『誤作動する脳』 新聞(他)書評
⚪️ 2020年春、新聞3紙(朝日・毎日・日経)の読書欄に書評が掲載されました。評者名をクリックすると(全文/冒頭が)読めます。
4月25日 朝日新聞 武田砂鉄氏書評(全文無料公開) 【誤作動を繰り返す自分の脳を、自らしつこく観察していく。自分をその世界に再びなじませていく。「できる」と「できない」を区分けして、自分の「できる」を減らすのではなく、「できない」を軸にして、「できる」を取り戻す。】評:武田砂鉄氏(ライター)
5月2日 毎日新聞 中島岳志氏 書評(一部公開) 【著者の「病状」に対する自己分析は、近代的人間観が、いかに偏ったものなのかを突きつける。理性を過信する近代は、「幻」を「病」と捉え、その人を「患者」として社会から排除した。本書は、近代的人間観の正当性に一石を投じている。】評:中島岳志氏(東京工業大学教授・政治学)
5月2日 日本経済新聞 與那覇潤氏書評(一部公開) 【重度の認知症者が示す「若い頃にタイムスリップしたかのような言動」を、病的な妄想と退けず、むしろ時間軸から解放されたオルタナティブな脳の作動として受け止めてみる。そうした著者の実践は、老いる前の人にも勇気と、なにより安心をくれるだろう。】評:與那覇潤氏(歴史学者)
⚪️「図書新聞」 3457号(7月25日号)で松本卓也さんが紹介して下さいました。【当事者による「脳のなか」のヴィヴィッドな記述は見事であり認知症臨床においても参考になる。認知症は、(略) さまざまな認知機能の障害の総称として理解されるようになったが、本書によってその理解がさらに一歩進んだのではないか。】
⚪️4月17日 週刊エコノミスト 書評(全文無料)
【脳の機能障害を抱える当事者が、五感、記憶、段取り力、幻覚の変化をつぶさにつづった。自らを観察する様は研究者のよう、その文章はこまやかでユーモアを含み、紛れもなく表現者のものだ。次第に病のことは頭から抜け落ち、著者の感覚や感情をたどっていた。誤診による投薬に苦しんだ6年間には胸が痛む。このレビー小体型認知症はよく知られていない。病としての対処は必要だが、何より病を抱える人の多彩さを浮かび上がらせる一冊だ。】
⚪️末井昭さんの書評 (10ミニッツTV)
【この本を読んで一番感じたことは、著者が自分の病気のことを書いている本なのに、全然暗くないということです。大変な症状をたくさん抱えているわけですから、生活するだけで苦労がつきまとうと思うのですが、樋口さんは自分の症状を観察者のように見つめ、病気と仲良く生きて行こうとしているからではないかと思います。そしてどこか、病気を楽しんでいるようにも見えます。】末井昭さん
⚪️中江有里さんの書評(NHKひるまえほっと 中江有里のブックレビュー)
【病気と闘う当事者だからこそ著せた一冊。
同じ病気でも人により「できる」ことと「できない」ことが違うが、著者は自分が「できる」ことである「書くこと」で、「レビー小体型認知症」を私たちに分かりやすく伝えてくれる。
私たちは、自分たちが「当たり前」と感じることは相手も同じように感じると思ってしまいがちだが、感覚は人によって違う。脳の誤作動によって感じ方が違うと知るだけで、「当たり前」を押し付けずに接することができると感じた。】中江有里さん
⚪️医療関係者のうーちーさんが、医療について書かれた部分を多数引用して紹介してくださった5分間動画です。
⚪️医学書院 のサイト(立ち読みできます。)