消せるメモパッド。ペンが小さすぎて書きづらい
消せるタイプのメモパッドがありますが、付せんサイズのものはペンが小さすぎて書きづらいです。筆記具は古来から、人が握って書くときのバランスと重さを考慮してデザインされてきたはずです。しかし、このメモパッドのペンは、人間よりも本体との親和性を最優先しているように感じます。
メモパッドを使う目的は書き留めることなのに、肝心の筆記具としての使いやすさがおろそかにされている気がしてなりません。伸び縮みしても構わないので、普通のペンのようにしてみてほしいですね。きっと評価が一変するはずです。
注)主治医はプロダクトデザイナーではありません。UI/UXデザイナーから見た考察となります。
役割
消せるタイプのメモパッドは、ユーザーが簡単にメモを取り、後で消去して繰り返し使える利便性を提供します。その特性上、この製品は手短に素早く情報を記録したり、書き直しが頻繁に生じるタスクに適しています。ペーパーレスであるため、廃棄物が一切出ず、環境負荷も少ないでしょう。
ユーザーが自分に適した使い方ができるよう、各社がさまざまなサイズ・タイプのメモパッドを発売していますが、付せんサイズのメモパッドは、ペンが小さすぎて書きづらいという問題が際立っています。
課題
付せんサイズのメモパッドは、付属するペンが小さすぎるため、ユーザーが自然に握って書くことが困難です。筆記具は、手に持ったときのバランスや重さを考慮してデザインされるべきですが、この付せんサイズのものは、ペンが本体との親和性を優先して設計されており、実際の使用時の使いやすさが犠牲になっています。
この問題は、ユーザーがメモを取る際の快適さと効率を低下させ、ユーザー体験を損ねているといえるでしょう。
これらの課題は、ユーザビリティの基本原則の一つである「柔軟性と効率性(Flexibility and Efficiency of Use)」に反しています。また、「人間中心設計」の観点からも改善の余地があります。
リスク
ユーザビリティの観点から、付箋サイズのメモパッドには以下のリスクがあります。
書字の質の低下
ペンが小さすぎるため、ユーザーは書きづらさを感じ、後で読めないほど乱雑なメモになってしまう可能性があります。そうなると、一度消去してから書き直すという作業が生じることになります。ユーザーの手や指の疲労増加
書き直しはストレスにつながるだけでなく、手の疲労も誘発することになるでしょう。以前のメモを思い出しながら書き直す行為がユーザーの認知負荷を高める点も軽視できません。製品の誤解
ユーザーがメモパッドの使い勝手が悪いと感じると、製品全体の有用性に関する評価が低下し、他のブランドを含めたメモパッド全体に対してネガティブな印象を持ちやすくなる可能性があります(ネガティビティバイアス | Nagativity Bias)。ユーザーの離脱
使いにくい製品は、ユーザーが継続して使用する動機を失わせ、結果として紙に戻るか、他のより使いやすい製品に乗り換える原因となります。
これらのリスクは、「人間工学」の原則と関連しています。工具や機器は、人間の身体的特性や能力に適合するようにデザインされるべきです。
解決案
付箋サイズのメモパッドのユーザビリティを向上させるためには、以下のような対策が有効だと考えられます。
伸縮可能なペン設計
収納時はコンパクト、使用時は標準的なペンサイズになるよう設計する。グリップ部分の改良
滑りにくく、握りやすい素材や形状の採用する。重量バランスの最適化
書きやすさを考慮した重量配分にする。互換性のある標準ペンの使用
一般的な消せるペンが使えるように設計する。モジュラー設計
ユーザーが好みのペンを選択できるようにする。
これらの解決策は、「ユニバーサルデザイン」の原則に基づいています。これは、可能な限り多くの人が使いやすい製品を設計するという考え方です。
まとめ
消せるタイプのメモパッドのペンデザイン改善は、製品の使いやすさと価値を大幅に向上させる可能性があります。例えば、折りたたみ傘が収納時はコンパクトで使用時は十分な大きさになるように、ペンも同様のアプローチを採用できるでしょう。
人間工学的な配慮は、単に使いやすさを向上させるだけでなく、長時間の使用による疲労や不快感を軽減します。高級万年筆がバランスと握り心地を重視しているように、メモパッド用のペンも同様の配慮が必要です。
そして、本体との親和性と人間の使いやすさのバランスを取ることは、製品デザインの重要な課題です。スマートフォンのスタイラスペンが本体にシームレスに収納できつつ、使用時は快適に操作できるように設計されているのと同じアプローチが有効でしょう。
伸び縮みする機能や、一般的なペンとの互換性を持たせることで、製品の汎用性と使いやすさが向上します。結果として、メモを取るという本来の目的に最適化された製品となり、ユーザー満足度が大幅に向上する可能性があります。小さな改善が、製品の評価を一変させる可能性を秘めているのです。
ユーザーのニーズと行動を深く理解し、それに基づいて設計することで、真に価値ある製品を生み出すことができるでしょう。
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