教員の手当
教員の待遇改善の必要性が叫ばれています。公立学校教員のサービス残業は過労死ラインを超えるほど常態化しています。また、学校はきつい職場だと敬遠され、教員不足が問題化しています。その中で手当の創設などの待遇改善が提案されています。では、現在教員にはどのような手当が支給されているのでしょうか。
ここでは、現在教員の給与に加算されている主な手当について取り上げてみます。
教職調整額
公立学校教員には、給料に対して4%の教職調整額が加算されています。教員には時間外手当は一切支給されません。それは、教員の業務は自主的自発的なものに寄るところが多く、勤務時間の長短では評価が困難であるという考えがあるからです(文科省)。そこで、1966年の調査時点での教員の時間外労働相当の残業代(給与の4%)が『教職調整額』として加算されています。
例えば、教員の初任給での本棒は大体20万円ほどです。本棒20万円の4%である8,000円が教職調整額として加算されて支給されます。現在の教員の時間外労働は月に40時間を優に超えていますが、これがある意味、みなし残業代となっています。
部活動手当
正式には『教員特殊業務手当』という名称です。主に、土日の部活動の指導や大会引率をした際に、申請すれば支給されます。3時間以上働いた場合に支給され、日額3,000円ほどです。部活動手当の金額は自治体の条例によって規定されています。
東京都では日額3,000円です。しかし、その他の自治体では日額2,700円であることもあります。また、高体連など一部の大会を8時間以上引率した場合、申請すれば日額4,250円が支給されます。
なお、『特殊勤務手当』とは『著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務給与上の特別の考慮を必要とするが、その特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員にその勤務の特殊性に応じて支給される手当』と総務省が定義しています。土日の部活は著しく不快で不健康な勤務なのです。
教員特別手当
教育特別手当というものもあります。平均で給与の1.5%ほどが上乗せされています。教育職給料表を見てみると、2,000円〜6,000円ほどの額です。
初任給が一般的な2級17号であるとすると、月給に2,800円ほどの上乗せになります。自分の給与の号や級、また自治体の規則によってこの金額は異なります。詳細は以下の東京都の教育職給料表を確認してみてください。
主任手当
正式名称は、教育業務連絡指導手当といいます。主任になると、日額200円ほどが支給されます。対象は、教務主任、学年主任、生徒指導主事、進路指導主事、研究主任などの役職です。科主任には支給されません。主任になると激務である代わりに、月額で4,400円ほどが給与に上乗せされます。
まとめ
いかがだったでしょうか。手当は多数あるものの、どれも1%や数百円程度の手当ばかりで、支給された際にがっかりする人も少なくないでしょう。また、手当の詳細な支給要件などは、教員さえもあまり知らないことかもしれません。
教員の責任や過重労働に対して、給与が見合わないという意見は多いです。教職不人気の原因の一つは給与でしょう。手当の拡充で待遇改善に繋がれば良いのですが…。
参考文献
文科省:新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2017/12/25/1399722_15_1.pdf