北国の空の下 ー 週末利用、自転車で北海道一周【34】12.5日目 札幌の冬〜自転車と成人病 その後
10月末、札幌にも初雪が降りました。自転車シーズンはそろそろ終わり。
それでも、車を持っていない私、代わりにMTBにスパイクタイヤを穿かせ、根雪になった後も市内を走っていました。
□ Bicycling in the Snow
◆ スパイクタイヤ
雪の中を自転車で走る、という愉しみは、今に始まったものではなく、もう30年ほども前に買った自転車の指南書?にも、雪中サイクリングが紹介されていました。ランドナー乗りの間では、当時から、マイナーながらも冬の愉しみとして定着していたのです。
私もずっと昔、関東の数少ない雪の週末に、MTBで高麗の郷を走ったりしていました。関東では路面がアイスバーンになることはないので、さしたる危険はなく雪中サイクリングを楽しむことができたものです。
白銀の世界と静寂の中を走るのは、何やら別の惑星にやって来たかのような想像を駆り立てられました。もっとも、湿った重い雪を掻き分けて走るのは楽ではありませんでしたが。
さて、札幌では、ファットバイクの登場により、雪中サイクリングは一部サイクリストの酔狂ではなく、よりファッショナブルなウインタースポーツとして、自転車乗りの間では定着しつつあるように見えます。
但し、ファットバイクは20万円ほどと、結構なお値段。札幌復帰初年度の今冬は、冬物衣料や冬底靴をほぼゼロから揃えなければならなかったので、この上斯様な出費は躊躇われました。
気楽な独り者とはいえ、多少は老後の事も気になる年齢なのであります。
MTBにスパイクタイヤを穿かせたのは、その次善の策。
札幌に来てから走るのはオンロードばかりで、愛車のウィリエールXC303は夏の間あまり乗っていませんでした。その分、雪道で本領発揮して貰うことにしたのです。
スパイクタイヤは、札幌ではプロショップはもちろん、ビックカメラでも入手可能。
ただ、お値段は少々張るが軽量かつ高性能と評判のSuomoの製品が見つけられず、ネット通販で購入しました。
◆ 冬の札幌を走る
MTBにスパイクタイヤの組み合わせは、アイスバーンであれば、歩くよりも安全に感じられるほど。
しかし、俗に『座布団氷』と呼ばれる除雪車の削り残しの氷が相手になると、MTBとは言え自転車のタイヤの細さでは弾き飛ばされてしまいます。
よって車道を走るときは細心の注意が必要だし、雪によって車線も狭くなっているので、通行量の少ない道を選んで走ることが肝要。
札幌のファットバイク乗りの皆さん達は、野幌森林公園や前田森林公園などへ出掛けているようですが、私は自動車を持っていないので遠出は面倒臭い。
そこで、近場で自動車を気にせずに長い距離を走れるとなると、北大のキャンパスということになります。
正門からスタートし、北18条門まで往復約3キロ。ポプラ並木を往復したり、原生林を抜けて恵迪寮方面を周回したり、第二キャンパスの方まで足を伸ばしたりして、1周回5キロほど。
気の向くまま走るうち、いつの間にか20キロほども走っています。
風は冷たいが、20分ほども走っていると体幹からポカポカしてきて、気温は氷点下なのに汗ばんできます。
適当に腹が減ってきたら、学食で、ここの名物と言って良いでしょうか、牛トロ丼を戴きます。ただ、平日の11:30〜13:00は学生と教職員のみ利用可となっていたと記憶しています。
◆ 厳冬期ライドの装備
体幹、及び『3つの首』ー首、手首、足首ーを冷やさぬことが重要。
私は概ねこんな感じでした。
【上半身】
・アウトドア用の長袖インナー。薄手の方がライディング姿勢が楽にとれる。
・長袖ジャージー。マイナス10度でも対応できるというPISSEIの裏側起毛の厳冬期用ジャージーも持っているが、札幌でマイナス5度くらいまでの環境で乗るなら、ここまでは必要なし。保温性と通気性を兼ね備えたニットジャージーが一番着やすい気がしました。
・ダウンベスト。これは体幹を冷やさないために重要。
・アウターは何年も前から使っているnari furiのプルブレーカー。風や雪はほぼ問題なく防いでくれる。また襟が高く、首をしっかり保温してくれるのがポイント。
・グローブは、doesnotmanufactというブランドの、クロームレザー調のを愛用。やや保温性は低いが、ビジネスにも使えるデザインの良さ、手首までしっかり保温してくれるカフの長さ、タッチパネル仕様であることが気に入っていました。
【下半身】
・ライディングタイツ。またはパッド付きアンダーとアウトドア用の薄手のスパッツ。
・保温性と動きやすさ重視で走るなら、その上から、ニッカーとハイソックス。 街乗りならば、コーデュロイパンツ。
・シューズは、The North Faceのスノーシューズ。コーディネート的には、ニッカースタイルとの相性は今一つだが、足首をしっかり保温してくれ、かつ足首が柔らかい作りなのでペダリングも楽。
【頭】
・ゴアテックスのフルフェイスのフード。新宿のL-Breath で見つけました。薄いので着用感が良く、風を通さず、蒸れない。頭と首筋の保温は、これ一枚でほぼ問題なし。
・その上からヘルメットかカスク着用。
・日没後など本当に寒い時は、ニットキャップをかぶることもありました。しかし、そうするとヘルメットやカスクをかぶれません。従って、スーパーへの買出しなど、家の周り限定。
ジム通い、自転車乗りなら自宅でローラー台など、冬場の体力維持の方法は様々ですが、屋内に籠るのが性に合わず、かと言ってスキーに出かけるほどの時間も取れない私などには、近場の雪中サイクリングは、手頃な体脂肪燃焼トレーニングでした。
□ 自転車と成人病 その後
2015年に自転車で走った距離は4238キロ。
海外駐在していた4年間は、多分、年間1千キロも乗っていなかったはず。
そのことによって、自分の身体はどう変わったでしょうか。
▪️変わった実感がある点 1. 体重・体脂肪率
2月末に本帰国した頃の体重は72キロ強。体脂肪率は18〜19%あたりを上下していました。
身長177センチなので特段太り過ぎではないものの、30代前半では63キロ前後だったことを踏まえると、少々増えすぎのようです。
それから8ヶ月が経過し、体重は68キロ台に落ち着きました。体脂肪率は16%台、一桁台には遠く及ばぬものの、まずまずの状態ではないでしょうか。
以前は、ちょっとしたことですぐに体重も体脂肪率も跳ね上がっていました。それが、一時的に増加してもすぐに元の値に落ち着いてくれるようになりました。体脂肪が燃えやすい体質に変わってきたようです。
▪️変わった実感がある点 2.内臓脂肪
自宅で使用している体脂肪計の表示のお話なので、精度はやや低いかもしれません。ともかく、この年の9月くらいまでは、体脂肪計に乗ると内臓脂肪は「やや多め」を意味する黄信号が100%点灯していました。人間ドッグでも去年に続いて脂肪肝との判定。
対策として、週1回の断食を取り入れたり、早く帰宅できた日は夜の街をロードバイクで一走りしたり。
それを続けているうちに、帰宅後に体脂肪計に乗ると、80%以上の確率で「緑信号」が点灯するようになりました。
11月になってからは、朝起きぬけに計測しても、ほぼ確実に「緑信号」。もっとも、これからお酒も脂っこい つまみも増える季節なので、油断は禁物です。
▪️変わった実感がある点 3.代謝
若い頃、私の平熱は35度8分前後でした。最近では36度台後半が普通です。
どこかが悪くて始終微熱がある状態なのか、と心配になって医師に聞いて見たことがありますが、そうではなく、これは代謝の良い体質に改善され、微熱どころか風邪を引きにくくなっている喜ばしい傾向だそう。
確かに今年は一度も風邪をひいていません。これまでは季節の変わり目に体調が優れない日が続くこともありましたが、それが全くなく、正直、風邪を引く気が全くしなくなりました。
▪️よくなっていない点 血圧
最高血圧は120〜130位で落ち着いてきました。問題は最低血圧で、一時期は85を下回る数値に落ち着いていたものの、冷え込みが厳しくなるとともに上昇し、最近では90を超える朝が珍しくないのです。
マグロじゃあるまいに、どうも体をしっかり動かし続けていないと、すぐ血流が滞る体質のようです。
冬もしっかり走ろうと思ったのは、そんな理由もありました。
1LDKの自宅には、ローラー台にロードバイクを据え付け、吹雪の夜にはグランツールのDVDなどを見ながら、レーパン一丁で汗びっしょりになって踏んでいたものです。
その後、近くの馴染みの店に足を運び、仲良くなった常連のお客さんたちとサッポロクラシックを一杯。
時には、トレーニング中にママから「鍋やるからおいで〜」とLINEが来て、二度汗びっしょりになったり。
札幌の長い冬は、そんな風に寒さを感じる遑もなく過ぎていきました。
※ 最後までお読みいただきありがとうございました。札幌の冬は、今思えば、とても愛しい時間でした。しかし、大事な時ほど早く過ぎていくもの…