71.恋人のあの時の声

ジャムだらけの指先が
君の唇に突き刺さる
この世で流行ってるものは
あの世では漫画なのさ
強い日差しの下で壊れた靴が
絵の具の星座を歩く
巻き髪が冷凍された列車に乗る
宇宙に季節はない
時計もカレンダーもない
恋人のあの時の声が
神の啓示に聞こえる時がある
チュッパチャプスの楽園では
禁欲的なブルーベリーが甘く
足の裏を汚して、命乞いをする
凶暴な電信柱が月を脅迫して
漂泊された涙が蒸発する
精神的な贈り物しか渡せない
抱きしめると壊してしまうから
愛すると殺してしまうから
5月生まれの君が好きです
藍色のコンバースが空を蹴飛ばす
折れた歯ブラシは旅立ちのメタファー
話す言葉は全部、宇宙語
未来は空白に見えるけど本当は
真っ黒に塗りつぶされてる
寂し気なクロコダイルの独り言
受話器を抱きしめて、海に足を進める
憐れむとき、自分じゃない誰かが
珈琲に砂糖をいれてかき混ぜる
それは親切なのだろうか?
僕には答えが見つからないことが多い
甘い痛みに繋がれたまま
少量の毒を舐めて生きていく
それで生きていけるなら
それで生きていこうよ

いいなと思ったら応援しよう!

Mei&Me(原題:僕と笠原メイ)
いつも記事を読んで頂いてありがとうございます。フォローや、ハートマークで満足ですが、ご支援して頂いたら、詩集の制作費の足しにさせてもらいます!