東洋医学講座 155
〇肝と風
風は天気の木行で、地上では風が化して木形となります。
冷気に暖気が加熱され、そこで発したのが風で、熱気に涼気が加冷されれば、燥気となります。
易では天の陽気に一陰を生じたのを風とみて、風は地上の万物を振作作用させて、動植物を生育させているのであります。
▽風気で人体は左右される
風を説明するために、ここで易経に少し触れます。易経は宇宙の真理と人智を説くところの宇宙方程式なので、易経の力を借りると便利です。
易経では、「☰」を全陽とし、天陽を表す記号とします。また、「☷」を全陰とし、地陰を示しています。
この陰と陽が交流することによって、「☴」の易象である風が起こります。つまり、高気圧と低気圧が交流すれば風となります。冷気と熱気が交流して風が起こります。これらの易象はすべて自然の理にかなっています。
こういう形ですべての元となっている〝八象〟が成立しています。これは自然の働きを八つにまとめているものですが、宇宙自身がそのようになっているからです。春夏秋冬と、あとその隅々に土用があるので八象、つまり八つの働きになります。そして、八つの働きのもとにある元素が化していきます。この八つの元素の下地になっている土盤が入れば九星となります。易は八象をもって天地をつなぐ縦経の説明をし、九星はこの横経にさらに後天的な働きを加えることによって、九星を説明しています。易も九星も元の宇宙真理は一つなので、根底にあるものは同じです。
木気は天においては風であり、地上においては風が化して木行をつくる働きとなって働きます。木(もく)というのは天における働きと地における働きの総称符号です。木(もく)というと木(き)だけを考えがちですが、大気中に働く木気は電波、つまり電磁波のことですが、人間はその木気の電磁波により振作作用され、賦活されて生成されています。その波長によってつくられているので、その波長を知らなければ人体を知ることは無理です。
このように、風気で人体は左右されていますが、その影響を一番強くうけているのが、人体では肝系です。したがって、春風にあえば、肝は刺激され躍動します。春は肝が旺んに働くということです。以上のように、風気と肝系は深い関連を持っています。