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【エッセイ】星の王子様の価値観

恋人のフェイは、
僕より少し年上だけど。
この前、アイスの話をしていたら、
人生で一度も『ガリガリ君』を、
食べた事がないと言うので
びっくりしてしまった。
その理由を聞くと、
「ガリガリ君はキャラクターが気持ち悪くて、不潔だから」
という意見、思わず笑ってしまった。
今までそうゆう視点で、
『ガリガリ君』を見たことがなかった。
でも、よく話を聞いてるうちに、
彼女は、うまい棒も、魚肉ソーセージも、
まるごとバナナも、からあげくんも、
さけるチーズも、ブラックサンダーアイスも、
食べたことがないと発覚した。
そして卵かけごはんは
黄身だけを使うという・・・・。
ちょっとここまでくると、
アレ?って不安になってきた。
言い訳のように「でも私『フルーチェ』は、
食べたことあるもん!まずかったけど」と述べる。
擁護する訳ではないのだが、
お嬢様育ちや、高飛車とは違うと思う。
栄養価や添加物に注意する、
徹底した食育を行う両親の元で、
育てられたのだろう。
例えば、実家が中華料理屋の友達も、
大人になるまでファーストフードや、
外食の一切を口にしたことがなく。
初めてロッテリアを食べた時は、
めちゃ美味しくて感動したと言っていた。
あとはフェイの思考や味覚や、
感性が小さな頃から、
大人っぽかったのだと推測する。
どちらかと言うと、
主義や美的センスの問題だ。
逆に僕の場合は、小学生の頃に、
毎日のように駄菓子屋へ、
通い詰めていたので。
うまい棒などは致死量ほど食べた。
他にも訳の分からない水色のゼリーや、
偽物のコーラ風な飲み物とか。
嬉々として口にしていた。
どっちが普通なのかは分からない。
それぞれの家庭に食文化が存在する。
最近観た「星の王子ニューヨークへ行く」
という映画ではエディー・マーフィーが、
アフリカの国の王子役で、
トイレからお風呂から全て使用人に、
世話してもらっていて、それが当たり前。
靴ひもは一度も結んだことないし、
あらかじめ結婚相手も決められている。
「これじゃあイカン!」と自戒して、
世間を知る為にニューヨークに、
花嫁探しに行く。身分を隠して、
汚いアパートに住み込んで、
マクドナルドで働くという物語だった。
まぁそれに近い話なのかもしれない。
先日、節分の恵方巻を食べるとき、
僕が北と南の方角を反対に覚えていて、
母親が絶句していたのだけれど。
ちょっと浮世離れしてるくらいが、
普通だったり、日常だったり。
そうゆう人間だから僕やフェイは、
歌を書いたり、物作りをしていて、
表現者に向いてるんじゃないかな?
と前向きに考えることもできる。
偉大な詩人、谷川俊太郎も奥さんに、
この人は「非常識」じゃなくて。
「無常識」と言われていた。

知らないことでまんまるなのに、
知ると欠けてしまうものがある。
知らないということは、
無垢だと考えることもできる。

でもフェイには「まるごとバナナ」と、
「ブラックサンダーアイス」の、
美味しさだけは、是非とも、
分かってもらいたい所である。

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Mei&Me(原題:僕と笠原メイ)
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