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正しさよりも優しさが欲しい
SNSでの再会は
キツイ塩対応だった。
「初任者には、
初任者の景色しか
見えないものだよ」
歳下だけど
先輩教諭として
活躍しているC子に
何も言い返せなかった。
C子と初めて会ったのは、
飛び降り自殺した
元カノの葬式の場だった。
顔は知っていた。
元カノと二人で映った
プリクラを見せてもらっていたから。
元カノから
プリクラ見せられながら
「君たち会うと
好きになっちゃうから
会っちゃダメ!」
なんて言われてた。
自分は、会ったこともない、
連絡先も知らない人相手に、
いったい何言い出すの?
とただ苦笑してた。
元カノの葬式から
それほど時間が経たないうちに
C子の家で寝泊まりする生活になった。
最初の半年間位は、
身体の関係、
全く無かったけれども。
一緒に買い物をし、
一緒にご飯を食べ、
夜までめちゃめちゃ喋って、
疲れたら健全に寝る。
そんな微妙な半同棲生活。
「放っておくと、
君死ぬでしょ。
私も一人だと、
ご飯食べる気もしないけど、
君がいると料理する気になるし」
C子はそんなことを言っていた。
そして時々、
自殺未遂と自傷行為をするC子に、
あたふたとしながら、
時間が過ぎて行ってた。
イロイロやる気をうしなって
自らの大学院の研究室には
全く顔出せなくなった期間。
でもC子の大学には
一緒についていき、
彼女のレポートや論文を
一緒に書いたりもしていた。
救いたい=救われたい
このイコールが今
優しく剥がしていくんだよ
堅い理論武装
プライドの過剰包装を
正しさよりも優しさが欲しい〜
Subtitleの歌詞はいろいろ染みる。
脆いバランスが崩れてきたのは、
半年後位に
C子が同じ布団に入ってきて
抱きつきキスしてくるように
なってからだった。
もともと薄着のカワイイ女の子と
一緒に過ごして悶々することも
多くなってた自分の理性なんて
脆いもんだった。
「男嫌いで」
「不感症で」
とか聞かされていたのは、
全部大嘘だった。
でも男女の仲だったのは
一週間程度だった。
「やっぱり近づかないで」
「部屋から出て行って」
「君のことは
刺さないかもしれないけど、
私自分の事さすのを
辞められないと思う」
カッターナイフ持ち出され、
促されたりすると、
部屋を出ていくしかなかった。
C子はその頃のことを
記憶があやふやで
よく覚えてないという。
メンヘラ爆発、
自傷しまくりだった割に、
地頭が良かったC子は
教員採用試験に合格。
過剰すぎる位、
周囲に優しく、
研修等やりまくる
やる気に満ち溢れた
優秀教員をやっている(らしい)
職場の先輩男教師と
あっさり結婚、
と聞かされると、
男嫌いは大噓だったんだな、
とやっぱり思う。
「情報科教員とか
分掌の情報関係は
教員の仕事じゃないと思っている。
やったら負けだと思って、
絶対に関与しないように努めている」
とC子からDisられた。
分掌投げられるの、
初任逃げようなかったんだよ…
と言い返そうとしたが、
それは言わないまま流した。
旦那と最近どうなの?
と聞こうとも思ったが、
それは聞かなかった。
何も言わないってことは、
まぁある程度
うまくいってるんだろう。
疲れ果ててる時期に
久しぶりのSNSでの再会。
「正しさより優しさが欲しい」
という感じも
溢れていたのかもしれない。
天国で元カノとあったら、
かなりディスられるだろうな。
「何勝手に一人で死んでるの、
こちら傷つくのわかってるくせに」
とディスり返してやりたいけど。
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