然であり、700年の7世紀より前は日本ではなかったのであるから。701年に「政體」は変わったのであった。


 それ以前の歴史は新しくできた「日本」にとって都合の良いものではなかった。戦後のアメリカが占領下に行ったのと同様に、そのときできた「日本」はそれ以前の歴史を消そうとした。そのためにその本当の歴史が書かれた物や、そのことを知っている者をも消そうとした。


 そのために、今でもその歴史を知る者は自分や自分の家系の者が消されないために、その歴史を秘匿し、一子相伝のように門外不出の禁を代々継承した。それは表には出せず子孫に伝えることのみであり、そうなったのは701年の頃と同様に「消される」という恐怖も代々受け継がれているからであった。



 日本の歴史は戦後も戦前も大学の教授やその他の権威者が勝手に考え作ったものが「正しい歴史」とされている。本当の歴史を知っている者からすればはなはだ滑稽なものに見えるであろう。しかしそこで「そうではない」というと、必ず今現在の権威者は消そうとするにちがいない。なぜなら、その権威者にとって自分のアイデンティティーが侵害されるからである。彼らにとっては本当の正しい日本の歴史などには興味はなく、自分にしか興味がないのであるからである。


 本当はどうなのか?日本とはどういう国であるのか?それを知ることは本当の学問でもあり、日本人としてのアイデンティティーを持っていたいと思う者にとって、それが自分にとって都合のよくない事実であったとしても知りたいと思うのは当然ではないだろうか?


 UK国王もルーツはドイツ人であるという事実も世界が認めているのであるから。



 つづく

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