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アルミチューブ。穴が開いてクリームが漏れる

アルミチューブのクリームは、折りたたんで使っているうちに角に穴が開いてクリームが漏れてきますよね。

アルミが無限にリサイクル可能な材料であること、内容物を保護するのに最適なことは知っています。しかし、カバンの中でクリームが角から出ていることがたびたび起こると「またか」とうんざりします。

その素材や製法がサステナブルだとしても、漏れてクリームが無駄になるとしたら、エシカルではありませんよね。もしチューブを他の破れにくい素材を使い、サステナブルな製法で一新できるなら、私は価格が高くてもその商品を選びます。


注)主治医はプロダクトデザイナーではありません。UI/UXデザイナーから見た考察となります。

役割

アルミチューブは、クリームやジェルなどの内容物を保護し、長期間にわたって品質を維持するためのパッケージとして重要な役割を果たしています。アルミニウムは無限にリサイクル可能であり、軽量で持ち運びに便利なため、広く使用されています。さらに、アルミチューブは内容物の酸化や劣化を防ぎ、製品の品質を保つのに優れています。

ユーザー体験の観点から、この容器は「内容物の保護」「使いやすさ」「環境への配慮」という重要な機能を提供するべきです。

課題

しかし、アルミチューブにはいくつかの課題があります。使用しているうちにチューブの角に穴が開きやすく、クリームが漏れることがあるのです。

カバンの中で発生した場合、漏れたクリームが他の物に付着し、不快感を引き起こします。この弱点は、ユーザー体験を損なうだけでなく、製品のエシカルな側面にも影響を与えることになります。

これらの課題は、ユーザビリティの原則である下記に反しています。

  • エラー防止(Error Prevention)

  • 柔軟性と効率性(Flexibility and Efficiency of Use)

また、「サステナブルデザイン」の観点からも改善の余地があります。

リスク

このようなデザインの問題には、いくつかのリスクがあります。

  1. 製品の信頼性低下
    頻繁にクリームが漏れることで、ユーザーは製品に対して不満を感じ、再購入を避ける可能性があります。

  2. 環境負荷の増加
    クリームが漏れることで、内容物が無駄になり、製品の寿命が短くなるだけでなく、環境汚染を助長します。

  3. ブランドの信頼性低下
    このような課題を解決しないまま販売し続けるブランドに対して、ユーザーはネガティブなイメージを抱き、結果としてブランド全体の信頼性を低下させるリスクがあります。

  4. コスト増加
    ユーザーからのクレーム対応や返品処理が発生した場合、そのサポートコストが増加します。

これらのリスクは、「トリプルボトムライン」の概念と関連しています。これは、企業の成功を経済、環境、社会の3つの側面から評価する考え方です。

出典: Cannibals with Forks: The Triple Bottom Line of 21st Century Business. Capstone. Elkington, J. (1997).

解決案

この問題を解決するためには、以下の対策が有効と考えられます。

  1. 複合材料の使用
    アルミと柔軟性のある素材を組み合わせた新しいチューブを設計する。

  2. 角の補強
    使用頻度の高い角部分を特殊素材で補強する。

  3. 自己修復素材の採用
    小さな傷を自動的に修復する新素材を開発する。

  4. リサイクル可能な代替素材
    生分解性プラスチックなど、環境に配慮した新素材の採用する。

  5. ユーザー教育
    適切な使用方法や保管方法の周知する。

これらの解決策は、「サーキュラーエコノミー」の原則に基づいています。これは、資源の循環利用を最大化し、廃棄物を最小化する経済モデルです。

出典: Towards the Circular Economy: Economic and business rationale for an accelerated transition. Ellen MacArthur Foundation. (2013).

まとめ

アルミチューブの改善は、ユーザビリティと環境配慮の両立を実現する可能性があります。例えば、自動車のボディパネルが衝撃を吸収し変形しにくい設計になっているように、クリームチューブも使用時の応力に耐える設計を採用できるでしょう。

上述した解決案により、クリームチューブは単なる容器ではなく、ユーザーと環境の両方に配慮した革新的な製品となる可能性があります。その結果、高価格帯になったとしても、多くのユーザーに支持されるはずです。

最終的には、製品の機能性、耐久性、環境への配慮が高次元で融合し、ユーザーに真の満足を提供する製品になるのが理想的です。このようなアプローチは、持続可能な消費と生産のロールモデルとなり、業界全体に良い影響を与えるでしょう。


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