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病気になったのは生育環境が大きく影響しているのではないか
後ろを振り返っても何もならないのだが、暇な時間が多い入院生活ではどうしても過去を思い出してしまう。今の自分の年齢は34歳、メンタル不調を起こしたのは17歳の高校生の時だった。この時の診断は抑うつ状態と心因性の咳で、6カ月間の休養を要するということだった。
3カ月経った頃に学校に行くことが未だに出来なかったため、大学病院に転院することになった。そこで入院して、閉鎖病棟の中で主治医から『あなたは統合失調症で薬を一生飲まないといけません』と告げられた。告げられた瞬間に5、6名の白衣を着た医者から囲まれて病名を宣告されて受け入れるしかなかった。逃げ場所のない閉鎖病棟で診断に納得いかずに暴れたりすれば、部屋から一歩も出れない完全隔離室に入れられたことだろう。
17歳という思春期真っ盛りで、自分の症状をうまく伝えられずに『統合失調症』という診断を下されてしまった。その当時に、主治医らのグループは統合失調症と多飲症の研究をやっている。自分はこの研究の対象者になったのだと思っている。人の一生を左右する実験に参加させられて、理不尽さで悔しさをどこにぶつければいいのか、ときどき怒りが込み上げてくる。
病院側に言っても、『あなたは統合失調症の症状がありましたよ』と言われれば、自分は何もすることができない。精神医学の真っ黒な闇がこの世の中には蔓延っている。軽度なメンタル不調患者が救いを求めに心療内科や精神科に通うと闇の中に吸い込まれる。学生は精神科に行くのなら、その前に病院以外のところに相談してほしい。最終的な判断で病院に行くにしても、家族で受診してもらいたい。学生が問題児のように世間一般からすると思われるだろうが、家族が変わっていることもあるかもしれない。医者は簡単に薬は処方せずに、認知行動療法などの対処法を教えてくれるカウンセラーを紹介してもらいたい。
今34歳の自分の病名は『双極性障害1型』だ。これは自分も認めているし、明らかな誇大妄想の症状が出た。それでは17歳の時の『統合失調症』は何だったのか?と普通なら思うだろうし、あの時の大学病院の医者たちはヤブだったとも思う。
そして、最初っから双極性障害だったのか?と疑問に思っている。17年間のうちに精神疾患のレッテルを貼られて、毎晩寝る前に、精神安定薬と睡眠導入剤を服薬する。この17年のうちに仕事をしたり、いろんな人に会ったりした。精神疾患についてオープンに話すことはあまりできなかったし、隠された存在として過ごしていた。生育環境で双極性障害に徐々になっていったのだと自分は思っている。
被害者は自分だけではないと思う。メンタル不調で心療内科や精神科に通い、正確ではない病名を告げられ、隠された存在として飲まなくてもいい薬を飲んでいる人は大勢いるのではないだろうか。医者は薬を簡単に処方するのはやめてほしい。その薬を飲めば一生薬漬けになってしまうことがあるのだから。